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家を買おうと不動産屋へ行ったら、知らないことが多すぎたのでまとめてみた。

いろいろと私事が立て込んでいてnoteを放置してしまっていました。

というのも、半年ほど前から住宅の購入を検討しておりまして。不動産屋へ行ったり色々調べたりしたところ、なかなかに色々な知見が得られたので、この場に記しておきたいと思います。

住宅購入は人生の一大イベント、慎重になりすぎるのが当然のことかと思います。

ですが、一方で「(いい物件を手に入れるために)急がなければならない」という側面もあり、結果的に十分な知識がないまま購入に至る人も多いのではないかな、とも思います。

素人である我々が、騙されないために……とまで不動産屋さんのことを悪く言うつもりはありませんが、「流されないために」どうすればいいか。知識をつけることしかないと、私は思います。

住宅選びは、「何を重視するか」「何を諦めるか」の軸を明確にすることが重要です。
ですが、知識がないと、その軸が不動産屋さんの言葉でブレかねません(特にお金の面……)。

ですので、この記事では、私なりに整理した、住宅購入に関する知識と、私達夫婦がどういう家選びをしたのかという思考過程を公開したいと思います。皆様の一助になれば幸いです。
※一応書いておきますが、これは個人の購入レポであり、特定の企業のPRやdisではございません。

・まず最初に言っておきたいこと

まずひとつ、予防線を張らせてください。

検討のため色々な物件を見て&調べて感じたことですが、結局「住宅購入にはリスクがある」のは間違いありません。特に不動産バブルと呼ばれる昨今、「空き家率の上昇や供給過剰による価格暴落の可能性」は常につきまといます。

ですので、「そもそも買うべき(持ち家)か買うべきでない(賃貸)か」は本記事では深く踏み込みません。「いつ不動産バブルが弾けるのか」「10年後、20年後にその土地の資産価値がどうなっているのか」なんて大局的なことは誰にも確実なことは言えません。各々が各々の判断で、リスクを踏まえた上で決めることだと思っています。

本記事で伝えたいのは、それとは別のこと。端的に言えば、「買うと決めた人(もしくはいつか買うつもりの人)に伝えておきたい、自分が「最初から知っておきたかった」と思う知識です。
(ネットで探せば拾える知識なのですが、いかんせんノイズが大きすぎるんですよね……)。

・なぜ住宅を購入しようと思ったのか?

以上の前提で、まずはルポタージュ形式で書き進めていきます。最初は、住宅を購入した理由について。

住宅の購入なんて、一人暮らしの時は考えたこともありませんでした。ですが、結婚を機にそれまで住んでいた家(狭め1LDK@東京北西部)から2人で住める家(広め2LDK@東京西部)へと引っ越したことで、家賃が倍近くに。

今住んでいる家そのものにはまったく不満はないのですが、流石に家賃がこれほど一気に上がってくると自然、考えてしまいます。「これ、家買ったほうがお得だったりするか?」と……。

・不動産相談へ

とはいえ、千万単位でお金の動く住宅購入なんて、そうやすやすと決められるわけがないのです。特に結婚式などで大きくお金が動いたあとならなおさらで、「オリンピック後に下がるっていうからその時考えようか」くらいに話していました。

ところが、とある流れで半年ほど前、試しに不動産相談を受けてみたところ、これが非常に明確でわかりやすく、住宅の購入という選択肢をもう少し現実味のあるものとして考えて良いかな、という気になったのです。
まあ色々調べてみると、あえて一部の情報を隠して都合のいい方へ誘導していた(んだろう)ことがわかりますが。

とはいえ、そこで教えてもらった情報自体は非常に有用かつ調べる限り嘘はないので、まずは不動産相談で言われたことをまとめていきます。

後ほど個別にツッコんでいきますので、まずはご自身が実際に住宅相談を受けていると思ってお読みください。

・賃貸 or 住宅購入どちらがよいか?

