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SF笑説「がんばれ!半田くん」⑩地球(テラ)へ

 つばきちゃんを載せた隕石が衝突してから、1時間ほど経っただろうか?新たな衝撃が半田くんたちを襲った。

ドーン、ガツーン、バリバリ、ドッシーン!

強烈な音と振動が、響きわたった。

「あいたたた。。。」

そう言いながら現れたのは、田床山美だった。

「あっ、山美!いらっしゃい。よかったぁ、山美にここで会えて。頼りない半田くんしかいないから、どうしようかと思ったわ。」

と、笠山つばきちゃんは、大喜びで抱きついた。一方半田くんは残念そうに、

「ああ、山美かあ。お土産は納豆かタクワンだけでしょ?つまんないなあ」

僕は、とても残念な気持ちでいっぱいでした。

「タクワンは朝食べちゃったから、もうないわ。納豆は大切な保存食だから半田くんなんかにあげないわ」

「いやぁ、納豆のせいで、おならが臭かったのなんのって、もう大変だったわい。」

カルシウムやマグネシウムとは違う透明な球体がそこにいた。

「おい、ケイソツくんじゃないか!久しぶりだなぁ」

「マグネシウムくん、その名前で呼ぶのはやめてくれ、いまはシリコンと名乗っているんだ。」

「ふん、そんなこと、知りこん!」

「やっと集まったな。僕らは、未来からやってきた球体6レンジャーのメンバーさ。」

「球体仲間の6レンジャー?シリコンの奴はレンジャーどころか、私のお尻の近くにくっついたまま、ずっと失神していたのよ。役に立たないわ。」

「山美のおならのせいで気絶したんだよ。発酵食品の納豆のおならは、とってもヤバイよ!」

 シリコンさんは、すっかり納豆ぎらいになったようだった。しかし、そもそも山美のお尻にしがみついていたのが間違いだ。シリコンという名前だから仕方ないのかもしれないけど。。。

「球体6レンジャーとは、地球をつくる元素のベスト6である鉄・酸素・ケイ素・マグネシウム・カルシウム・アルミニウムから構成される球体仲間なんだ。元素にはまだまだ沢山の種類があるけど、地球の約98%は、この6つの元素で出来ているんだ。地球だけじゃない。水星・火星・金星も同じだよ。」
と、カルシウムくんがなぜ球体6レンジャーと呼ばれているのかを説明してくれた。

    続いて、マグネシウム王子が、球体6レンジャーが21世紀の僕たちのところに来た訳について教えてくれた。
 「僕たちは、君たちの時代から100数十億年先の未来からやってきたんだ。この時代の地球は末期現象で、生物もいなければ、多くの鉱物もバラバラになって、元素に分かれて暮らすようになっているんだ。地球環境も劣悪で、僕たち元素の暮らしも決して幸せではないんだよ。僕たち球体6レンジャーは、その原因をいろいろ調べていて、僕たちの時代の地球環境が劣悪なのは、どうも21世紀の地球にあるらしいということが分かってきたんだ。そこで、ぼくたちは、21世紀の地球に生きる若者たちに、地球環境の問題を理解してもらうために、46億年の地球の旅プロジェクトを計画した訳なんだ。地球環境の問題を解決するのは、君たち自身であり、僕たち自身でもあるわけだけど、まずは地球の本当の姿を学んだもらおう。そう考えて、始めた旅なんだよ。」

「僕ら以外にも、鉄・酸素・アルミニウムなどの仲間もここにやっていているはずなんだ。そろそろ6レンジャーのメンバーが全員集まってきているはずだから、新しい冒険に出発するよ。」 今度はシリコンさんが、そのように宣言した。

「えっ、今度はどんな冒険なの?」

僕は、また冒険なのかよ。つばきちゃんたちと再開できたから、もっとゆっくりしたいのに!と思いながら、マグネシウム王子に聞いてみた。

「僕たちの隕石はもうたくさん衝突して、もう大きくなって来ただろう。この大きさになると小惑星と呼ばれるようになるんだよ。次はこの小惑星同志の衝突が激しくなって、ついに地球が誕生するのさ。」

マグネシウム王子は、目をキラキラさせながら、地球の話をしたけど、僕にはまだよく分からなくて、重ねて質問をしてみた。

「僕たち、美怜小学校の小学生が衝突するから、地球が誕生するの?すると、学校で”おしくらまんじゅう”をする度に地球が生まれちゃうよ?」

「カルシウムくん、君はよほどお馬鹿さんな小学生を連れて来たんだね。半田くん、小学生ではなく、小惑星。ほら、21世紀のニュースでやっていただろう?日本の宇宙探査機が、小惑星の”イトカワ“や”リュウグウ”に行ったでしょう?あのような小惑星がたくさん集まって最初の地球はできてきたんだよ。」 

 マグネシウム王子は、まじめな顔で説明をしてくれましたが、僕はとっておきのギャグが通じなかったので、すこしキレました。これが本当のギャグギレです。

 そうこうするうち、たくさんの小惑星や隕石が重力に引かれて、一箇所に集まっていきました。そして、衝突して融合し、ついに一つの星が生まれたのです。そう、これが地球(テラ)です。