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もいちど算数(1):数について考える・上

「もいちど算数」についてはこちら→算数苦手人多すぎ問題と、算数は暗記だ問題について

ひとくちに算数といっても、その範囲はとても広いです。ただやみくもに書いていくのも何なので、学習指導要領を見ながら振り返っていきたいと思います。振り返っていきたいと思います。
※学習指導要領って初めてじっくり読んだんですが、読み物としても面白いですね!

ということで、まず数と計算「1. 数の構成と表し方」を始点に振り返っていきます。
※「初学者に教えるときに、前提として覚えておかなければいけないと思われること」を整理するイメージですので、学年別の範囲についてはあまり意識していません。

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まだ算数どころか、「数」というものがなかった遠い昔に、自分が産まれたと考えてみます。
生きるためには食べることが必要です。狩りをしたり、果物を採集したりするでしょう。

今日も鳥を狩ってきました。
みんなに自慢するのですが、「俺の方がたくさん狩ったぞ!」という人が現れました。どっちが多いかは、並べてみればわかります

図1


次の日は運良く群れに出会うことができて、2人ともめっちゃ狩れました。どちらが多いか……まあなんとか、わかります。

図2


次の日もたくさん狩れました。持ち帰ると、「すごいね、昨日より多いんじゃない?」と言われました。
昨日より多いかどうか、今までの方法ではわかりません。

図3


じゃあどうするか。直接比べるのが無理なら、記録しておけばいいのです
紙もペンもない時代です。木に鳥と同じぶんだけ刻みましょう。

図4

見づらいですが、これで昨日と今日を比べられました。

これで解決……かと思いきや、新たな問題が出てきました。
こうやって比較するためには、いつも木を持ち歩いていなければいけません
ポケットつきの服なんてない時代です。いつも木を手に持って歩くのは、まあ無理でしょう。覚えるのも……難しいでしょう。
 繰り返しますが、「まだ数のない世界」です。

画像6

じゃあどうすれば覚えられるのか。
どれだけいるか? を、別の形に置き換えてやればいいのです。

すぐ思いつくものだと、手の形(これはそもそも「木に刻む」より先に思いつくでしょうか)。
でも、けっこう「手がどういう形だったか」って覚えづらいような気もします。
一気にたくさんのことを覚えようとすると、「あれ、この指は立ってたっけ?」みたいな。

ということで、「どれだけいるのか」に、名前をつけることにしました。
手の形にあわせてそれぞれ、いち、に、さん、よん、ご。
それぞれの形も新しくつくりましょう。1,2,3,4,5。

図7

手の形は覚えられなくても、名前さえ覚えていれば、覚える量が増えても楽です。形も新しく作りました。
この「数字」さえあれば、さっきまでのように木にたくさん刻む必要はありません。「数字」の形を刻むだけで大丈夫。

このように、数字というのは、現実の世界のものをかんたんに表すために人間が作ったもの、なわけです。
その数字を使っていくのが算数なわけで、つまり算数というのは、「現実を簡単に(シンプルに)表した世界」での物語です。

もちろん、「算数」を勉強していたのが「数学」になって、さらに学んでいくにつれて、どんどん抽象的になっていくのは確かですが……。

それでも、現実世界を表すための「手段」こそが算数のおおもとである、というのは、忘れてはいけないことだと思います。

それをふまえて……数について、もう少し続きます。→もいちど算数(2):数について考える・下

<まとめ>
[覚えなければならないこと]
・「数」や「算数」は現実の世界を表す(人に伝えたり、覚えたり、記録する)ための手段である、という考え方
・1から9までの数字がどれだけの量に対応するか

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