まず自分自身の現在の年収や家賃を伝えて、持ち家か賃貸か、どちらがよいかおすすめします……とのこと。
<現状の年収や家賃など(数字等に関してはフェイクを入れています)>
30代夫婦共働き。世帯年収3000万円前後。住宅手当なし。奨学金などの負債なし。お互い転勤の可能性なし。貯蓄額1000万円程度。
現在都内2LDK60平米賃貸マンション・家賃20万円・駅徒歩10分。来年末に契約更新。契約更新料2ヶ月分(2年毎)。

それでまあ、すぐにでも住宅を購入したほうがいいですよ、と勧められるわけです。いくつかの理由を挙げられるわけですが、端的にまとめると以下の通り。(デメリットはほぼ逆側のメリットなので省略)
<賃貸のメリット>
・住環境の変化に柔軟に対応できる

→転勤の可能性がないのであればそれほど関係ない&たとえ持ち家でも賃貸に出したり売却することで対応可能
・ローンに拘束されていないため身軽
→年収に余裕があるので、無理のない借り入れをすれば大丈夫
<持ち家のメリット>
・資産が残る、これに尽きる
→賃貸と違って、払ったお金が自分の資産になる。単純に払う金額だけ見るのではなく、残った家の資産価値まで含めて考えるべし。今は家賃がそのまま消えている状態。
・そもそも払う金額も、老後まで考えると持ち家の方がお得
→よく65歳までの賃貸/持ち家の比較がされ、賃貸のほうが安い! というのがあるが、実際はその後も住むので、65歳を超えてから支払う賃貸料金を考えると持ち家の方がお得(具体的な数字をもとにシミュレーションも見せられました)。
・住宅ローン減税の延長は来年2020年末までなので、今のほうがお得

→住宅によって最大額は20万円 or 40万円と変わるが、ローン残債の1%が10年、所得税より控除される。しかも今は非常に低金利(変動なら1%切ることも)なので、ローンを組むなら今。

・一戸建て or マンションどちらがよいか?

では次に家を購入するとしたら、一戸建てとマンション、どちらが良いのか。以下のとおりメリット・デメリットを示されました。

<一戸建て>
○メリット
・広い
・リフォーム・増改築が楽
・プライバシーが守られる、生活音の心配などがあまりない

○デメリット
・管理を自分でしなければならない
・火災保険の金額が高い
・耐用年数が短く、そのため資産価値が下がりやすい
(50年くらい。マンションは80年くらい)
<マンション>
○メリット
・セキュリティがしっかりしている
・管理を管理会社に任せられる
・資産価値が下がりづらい
(耐用年数が長いため。また、マンションのほうが売りやすく、賃貸にも出しやすいので運用もしやすい)
○デメリット
・運用コストがかかる(管理費、修繕積立金で月に3〜4万円。ちなみにこの金額は上がることもあるが、べらぼうに大きく上がることはない)
・管理面やプライバシー面の自由度が低い

特に強調していたのは資産価値ですね。

我々がまだ30代ということで、今たとえ新築を買っても平均寿命近くの80歳になるころには築50年弱。それだと一戸建てはまもなく限界が来るし、マンションをだとしてもかなり老朽化が進んでいる。

であれば、住んで10〜20年でリセール、もしくは賃貸に出してもう一軒購入、という流れがベストだし、自分もそうしていると。

リセールや賃貸をする前提だと、圧倒的にマンション、しかも駅チカのほうが資産価値が下がりづらいし売ったり貸したりしやすいしでオススメ。なるほど〜。

・新築 or 中古どちらがよいか?

ここまでの話が納得! という感じだったので、話はマンションに絞られていきます。次は新築か中古かどちらがよいか、という話。中古と言っても実は「リノベーション」のことまで考えると複数の選択肢があります。それぞれのメリット・デメリットは以下の通り。

