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【読書感想文】才能と努力が報われない現実に立ち向かう『猫の事務所』

人里離れた山奥にある猫の事務所。そこには、黒猫事務長をはじめ、個性豊かな猫たちが勤務しています。主人公のかま猫は、字がうまく詩が読めることから、事務員として採用されました。しかし、他の猫たちはかま猫を見下し、嫌がらせを繰り返します。それでもかま猫は、持ち前の明るさと真面目で仕事に取り組みます。

登場する猫たちは、いづれも個性豊かで楽しませてくれます。事務長の黒猫は威厳がありながらも温厚で、かま猫のことを理解し、陰ながら支えてくれます。他の猫たちは、かま猫を見下し、嫌がらせを繰り返しますが、どこか憎めないユーモラスさがあります。これらの猫たちのやり取りは、コミカルで飽きさせません。

そんな本作のテーマは、「才能と努力が報われないこともあるけれど、それでも希望を持ち続けること」です。かま猫は、才能があっても周りからのいじめに遭います。私はこのことは、世の中がいつも公平ではないことを示していると思います。それでも、かま猫はくじけず、希望を持って前に進みます。これは、どんなに大変な時でも、希望を持つことの大切さを教えてくれているように感じました。

私は、この作品を読んで、かま猫の不屈の精神に感動しました。周囲の嫌がらせにも屈することなく、持ち前の明るさと真面目で仕事に取り続けるかま猫の姿は、とても眩しく感じました。

この作品は、ユーモラスな猫たちの物語を通して、才能と努力が報われるとは限らない厳しい現実と、それでも希望を失わずに生きることの大切さを教えてくれます。また、個性豊かな猫たちのキャラクターは、読者を飽きさせません。宮沢賢治の深い洞察力と優しさが光る、心に響く作品です。

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