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自然観察を楽しみたい!【野鳥・植物 etc】

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生き物の生態や身近に見つけられる植物についてなど、自然の中の「そうだったんだ!」を紹介します。
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記事一覧

もし、この世界から「ゴキブリ」がいなくなったなら・・・【ゴキ研究者は語る】

 「クチキゴキブリのメスとオスは、互いの翅を食い合うらしい」  類を見ない不思議な現象に惹かれた著者が、採集・飼育・繁殖方法など、わからないことだらけのこの生物に秘められた謎を体当たりで追いかける――。  沖縄・やんばるでの採集、トライ&エラーの飼育、予算がない中でのDIYな実験、そして翅の食い合いの意義とは――行動生態学の基本と最前線をわかりやすく語る科学読み物『ゴキブリ・マイウェイ この生物に秘められし謎を追う』が発刊されました。  本書から、一部を抜粋して紹介します。

鳥たちの思いがけないドラマに気づくコツ

(文:くますけ) 野鳥はもっとも身近で見ることのできる野生生物です。ふわふわのぬいぐるみのような鳥もいれば、いかつい鳥もいます。その見た目だけでも人を惹きつける彼らですが、時にハッとするような野生の生きざまを見せてくれます。 たとえば、公園などで1カ所にたくさんの羽毛が落ちているのを見たことはないでしょうか。これは明らかに「事件」の匂いがしますね。ハトがのどを膨らませて歩き回っているのにもちゃんと意味があって、彼らにとって大切な「儀式」です。鳥たちは日々、私たちの周りでドラ

プロに教わる、トンボが逃げない近づきかた 

好評発売中の図鑑、『くらべてわかるトンボ』より、トンボが逃げにくい近づきかたと撮影のコツご紹介します。 図鑑でトンボの名前を調べるときは、撮影してみよう  いろいろなトンボの特徴をくらべて名前を調べるには、写真を撮るのが有効な方法の一つです。特に真横から撮影すると、胸部の模様や尾部付属器といった同定に必要な部分がよく見えます。  加えて上方向からも撮影しておくと、横からでは見えなかった頭部や胸部、腹部の模様や尾部付属器の特徴がいっそうよく見え、他の種との違いがよくわかりま

【養老孟司が教える】「同じ自分」でいれば、飽きるに決まっている

◎ファーブルはなぜすごい? ファーブルの『昆虫記』は九十歳を超える一生の中で虫を見てきた記録である。これは凄いと思う。生活費も稼がなくてはならなかったのだから、虫だけ見ていたわけではない。ファーブルみたいな人がいたということが、虫が見るに値することの証拠になる。   ファーブルはまさに「この道一筋」の人だった。この慣用句は、一生同じ会社に勤めていた、というような意味ではない。「この道」というのは、あまり目立たない、地味な仕事という意味であろう。でも、それを一生、ひたすらやっ

生きることはみっともなくたっていいと動物たちが教えてくれている

「生理終わってよかった!」 「本当に! ねぇ、”りんびょう”すっごい大変だった〜」  これは私が獣医大学に通っていた頃、電車の中で同級生たちと大声で交わしていた会話である。  最初の「生理終わって〜」というのは、獣医生理学の実習が終わってホッとしたということ、その次の「りんびょう」とは重篤な病気の淋病とは関係なく、臨床病理学(略して「臨病」)の授業が大変だった、という意味である。  当時は周りの方々が聞いたらどう思うだろう?などと1ミリも想像できず、今から思えば恥ずかしい

自然界には、ひとの言葉になっていないおはなしがたくさんある

自然界には、まだひとの言葉になっていないおはなしがたくさんある。 宮澤賢治は、それをひとの言葉に翻訳していった。 『自然をこんなふうに見てごらん 宮澤賢治のことば』には、こんなふうなことが書かれています。 自然界の物語を読む。 それができたら自然の中を歩くのがもっと楽しくなりそうです。 先日、近所を歩いていると道端にスミレが咲いていました。 この本に倣って、このスミレの来歴を考えてみましょう。 スミレは、アスファルトの隙間など、街中でもよく見かけます。でも、こんなと

街にいるハトは、どこに帰りどこで寝るのか

馬鹿っぽい、汚い、何考えているのかわからない……など、マイナスイメージも多く、時には害鳥として駆除もされる身近な鳥、ハト。 そんなハトの世に知られていない豆知識がたくさんつまった本『となりのハト 身近な生きものの知られざる世界』(著者:柴田佳秀)より、思わず誰かに話したくなるハトの秘密のエピソードをご紹介。 ハトにもショッピングセンターが人気 お腹もいっぱいだし、もう少しで日没だからそろそろお家に帰らなければならない時間だ。そのドバトたちのお家はどこにあるのか。 それは