<新築マンション>
○メリット
・なんといっても「新築であること」。汚れもないですし、設備も整っています。
○デメリット
・新築が中古になることによる資産価値の低下(詳細なデータを見せてもらったのですが、ネット上では見つからず。ただ「築年数から見た首都圏の不動産流通市場」※リンク先pdf注意 によれば、首都圏のマンション成約料は築0〜5年の平均が5411万円・築11〜15年の平均が4242万円なので、22%程度落ちている、築21〜26年ともなると平均2528万円、最初から53%減!)
・マンション内コミュニティの顔が見えない(人間関係がどうなるか不明。中古の場合、修繕積立金(共用部分のメンテナンスや大規模修繕のために積み立てておくお金)の滞納があるかどうかは事前に調べられるし、居住中物件なら住民に直接聞くこともできる。)
・管理状態が未知数(中古の場合、共用部分を見ればある程度管理の質がわかる)

<中古マンション>
○メリット
・価格が安い。
・資産価値の低下のスピードが新築に比べて遅い。
(築20年くらい〜は価格横ばいだそうで)
・基本リノベ前提なので、リノベ時に自分の好きな間取りやインテリアに変えられる。
・マンションの管理状態が分かる。
(「重要事項に係わる調査報告書」という報告書(有料)を確認することで詳細にわかる)
○デメリット
・施設が古い。
・リノベーションを考えると実質プラス数百〜一千万円見る必要がある。
・リノベーションのための打合せに時間がかかる。
(今住んでいるところの家賃と新居への支払いの二重払い期間が長くなる)

<中古リノベ済みマンション>
○メリット
・中古+自分でリノベより安い。(リノベ会社が安く買い上げた上で販売していることが多いため)
・資産価値の低下のスピードが新築に比べて遅い。
・マンションの管理状態が分かる。

○デメリット
・既にリノベーション済みのため、間取りやインテリアを変えることができない

以上! これをふまえた不動産屋さんのオススメは、「資産価値の低下を考えると新築より中古+リノベがオススメ、もし内装にこだわりがなければリノベ済みが一番良い!」とのことでした。

私も賃貸の経験上、新築よりリノベ済み中古のほうがいいと思っていたので、その根拠を示されたようで頷くばかりでした。

・予算はどんなもん?

不動産購入となるとお金の話は避けては通れません。特にローンを組むとなると、無理のない範囲で組みたいところです(金利もいつ上がるかわかりませんし)。

いくら借りたら月々いくら返済か、というのは各銀行のHPでシミュレーションできるので省略しますが、概ね「借りられる上限金額」は年収の10倍程度、「無理のない金額」は年収の5〜6倍程度ということです。

また注意しなければいけないのは、維持費の問題。前述(一軒家 or マンション)のとおり、マンションには管理費・修繕積立金がかかります。月に3万円くらい見ておきましょう、と言われました。

また、10年間限定ですが「住宅ローン減税」もあります。いくつかのパターンはありますが、中古マンションの場合は基本的に上限20万円/年で、残債の1%が控除。実質、1万6千円/月くらいお得です。

・不動産業界の裏事情

ここまで来てようやく物件紹介かと思いきや、まだ話は続きます。「いわゆる「街の不動産業者」がNGな理由を教えます」……来ましたね、「裏事情」。

といってもネット全盛期のこの時代、ネットに情報は転がっている……のですが、こと不動産に関しては情報過多すぎて何が何やらわからない、という状況です。私もほぼ無知な状態だったので、なるほどこんな仕組みになっているんだと思いました。

<仲介手数料について>
不動産屋はどうやって儲けているのか。もちろん安く仕入れて高く売る、というのもあるでしょうが、基本的に中古の場合、今(前)住んでいる(た)人の持ち物を不動産屋が仲介しているだけです。

ですので、中古販売で不動産屋さんの収入のメインとなるのは、「仲介手数料」というやつです。

○実は仲介手数料は法律で決まっている
先日、東急リバブルが賃貸の仲介手数料を取りすぎた(原則0.5ヶ月を承諾なしに1ヶ月にしたという訴え)というニュースがありましたが、

賃貸でなく購入の場合も、仲介手数料の上限は法律で決まっているそうです。400万円以上の取引の場合、「取引価格の3%+6万円」が上限。売る側、買う側どちらも払います。

