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Jamboardからmiroへ

Jamboardからmiroへの移行

Jamboardのサポート終了が近づいています(2024年10月1日にサポート終了)。準備はできていますか? Jamboardと同様のことができるアプリとして、教育機関で無料利用が可能なものには、FigjamやCanvaのオンラインホワイトボード、オンライン掲示板のPadletがあります。有償のものではBenesseのオクリンクやロイロなどもありますが有償のため使ったことがありません。無償のサービスをいくつか使ってみた結果、もっとも学校現場の活用に適していると感じたのがmiroでした。miroの何がいいかを私目線で少し紹介します。

Jamboardとmiroの共通点と学校現場での活用

はじめに

Jamboardとmiroはどちらもオンラインホワイトボードというカテゴリのツールです。教育現場でも広く活用されています。それぞれの特徴や強みはありますが、共通点も多く、使い慣れたJamboardの機能を活かしながら、miroの機能を効果的に取り入れることで、より充実した授業を実現することができます。

私的には、一時間の授業くらいしか使いどころのなかったJamboardより、単元を通して情報を蓄積していくことが容易なmiroの方が圧倒的に使い勝手がいいです笑。

1. 共通点

  • リアルタイムコラボレーション: 複数のユーザーが同時に編集できるため、グループワークや共同学習に最適です。例えば、生徒が一緒にアイデアを出し合い、プロジェクトを進める際に役立ちます。

  • 豊富なツール: 手書き、付箋、図形、画像挿入など、さまざまなツールを使ってアイデアを自由に表現できます。特に、図形や画像を使って視覚的に理解しやすい資料を作成するのに便利です。

  • デバイスの自由度: パソコン、タブレット、スマートフォンなど、さまざまなデバイスで利用できます。これにより、生徒はどこでもアクセスでき、授業の柔軟性が増します。例えば、家での学習時にも同じプラットフォームを利用できます。

  • セキュリティ: パスワード保護やアクセス制限など、セキュリティ対策が充実しています。これにより、生徒の個人情報や学校のデータを安全に守ることができます。たとえば、学期末のプロジェクトを安全に保存できます。

以下の画像は私が受け持っている授業で実際に子どもたちがmiroで行っている学習の様子です。全体の例示の下がグループでの作業スペースです。人の体の仕組みについてグループで分担して一つの表にまとめていきました。Jamboardでも同様のことは可能だと思いますが、miroのいいところは作業中も他者参照が容易なこと、全体の作業の様子を俯瞰してみることができることです。教師は作業の進捗を見守りながら、支援を必要としているグループを速やかに見つけることができます。


2. 学校現場での活用

  • グループワーク: グループでアイデアを出し合ったり、資料を共有したりするのに最適です。例えば、歴史の授業でグループごとに調べた内容をまとめる活動に使えます。生徒同士の意見交換を促進し、協力してプロジェクトを進めることができます。

  • プレゼンテーション: 生徒が作成したプレゼンテーションを共有したり、発表したりするのに役立ちます。例えば、科学のプロジェクト発表において、各グループが調べた実験結果をプレゼンテーションします。視覚的に情報を整理することで、発表内容を分かりやすく伝えることができます。

  • 授業の振り返り: 授業内容をまとめたり、生徒に振り返りを書かせたりするのに活用できます。例えば、授業の最後に今日学んだことや疑問点を付箋に書いて共有することで、理解度を確認できます。教師が生徒の理解度を把握し、次の授業に反映させることができます。

  • オンライン授業: オンライン授業でのコミュニケーションツールとして利用できます。例えば、遠隔授業中にリアルタイムで意見交換や質問ができ、授業の一体感が増します。生徒が離れていても、一体感を持って学習できます。

  • 課題の提出: 生徒が課題を提出したり、教師がフィードバックをしたりするのに役立ちます。例えば、デジタルアートの課題をオンラインで提出し、教師がその場でコメントを追加することができます。迅速なフィードバックが可能になり、生徒の学習意欲を高めます。

miroはJamboardでできることはほぼ全てできます。思考ツールも画像さえあればすぐに使えます。また、miroには「アテンション機能」というメンバーをフォローすることで画面を同期する機能があります。これを活用することで、グループ内の交流もスムーズにしてくれます。

例えば、ABCDの4人グループで調査した内容を共有する場面があります。従来は各自が自分の端末を見せながら説明していましたが、Aが画面をフォローすると、BCDの端末にはAの画面と同期された内容が表示されます。Aが自分の端末で特定の箇所をズームすれば、BCDの端末でも同様にズームされます。これにより、教室内で複数の班が同時に作業することが容易になります。miroをプレゼンテーションに活用すれば、発表や意見交換の方法が変わります。

子どもたちの作成した制作物をmiro内でコピーすることでまとめや次時の学習につなげることも容易にできます。情報を蓄積していくmiroの良さです。


3. Jamboardとmiroの特徴と活用場面

  • Jamboard: シンプルな操作性で、短時間のグループワークやプレゼンテーションに適しています。例えば、短時間で簡単なブレインストーミングを行う際に便利です。短時間で効率よくアイデアを出し合うことができます。

  • miro: 豊富な機能で、複雑なアイデア整理や長期的なプロジェクトに適しています。例えば、プロジェクトベースの学習で長期間にわたってアイデアを発展させる場合に適しています。詳細なプロジェクト計画や進捗管理を行うのに最適です。

jamboardにない良さとしてmiroは単元を通して学習した内容を蓄積していくことができる点をあげることができます。

Jamboardはどちらかという一時間の授業での活用がメインで、その点が私にはいまいちでした。これに対してmiroは単元全体を記録することができます。子どもたちの学びをもとに次時の学習を進めたり、必要であれば既習事項をふり返ったり。こういう授業がやりたいな、と思いながらなかなか実現できなかった「子どもの学び」を土台にした単元の学習を展開することができます。教師はもちろん、子どもたちも自由に振り返ることが可能です。

単線型の授業から複線型の授業に変えていくことを考える際、子どもたち同士も教師も参照が容易なmiroが優れています。

一人一台端末活用新旧イメージ 従来授業+端末活用(2022 高橋純)をもとに作成

このイメージを見つけたのはyoutubeの動画でした。何の動画だったかは忘れてしまいましたが、高橋純先生のお話が今後の方向性としてストンと腑に落ちました。そして、この複線化のイメージを具現化するのに最適なアプリはmiroだろ、と感じました笑。

4. まとめ

Jamboard、Figjam、Canva、Padlet、ロイロ、オクリンクなど、それぞれが特徴や強みを持つアプリです。しかし、自分が試せる範囲で検討した結果(実際に授業にも使いました)、学校現場での活用にはmiroがもっとも効果的だと感じています。Jamboardの後継としてmiroを導入したならば、きっとJamboardで行っている実践以上に充実した授業、より創造的で協働的な学習環境を作ることができます。

ただし、Jamboardユーザーはmiroの高機能さ、自由度の高さに最初は戸惑うかもしれません。いくつかの実践事例を参考に、2、3回の失敗を経験しながら使い続けることでその良さに気づけると思います。初めから本気の授業で使うのではなく、機能を使いながら、マナーやエチケットを考えながらの「遊び」的な場を数度作るといいのではと思います。

ここまでmiroを推してきましたが、正直、子どもに力をつけることができるのなら、どんなアプリだっていいと思っています。ICT活用はどんなアプリを使うかではなく、子どもたちにどんな力をつけたいか、そのためにどんな授業をしたいのか、から考えるのが大切ではないでしょうか。現時点での私の最適解がmiroだったということです。明日には変わっているかもしれませんが(笑)。


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