枝いっぱいに咲くコブシの花を、宮澤賢治はこう表現した

「サンタ、マグノリア、枝にいっぱいひかるはなんぞ」 向こう側の子が答えました。 「天に飛びたつ銀の鳩」 こちらの子がまたうたいました。 「セント、マグノリア、枝にいっぱいひかるはなんぞ」 「天からおりた天の鳩」           童話「マグノリアの木」 花がまるで鳥のよう じめじめとした霧のなか、険しい山谷を歩き続けてきた主人公、諒安。にわかに霧が晴れ、いちめんに咲いた「マグノリア」の花がその目に映りました。日の当たるところは銀のように光り、日陰になったとこ

とある編集者の日々の観察「庭の生きもの12ヶ月のドラマ」

1月 January1/10 フユシャクガ 今晩のお客様。フユシャクガ(冬尺蛾)が玄関に来てた。クロバネかシロオビか…。わからないなー。 1/17 スギタニモンキリガ? 今晩のお出迎え。あー、見たことあるやつだ。キリガだよ、キリガ…と思いつつ、webの蛾図鑑『みんなで作る日本産蛾類図鑑』をカチカチ。久しぶりに「ヤガ科」の「次の50件」をかなり…かなり押してようやく出てきました! スギタニモンキリガ…ですよね? かわいいなー。 1/19 スズメ 冷たい北風が吹きすさぶ

宮澤賢治が常日頃、教え子たちに伝えていたこと

「宮澤先生から教わったのは、どのようなことでしたか?」 そう尋ねると、花巻農学校に学び、宮澤賢治に可愛がられたという小原忠さんは、静かに答えました。 「自然を見ること。いまの言葉で言う、自然観察のようなものでした」 それは一九九六年、あるテレビ局の仕事で、そのころまだご存命だった教え子さんたちにインタビューする機会を得たときのことです。 小原さんが賢治に目をかけられた理由は、文学が好きだったからだそうです。賢治は宿直の晩に学校を抜け出し、小原さんのもとを訪ねると窓を開

自然を楽しむ視点を教えてくれる、宮澤賢治のことば

宮澤賢治は⾃然を楽しみ、それを⾔葉にすることが⾮常に上⼿な⼈でした。 賢治は自らの詩を「心象スケッチ」と呼んでいますが、それは、こころに映ったイメージを、そのとおりそのままに言葉でスケッチした、ということのようです。 つまり自然のなかで感じた「楽しさ」や「よろこび」「感動」を、そのままに書いている。エッセイストの澤口たまみさんは、こう書いています。 実際、自然を見る人であれば、その言葉の的確さに感じいるでしょうし、「自然のことはよくわからない」という人も、自然を見る楽しさ

とある編集者の日々の観察「真冬に卵を産む翅のないハチがいる! その産卵の一部始終」【マニア向け】

木の葉っぱでたまに見かける「虫こぶ」。それはタマバチという小さなハチの仕業かも。研究者との飲み会で小耳に挟んだこのハチを実際に探して日々観察した記録。ツイッター山と溪谷社いきもの部(@yamakei_ikimono)の中の人の日々のつぶやきまとめです(加筆修正あり)。 某年12月9日 飲み会あとの山手線の中 国立科学博物館で開催されたGBIFのワークショップに飲み会だけ参加する。「最近、飲み会しか来てねーな!」と先生方に冷かされる。楽しい飲み会(今となっては遠い昔のよう……

あなたも新種を発見できる!? 『新種発見! 見つけて、調べて、名付ける方法』ってどんな本?

新種発見って何だ?  文=馬場友希 みなさんは「新種」とは何か、ご存知でしょうか? 新種と言うと、遺伝子操作や突然変異で地球上に新たに誕生した生命体を想像する人も中にはいるかもしれません。しかし、そうではありません。新種とは、新たに発見された生物種のことを指します。 この地球上には推定870万種もの生物が存在すると言われていますが、そのうち学名が付けられている種はわずか150万種。つまり、全体の約80パーセント以上の種には、まだ名前がつけられていないことになります。このよ

ブナが数年に一度、ドカンと大量の実を落とすワケ

数と運の生き残り戦略 「大量に産めば誰か残るよ」作戦は生物には普遍的なものである。  例えば、毎年毎年、大量の実を落とすブナ。だからって雑木林がブナの若木で埋め尽くされているのは見たことがないはずだ。というのも、ブナが発芽するには、いくつものハードルがあるからである。  まず、地面に落ちたブナの実は片っ端から動物に食われる。だいたいはネズミ、あとはイノシシなどだ。いや、落ちる前からゾウムシが産卵していて、殻の中で食べられていることも少なくない。あるいは腐ってしまう。その結