図1

これはつまり、売り主側と買い主側が同じ不動産業者を使った場合、不動産業者の手数料は2倍になるということになります。つまり、いわゆる「街の不動産」のようなところは、自社物件(自社が売り主から直接頼まれている物件)を優先して紹介してくることが多い(その方が儲かるから)ということらしいです。(←そこまで露骨かなという気持ちはありますが、まあ少なくともその傾向はあるんだろうな、と思います)

図2

住宅相談した不動産屋さんは、そういったしがらみなしに、公平に全ての物件を見て紹介しますよ……というのが売りでした。

また、もう一つ注目すべき点は、上2つの図どちらも、買い主が払う手数料は変わっていないということです。つまり、物件探しだけお願いして、いい物件が見つかったら後は向こうの不動産業者に話を持っていく……なんてことをしても、手数料は変わらないから意味がないよという話。

・いざ、物件探しへ!

ということで、長々と書き連ねました(実時間だと3〜4時間の住宅相談でした)が、これまでが「前提知識」。いざ物件探しです!
住みたい場所、予算、理想の広さや日当たりなどを伝え、候補を絞ってもらいます。この辺りは賃貸と同じですね。

住宅相談の1週間ほど後また相談に行くと、数百の物件が提示されました。「公平に全ての物件を見て紹介する」という話は本当のようです。
この数にもなってくると見るのも大変です。流れ作業のように、ちょっとでも「アリかな」と思った物件に絞ります。数十くらいに絞られたでしょうか。

その物件を今度は、不動産屋さんが「オススメ・普通・あまりオススメしない」の3つに分けます。
「あまりオススメしない」は一つ一つどこがNGかを教えてくれます。基本的にはお金の話です。この物件は管理費・修繕積立金が合わせて4万円以上で高い。駅から遠い物件はリセール・賃貸に出しづらい。などなど……。

結局、「オススメ」と言われた物件と、「普通」のなかからチョイスした物件の合計5軒、内見に行くことにしました。

・内見当日、その場で購入申込書の提出。

内見の日は、物件を提示された日の2日後の土曜日になりました。「いい物件はすぐに決まるから、早ければ早いほどいい」という話です。
実際、提示された物件をネットで調べてみると、かなり詳しく調べても情報が公開されたのがそもそも直前の物件ばかり。今回見に行く中で、「ずっと残っている物件」はなさそうでした。
しかも、内見の日までの2日で5軒のうち1軒が決まってしまったそう。早いほうがいい……という話も頷けます。

1軒目。かなり大きい駅から徒歩8分で、見に行く中では一番広い物件。値段は3・4軒目より1000万円高く、そこがネックだと思っていました。

実際に見てみると、家の中はかなり広く、収納も多いため満足。ただ不動産屋さんの指摘が2点。「キレイではあるが未リノベ物件なので、壁の貼り直しが必要。数十万くらいはかかるかと」「窓の向かいにもう一つマンションがあるので、向かいから丸見えになってしまう」なるほど〜。

2軒目。我々夫婦的にいちばん住みたい駅からは2駅離れた、駅徒歩5分物件。「ザ・住宅地」という感じの中にあるマンション最上階。値段は3・4軒目より1000万円安い。

見てみると広さは普通、値段を考えるといい感じ。ただ、周りにお店が少ないのがネックか。不動産屋さんは「いいところだと思いますが、築20年なのでリノベが必要でしょう。リノベ代数百〜一千万円を考えたほうがいいかと」

3軒目。いちばん住みたい駅から徒歩7分。今住んでいる家の近くでもあるので勝手知ったる地域。リノベ済物件で不動産屋さん激推し。

見てみると、確かにリノベ済みのためかなり綺麗。広さは普通、2軒目と同じくらい? いちばん住みたい駅の駅チカでこれだけの物件は、自分でネットで調べる限りでも確かにそうそうなさそう。
不動産屋さんも激褒め。今後も開発が進みそうな駅チカ物件、資産価値の低下はまずない。それがこの価格で購入できる事はそうそうないと。
続けてこう言います。「お伝えしたとおり、申込みは早ければ早いほどいいので、もし気に入ったようなら今ここで申込みするのはどうでしょう? 実は4軒目の詳細を調べたところ、隣に新しいマンションが立つ予定があって、日当たりが悪くなりそうです」

