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【不登校&凸凹と歩む】不登校中学生がただいま連続登校中!嬉しそうに登校し始めた、そのワケとは?

ASD(自閉スペクトラム症)に加えて、小学校から不登校傾向のあるわが家の次男が、この半月ほど比較的順調に登校し続けています。

一体何が起きているのか?
そしてこの先、どうなるのか?

お子さんの不登校に悩んでいる保護者さんにとって、わが家で起きた小さな変化が何かのヒントとなれば幸いです。

それは提案から始まった

とある、お休みの日のこと。
不登校傾向にある中1の次男が、神妙な顔つきでやってきました。
次男「あのね、考えたんだけど」
私 「なあに?」
次男「オレが学校に行けたら、ポイントが付くようにしてくれない?
(以下、ポイント=Pとします)
で、Pがたまったら、1P=1円の換算で、ゲームソフトとか、オレの欲しいモノを買ってもらいたいんだけど」

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まずは、この提案に驚きました。
学校に行ったらPがつく?初めて聞くタイプのポイ活です。
「何アホなこと言ってんの」といいかけて、ハッと気づきました。
こんな仕組みを提案してきた彼の、裏の気持ちに。
やはり、学校へ行きたい気持ちはあるのです。

その気持ちに向かうための、彼なりのわかりやすい仕組みだと思いました。

たとえば、朝、学校へ向かうのが嫌だなという気分のとき、頑張っていくか、それとも休むかという選択をしなければいけません。
毎朝この葛藤をするのは、意外にエネルギーを消耗します。
しかし、ポイント制を導入すれば問題を単純化できそうです。
今日は頑張ってでもポイントを稼ぎたいか、それともポイント獲得をあきらめて家で寝ていたほうがいいか、少し別の視点から判断するほうが楽かもしれません。

最近読んだ発達障害関係の本の中に、こんな一節がありました。

”適度なご褒美の工夫で、達成感の獲得や辛抱に慣れることに繋がり、自尊感情を高めて、社会適応を促す” 

適度なご褒美
たしかにその通りです。

大人でも、お金がもらえるから仕事をする気になります。
全然お金をもらえなかったり、報酬が非常に低いことが分かっていれば、仕事をする気など湧いてきません。
ましてや、不登校の中学生。
ご褒美目的であっても学校へ行けるなら、彼の毎日は大きく変わるでしょう。

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私 「どんなふうにPをつけようと思うの?」
次男「学校に行ったら、50P、授業に出たら50P、とかどうかな?」
私 「なるほど、学校に行ったら50円。おもしろいね。
あ、そうだ、たとえば、学校に行ったら40Pなんだけど、午前中に学校にたどり着けたらプラス10P、その場合は合計50Pになる、ってのはどう?」
次男「昼から行ったときは、10P損するってこと?わかった。それでいい」

このところ、学校に行くにしても、自宅で昼食を食べたあと、昼から登校というパターンが続いていました。
ちょっとでも早い時間に行けるなら、そのほうがいいのでは。

次男「宿題やったらPは?」
私 「なるほど、どのくらいつけたい?」
次男「1教科10Pは、ダメ?」
私 「いいね。提出物はどうする?」
次男「じゃそれも、出したら10P」
私 「OK」

こんなふうに、教室に入ること、授業に出ること、1日に2コマや3コマの授業にでた場合など、いろいろな場面を想定して。
そして、それぞれに対する次男の心のハードルの高さを元に、1つずつ一緒にP数を決めていきました。

次男「明日から、やってみていい?」
私 「もちろん。P忘れんように、記録しといてね」
次男「うん、わかった」

メリットとデメリット

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もちろん、何かをすることでご褒美が得られる、というシステムの導入によるデメリットもあります。

しかし、それでも今回は、デメリットよりもメリットのほうがはるかに大きいと思いました。

<次男にとってのメリット>
①不登校という問題に対して、自分で解決法を考えてみる体験
②その解決法を、周りと相談しながらブラッシュアップする経験
③その解決法が受け入れられる喜び
④その解決法を試してみる経験
⑤できたという喜び
⑥計算の機会(注:足し算が苦手)
⑦学校へ行く心理的ハードルの降下
⑧問題に対するPDCA(PLAN→DO→CHECK→ACTION)サイクルの実践
⑨自尊感情の高まり
⑩学校へ行く喜び
⑪さまざまな社会経験の機会
⑫ゲームソフトの入手
 など

