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実験嫌いの女子、ガスバーナーに泣かされる。

 私事だが、科学の実験が嫌いだ。生理的に無理なレベルで。

  • コミュ障

  • 不器用

  • ビビリ

 この3つの欠点のせいで、生まれてはじめてフツーの光学顕微鏡を見たときは体がすくみあがった。小学校の中~高学年だったはずだが、おっかなくて指一本触れずに終わった。

 どうしてかって?
 オーケー、今からありのままを白状するから笑うなよ。絶対笑うなよ!

 「何かしでかして、この高そうなの壊したら終わりだ」って思ってた\(^o^)/。

 具体的には「手を滑らせて落とすかも」とか「ネジを回しすぎて折っちゃうかも」というあり得ない心配をしていたのだ。
 いや、「カバーガラスを対物レンズにぶつけて割っちゃうかも~w」ならわかるよ。これなら経験してる人それなりにいると思うけども。

 というか、前者ならまだわかる。でも、後者はさすがにありえないだろ。どんだけ顕微鏡壊れやすいんだよ、ガラス細工かよコノヤロー。もしかしたら幼少期に自分のことをゴリラだと認識してたのかもしれんけど。

 重そうな鈍色のボディと”ケンビキョウ”っていうかっこよさげな響きのせいで、一個10万円くらいするんだろうと慄いていた当時の私へ。
 安心しろ、光学顕微鏡は案外安い。万が一高級品でも、そんなんを無防備に全グループに配布する学校側が悪いと思う。

 なお、弁償うんぬんだけでなく、スクールカーストど底辺ゆえに「ここでやらかしたら、同じグループの女子にボロクソ言われる」っていう本能的な恐怖もすさまじかった。
 友達いなさすぎて組む人たちみんな敵みたいな状況だったので、のびのび実験してられる状況じゃなかった訳だ。辛ぇ。

 さて、自己紹介はここまでにして、そろそろ本題に入ることにします(前ふりすげー長かったなゴメンナサイ)。

◆いいか、火を恐れるのは獣の本能なんだよ!

 顕微鏡でさえプルプル震えてた私だが、小学校だと実験の頻度自体が少ないからやり過ごせた。総合的に見たら、中高もセーフだったかもしれない(薬包紙に粉末包んだら指が震えてて中身ぶちまけたりしたけど)

 しかし、一度だけ。どうしても回避できない試練が私を襲った――ガスバーナー操作の個別テストだ。

 小さい頃、なぜか「ガス」=爆発する危ないものってイメージだった。おまけに「バーナー」ってなんだか強そうな響きじゃないか?
 見た目も銀色で、オレンジのど派手でぶっといチューブが繋がってる。

 要するに、ものすごく戦闘力が高い怪物ぽかったのだ。

 まだアルコールランプなら何とかなった。透明で見た目儚げだし、アルコールは蓋開けて注ぐだけだから多少は安心できた。
 それが、中学校になった途端にあんな鈍色のクリーチャーに取って代わられ、生徒全員がそれを操作できることを求められるって何だよ。火に対する恐怖心を思い出せ全ホモ・サピエンス!

【以下、当日のダイジェスト(箇条書き)】

  1. ひとりで呼び出された時点でまぁ脈拍がヤバかった。

  2. 涙ぐみながらマッチに火を付け、ガス調節ねじを開ける。無事引火! (もう先生からの指導を3回くらいもらってたけど。サッカーならとっくに退場になってる)

  3. いざ、空気調節ネジをひねろうとした。ちゃんと下のガス調節ネジを押さえながら上だけ――動かない? 何で?

  4. パニックになって全体を回したら、青い炎がめっちゃユラユラ波打ちはじめた。

  5. ここでティーチャーストップ! 先生に再試験を言い渡される。


 ……とまあ、散々な結果となった訳だが、正直予定調和感もすごかった。

 再試験はぶっちぎった。もう二度とこんな目にあってたまるかと逃げ出した――なのに。

 まさか、いろいろあって理工学部に進学する羽目になるとは思わんやん?

「実験センス0の女子が理系に進んだ結果」をこれからちょいちょい載せていこうかな、と(P.S:当時のクラスメイトには目一杯迷惑かけたので、再会できたら速攻スライディング土下座すると決めてます)。

 


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