更に……これはちょっと笑っちゃいそうになったんですが、我々がその言葉に悩みながら内装を見ていると、不動産屋さんに一本の電話が。
「今連絡があったんですが、この物件先程1件申込みがあったそうです! でもまだローン審査通っていないそうなので、こっちにもチャンスがあります!」

正直不動産』(←出版社公式サイトのため非アフィリンクです)という漫画をご存知でしょうか。
嘘をつけなくなってしまった不動産営業が、不動産業界の裏側をぶっちゃけながら働くという漫画なのですが(普通に面白いのでオススメです)、
この中にこんなシーンがありまして。今回のこの電話が本当なのかどうかはさておき、つい思い出しちゃいました。

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(『正直不動産』第一巻 144pより)

ここで大事なのは、「この物件はいい物件である」(たとえこのやり取りが仕込みであったとしても)ということです。
内見までに自分なりに複数の不動産サイトを回ってみましたが、資産価値という軸で見る限り、素人目線ではこれ以上の物件はまったく見つかりませんでした。

それもあって、「購入申込書提出の時点ではまだ契約にならない、実際に契約書を交わすまでは撤回も可能」という確認を取った上で、購入申込書を提出するに至った次第です。

・調べれば調べるほど出てくる、「新たな事実」

皆さんは、ここまでの流れを読んでどう思われたでしょうか。
文章にまとめると(特に内見の話は)ある程度胡散臭さも感じるような気がしますが、これを目の前でハキハキと説明されると、けっこうな説得力があります。
そして繰り返しますが、物件そのものは(素人目線では)非常にいい物件です。これは今も疑っていません。

……私が家に帰った後の気持ちとしては、
不動産屋さんも商売なんだし、たとえ「口車に乗った」状態だったとしても、それはそれでいいじゃないか。
という気持ちと、
とはいえどこか他のところで「騙されている」のでは?
という気持ちが半々でした。

こういう時は、とにかく「調べる」に限ります。しかも、「言われたこととは逆の主張をしている文章」を。
過剰に両論併記に拘るつもりはありませんが、やはり一方的な主張のみを聞いていると、自然と心がそちらに傾いてしまうでしょう。

ここからが、本当にこの記事で書きたかったことです。
特に、「仲介手数料」までの話を「なるほど」と思っていた人にはぜひ、読んでほしいと思います。

・「賃貸 or 住宅購入どちらがよいか?」について

これに関しては、最初に書いたように深く踏み込みません。将来的に不動産の価格が暴落するかもしれない、というリスクをどれだけ許容するかは人それぞれだからです。

ただ、以下の部分に関しては、限りなく嘘に近いです。

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「住宅ローン減税が消費税アップにあわせて延長された」という話は知っていたので、私はこれをそのまま鵜呑みにしていましたのですがが、よくよく調べてみると(これめちゃくちゃ複雑でわかりづらいんです……)、
「消費税増税に伴う住宅ローン減税の延長」とは、
「消費税がかかる買い方(「基本的には」新築の場合)」をした際に、それまで10年だった控除期間が13年に延長される
ことです。
実際に住宅ローン減税の制度そのものが適用されるのは、2021年末までに入居すればOKです。

・一戸建て or マンションどちらがよいか? について

これについては隠していたんだろうと言うほどの情報でもありませんが……一応。

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一戸建てのデメリットに挙げていた「耐用年数の短さによる資産価値の下がりやすさ」は、一概にそう言えるわけではありません。
一戸建ての場合、建物が建っている土地はすべてその人のものです。一方、マンションの場合は土地の所有権は住民の中で配分されます。つまり、一戸建てには土地という資産も含まれているということ。建物の価値が下がったとしても、土地の価値は下がらない……かもしれません。ただ下がるかもしれませんから、この辺りはまあ考え次第かなと思います。

・新築 or 中古どちらがよいか? について

ここからちょっとずつ踏み込んでいきます。
新築のデメリットの「資産価値が低下しやすい」というやつなのですが、これは「2018年の築年数別の平均価格」を比べたデータでしかありません。