<私にとってのメリット>
⑬話題の増加
⑭前向きに取り組んでいる次男を見る喜び
⑮いい顔をしている次男を見る喜び
⑯次男の成長を見る喜び
⑰自分の時間の確保
 など

<デメリット>
①ご褒美がないと動けない人間化
②出費の増加

これらを天秤にかけて考えた結論は、もちろん「導入すべし」。
まずはやってみよう。
是非の判断は、それからでも遅くないはずです。

嬉しそうな「ただいまー!」

翌朝、次男はこちらが促す前から制服に着替え、準備をしていました。
いつもだったら、昼近くまで寝ているか、起きてもぼーっとしているか、そんなところですが、全然顔つきも違います。
なにより、楽しそう。

「行ってきまーす!」

始業に間に合うように、とはいきませんが、いつもに比べたらずっと早い時間から、元気に登校していきました。
さて、どうなることやら。

次男「ただいまー!今日150Pためたよ―!」
は?
私 「いきなり150P?ってことは、何?もしかして、授業に出たのアナタ?」
次男「うん。数学の授業で、グラフかいた。スタディサプリより、先生の授業のほうがおもしろかったよ」

これはすごい。
これまで次男は学校に行っても、基本的に図書館で過ごしていました。
教室へはなかなか足が向かず、ましてや皆と一緒に授業を受けることもほとんどせず。
それが、数学の授業に出たとは。

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ポイント制導入後、お休みを除いて7日連続で登校しました。
「今日は160P」
「ずっと宿題やったから、200Pいったよ!」
「今日は少なめ。120P」
やってみて気づいたのですが、頑張りが数値化されると、かなり便利です。
今日は頑張ったんだな、とか、今日はちょっと疲れていたんだな、というのが具体的かつ客観的に判断できます

担任の先生からも、驚いた様子の連絡が入りました。
「◯時間目は私の授業がなかったので、次男くんとお話しておこうと思って図書館に行ったんですよ。
ところが、いない。しばらく待ったけれども、いない。
おかしいな。まさかと思うけどもしかしてと、教室に行ってみたらですね、次男くんが授業に出てたんですよ~!」
先生もびっくりの大変化です。

しかし、8日目の朝。
慣れない連続登校で疲れたのか、動けなくなりました。
私 「だいぶ頑張ったからね。今日は休んで、また明日から頑張るエネルギーをためようか?」
次男「うん、そうする」
そりゃ今までやってないことをずっとやれば疲れもたまります。
続けるためには、休みも必要
ゆるい感じで取り組むことにしました。

このようにして半月以上が経ち、かなり順調なペースでPが溜まりつつあります。
親として何より嬉しいのは、学校に行った日の次男は、幸せそうな顔をしていることです。
それは、学校が楽しいというしるし。
また、学校へ行きたくないという気持ちを乗り越えた自信が、彼を輝かせているように感じます。

環境と成長

次男の発達障害がわかって以来、ほぼ月に1回のペースでお世話になっているカウンセリング。
今回の件を、先生に伝えました。

先生は、絶句。
「これはちょっと…すごいですね。成長したなぁ。
まわりと折り合いがつけられるようになるのは、高校・大学の頃かなと思っていたのですが、すごいな、すごく、変わりましたね」

デメリットについての不安も相談しましたが、
「うん。これについては、本当にメリットのほうが大きいですから、しばらくやってみましょう。
まず続くかどうか、それからですよ」

自分で導き出した解決法だからこそ、彼は動けているのだと思います。
彼はきちんと、自分を成長させていました。

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子どもには、急に成長するように見えるときがあるようです。
それは、長い冬をじっと耐えていたタンポポが、春になってすっと起き上がり、空へ向かってつぼみを伸ばし、花を開くように。
花を開かせるためには、春の環境が必要なのかもしれません。
次男の場合は、理解のある学校の先生やクラスメートが春の環境なのかも。

もちろん、再び冬がくるときもあるでしょう。
予想外の嵐に小さく縮こまる日もあるでしょう。
しかし、地面に根を張り、葉を広げていれば。
また春がきたときに、起き上がれるのかもしれません。

まとめ

次男自身が提案してきたポイント制は、今のところ順調に次男を学校に向かわせています。
これから次男がどうなるのか、まだまだ不安だらけです。
しかし、彼自身が持っている力、前に進む力を信じて、背中を押してやりたいと思います。

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