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もちろん、「今の資産価値」を図る上ではこの見方も大切ですが、
「同じマンションがどう価格変化しているか」ということも、一応は見ておくべきなんじゃないでしょうか。
つまり、「2009年の新築マンション価格→2014年の築5年マンション価格→2019年の築10年マンション価格」……というような見方です。
ネットで探すだけだとどうにもソースに限界があるのですが、以下のデータをもとに見てみたいと思います。
新築価格が線グラフから読み取るしかないのと、中古価格が5年刻みなので真ん中をとる(築0〜5年なら3年とする)などしているので、あくまでもざっくり見てください。
「首都圏マンション価格は急落するのか」(みずほ総合研究所)※実際のソースは「首都圏・近畿圏のマンション市場動向」(株式会社不動産経済研究所)
「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2009)」(レインズ)※2009年の概況
「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2013)」(レインズ)※2013年の概況
「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2019)」(レインズ)※2018年の概況

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個人の検索の限界で、どうにも一側面しか見られないのが悔しいのですが、とりあえず新築価格平均・2009〜2019の中古価格平均を表にまとめました。
とりあえず新築→築3年の価格変動を見てみましょう。
2006年築
新築平均4100万円→築3年(2009年)平均4040万円(1.5%減)
2011年築
新築平均4600万円→築3年(2014年)平均4220万円(8.3%減)
2016年築
新築平均5500万円→築3年(2019年)平均5712万円(3.9%増)

新築価格の推移を見るに、いわゆる不動産バブル……不動産価格の高騰は、2012年頃から一気に始まっています(参考資料一番最初のみずほ総合研究所の資料にグラフがあります)。
そのバブル前、2006年築のものを見ると、新築→中古の価格変動は微々たるものです。逆に、まさにバブル真っ最中である2016年築のものを見ると、価格はむしろ上がっています。「それは不動産バブルなんだから当然でしょう」と思うかもしれませんが、
それであれば、同様にバブル中、しかもバブルが始まってすぐの2011年新築マンションがこんなに一気に価格減している説明がつきません。

理由に関しては不動産素人の私には想像しかできません……が、「バブル初期は新築の人気が高かったため中古のニーズが減り、そのため中古価格が一気に落ちた」「現在は中古に目を向けている人が多いため、中古のニーズが戻り(もしくは増え)、バブルも相まって中古の価値が上がった」と考えれば、説明がつくのではないでしょうか。

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もう一つ、先程の表をもとに、築年数別の価格推移グラフを作ってみました。(これもデータ量がいまいち足りない感がありますが……)。
あくまでもこれは中古の価格推移なので、新築のことは考えておりませんが……。
2009→2014→2019という10年間に関しては、築年数に関わらず同じような価格推移を辿っているように見えます。2001年築と2006年築……すなわち、築十数年前後の物件に関してはやや2014→2019の伸びが大きいので、「築十数年前後の物件が今はニーズが高く、価格が上がっている」ということでしょうか。
さておき、最初に言われたような「15年〜25年で一気に価値が下がる! ある程度築年数が過ぎていたほうが安全!」というのは、果たして本当なのか?
(築年数に関わらず価格推移するのであれば、たとえ、新築が言うように「高すぎる」としても、「築浅物件」を選択肢に入れてもいいのではないか?)という疑問が出てきます。

ここでもう一度断っておきたいのですが、これまでの話は、不動産素人の私が色々データを漁った結果の想像でしかありません。こういうデータの見方もあるのではないかな、という話です。
私自身、全面的に自分の論理を信じているわけではありません。不動産屋さんはプロですので、信頼度はそちらのほうが高いです。でも、賃貸 or 購入のとき同様に、将来的に不動産価値がどうなるかなんて、100%のことは誰にも言えません。
大事なのは、「本当に自分自身で判断しているか?」を今一度、省察することだと思います。

そしてもう一つ。私が不動産屋さんに「隠されていたな」と感じたのは、この事ではありません。ここからが本番です。

・予算はどんなもん? & 不動産業界の裏事情 について

まず予算について。まずひとつ目は、維持費として固定資産税もかかるということ。都内で夫婦が住める広さだと月1〜2万円でしょうか。ちなみに新築の場合は5年間の減免措置もあるそうです。地味にお得。

もうひとつあるのですが、いったん飛ばして「不動産業界の裏事情」についてツッコミを入れていきたいと思います。

図1

図2

おさらいしますと、上2つの図で、不動産業界の手数料は直接向こうの不動産業者に行っても変わらない……と説明を受けました。

ですが、「手数料3%+6万円」はあくまでも上限であるということを踏まえて、「向こうの不動産業者」の立場になって考えてみてください。
向こうの不動産業者にとっては、買い主である我々が業者を通さず直接取り引きしてくれることで、手数料が通常より多くもらえます。
とすれば、「手数料の値引き交渉」の余地はありますよね(してもらえない可能性もあるとは思いますが)。たとえ手数料を1%にしてもらったとしても、1番目の表の状況に比べれば、儲けは買い主からの手数料分上がります。儲けが増える向こうの不動産業者も嬉しい。手数料が割り引かれた自分も嬉しい。winwinですね。

そうなったときたまらないのは、紹介だけして向こうに行かれてしまう、こちら側の不動産屋さんです。一銭も入らない、骨折り損のくたびれ儲け。向こうに行かないでくださいね、というのは当然です。

でも、こちら側で不動産屋さんを通すメリットは手数料とは別のところにあるんです。契約時こちらが不利にならないよう取り計らってくれる。値引き交渉を代わりにしてくれる。「買い主側の味方」としてのアドバイスをもらえるのは、大きいはず。

ただ、このメリット・デメリットを隠したままに、単に「払う金額は同じだから」という言葉で切り捨ててしまうのは流石にどうなの? と、言いたくなるわけです。

とはいえ、この件に関しては不動産屋さんの気持ちも非常にわかりますし、そもそも業界の慣習上値引きなんてしてもらえないのかもしれません。しかし、隠されていたのはこの話だけではありません。

先程飛ばした、「予算について」のもう一つのツッコミどころ。住宅ローン減税について……。

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既に、このようなツッコミを入れていますが、この「消費税がかかる買い方をした際に」って、どういう時? という話です。

実は、簡単に言ってしまえば、「法人(不動産屋さん)から買う場合には消費税がかかり、個人から買う場合には消費税がかからない」らしいんです。
通常、HPなどに載っている価格は、消費税がかかったとしても税込みで表示されているのであまり意識する必要はないのですが……。ここをもう少し詰めてみましょう。

まず新築の場合。これは、当然ですが「前の持ち主」がいない……というか、不動産屋さんの持ち物です。ですので、新築には消費税はかかります。ですので先程、「消費税がかかるのは基本的には新築の場合」と書きました。

中古の場合はどうでしょうか。中古の場合、前の持ち主が存在します。たとえ不動産屋さんを通したとしても、実際の取引はその「前の持ち主」との間で行われたという解釈になるそうです。ですので、消費税はかかりません。普通は。

中古の例外についてーー実は、これまでの文章の中にヒントがあるのですが、おわかりでしょうか……。

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中古リノベ済みマンションのメリット、一番最初の項です。「リノベ会社が安く買い上げた上で販売していることが多い」とあります。
この場合、既に元の持ち主から買い上げてしまっているため、既に物件の所有権はリノベ会社にあります。つまり、法人が販売していることになり、消費税がかかることになるわけです。

それの何が問題か?

もちろん、住宅ローン減税の適用範囲が少し変わる……というのもありますが、それはメリットです(消費税がかかったほうが控除額が大きいので)

問題は、

図1

業者が販売している(既に業者が家を買い上げている)場合、この構造が成り立たないということです。つまり、こう。

図3

あれ、でもこれって……。

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この構造と、まったく同じじゃないでしょうか?

つまり、「街の不動産屋」が儲かる自社物件を優先的に紹介したいのと同じように、買い主側の仲介業者は儲かるリノベ物件(正確には、業者が既に買い上げている物件)を優先的に紹介したいということになりはしませんか?

とすると、問題は根本から変わってきます。なぜなら、我々は自分たちが物件を選んでいるように見えて、その実は都合のいい物件を選ばされていた可能性が出てくるからです。

最初に我々は、数百件の物件から良さそうな物件を選びました。でもその時点で、不動産屋さんの説明から「中古マンションをリノベする」「リノベ済みの中古物件」の2つに絞られているわけです。
その後、「オススメ」かどうかを分類したのは不動産屋さんです。我々も一度自分で選んだ物件だからこそ、そこに異論はありません。
そして内見に行ったときに激推しされて申込みまでいった物件は……リノベ済物件でした。

……この話、私はどちらかというと、騙された(隠された)という怒りよりは、感動した気持ちの方が大きいです。不動産営業マンのテクニックの真髄だなぁと。

それに、繰り返しますが、紹介された物件は調べる限り非常に良い物件です。「すぐに申し込みが入って売れてしまうだろう」という言葉は、おそらく嘘ではないでしょう。

そして、これは想像ですがーーこのパターンの場合、競合する相手がいた場合家を手に入れやすい(もしくは、割引してもらいやすい)のではないか? という気もしています。
なぜなら、仲介業者は買い主である私達からも手数料を得ているため、売り主である不動産業者に「手数料の値引き」を元とした交渉がしやすいだろうからです。

ただもっと想像を働かせると、この時点で買い主側である私たちが直接向こうの不動産に交渉する、という手もありますね。
そもそも仲介を通さない直接取引になるため、仲介手数料が向こうの不動産屋さんにも、こちらにもかかってこなくなります(紹介してくれたという義理を欠く行為ですし、向こうの不動産と直接交渉しなければならないというデメリットはありますが)。
とはいえこの行為は、物件紹介まで受けた上で行うと色々と法律的にも問題がありそうです(「抜き行為」という単語で検索すれば色々と情報が出てきますが)。

・別に、リノベ済物件が悪いわけではない

まとめます。たとえリノベ済物件が「仲介業者にとってお得な物件」だったとしても、だからといってリノベ済物件そのものが悪いというわけでは断じてありません。最初に説明されたメリットが覆ることもありません。私は今でも、コスパで考えればやはりリノベ物件がいいなと思っています。

そして、「仲介してくれる不動産屋さんに手数料を払うこと」も悪いことではありません。先にも書きましたが、「買い主側の味方」としてのアドバイスをもらえるのは、非常に大きいです。

でも、リノベ物件や仲介手数料の件にとどまらず、そもそもこれだけ持ち家賃貸論争、新築中古論争が声高に叫ばれているということは、どちらにもメリット・デメリット(リスク)があるということでもあるんだと、私は思います。

家を買いたいとなった時は、最初から選択肢を絞りすぎずに、偏見抜きの状態でいま一度、考えるのがいいのではないでしょうか。

私も業界の人間ではないので漏れはあるでしょうが、少なくとも、不動産屋さんの"言われるがままにならない"ための情報くらいは、ここまでの文章でお伝えできたのではないかと思います。

その上で、「新築か中古か」「中古なら未リノベかリノベ済みか」「本当に今買うのか」「今後のマネープランはどうなのか」そして、「自分たちは本当に資産価値だけを考えて家を買うのか」。ここを、誰かの言葉でなく自分たちの言葉ではっきりと断言できるようにすることこそが、家を買う上でもっとも大事なことなのではないかなと思います。

・おわりに

私が今回書きたかったことは、これで全部です。
家の購入を検討している人、またいつか買おうと思っている人の助けに、少しでもなれたなら幸いです。

ちなみにこの後、私達夫婦が実際にどうしたか……ということを、別記事に有料noteとしてまとめました。
ただの後日談ですので、特に「新たな情報」なんてものはありません。もしこの記事を読んで少しでも参考になったと思ってくださった方がいれば、カンパ代わりにでもご覧いただけると嬉しいです。

改めまして、ここまでの長文を読んでくださった皆様、本当にありがとうございます!

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