製造業がデジタル化を進めるポイント 導入編

前回の記事では、

今回は、製造業でも進まざるを得ないデジタル化について私の製造業の経験とデジタル化の社内導入経験者という観点から、お話ししたいと思います。

全てのデジタルツールは、流行っているツールを導入すればよいわけではありません。それをやると、お金の無駄どころか、業務が崩壊します。社員が疲弊します、今までうまくいっていた活動がうまくいかなくなり、業績に悪影響がでます。製造業の皆さんに注意喚起です。

では、何を注意すればよいのか。

1.デジタル化サービスを提供する会社の見極め


ほとんどの会社が、〇〇ソリューションとか言いながら、大手から中小企業まで含めて、自分が売りたい商材(ツール等)を提案してきます。
製造業は多くの場合、ITリテラシーが高くないケースが多く、なんとなく、売り手の営業員の言われる通りやれば、導入事例もあるからうまくいくのかな、と考えてしまいがちです。

キラー質問(顧客担当窓口の評価)

それを防ぐためにはいろいろな方法がありますが、キラー質問を1つ。
今世間で課題のテレワークの導入についてを例にしますと、

「〇〇〇の業務をデジタル化して、完全テレワークを実現したいと思うのですが、御社ではどのように解決なさっていますか?詳しく教えてもらえますか?」
これを聞いてみてください。
製造業なので、TO Bです、TO Cではない、TO B TO Cのビジネスではないですし、リアルなモノや現場がある業界であることをしっかり伝えたうえで。 

かなりの場合が、実は弊社では、このツール周りはできているのだけど、仰る〇〇〇の業務ととらえるとできてないんですよね、という答えが返ってくる場合が多いと思います。この場合、そのツールさえ導入すればテレワークができることはありません。
このキラー質問がすべてではありませんが、最初にフィルタリングできる質問です。

動画なら、御社では動画ををどのように使っていますか?と聞いてみてください。(弊社の営業の皆さん、しっかり答えられるようお願いしますね!)

私自身が、製造業にいた時代に、それほどお付き合いした社数こそ多くはなかったですが、WEB制作会社、業務ソフトウェア会社、動画制作会社、とお付き合いしてきましたが、
今振り返ると、ずいぶんとその業界の常識を信じて、高い買い物をさせられたな、と思うことが多いです。製造業の場合は、経営者だけでなく社員もデジタルに疎いので、高い買い物をさせられないように注意してほしいです。

サービス提供会社の評価

余談ですが、製造業が皆さんが業者選定をする際に、実は、伝統的な会社ほど気を付けた方がいいです。理由はその会社の内部の実態は以外とアナログであること、あるいはバカ高いツールである場合が多い、からです。
実際私共はお仕事を通じて話を聞いていると、大手のソフトウェア会社などで、製造業をグループで持っている会社があります。その製造業の会社の業務は極めてアナログであったりして、皆さんがデジタル化をしたいと思っているところ全てができていないか、どこかのプロセスであまりにもお金をかけすぎな方法をとっていて、本当はその1/100程度のコストで済むのに、グループ会社の開発コストが載ったバカ高いツールを使っている等のケースが見受けられます。

①社歴を見てみる

おススメは社歴が5-10年以内の会社です。
理由は、10年ほど前から、クラウドというサービスが日本にも入ってきたからです。クラウドとは、簡単に言うと、データの保管運用方法です。
データをお金に置き換えて説明するとわかりやすいので、例えてみます。
昔は、1つ1つの家に蔵があって、そこにお金を保管して、必要に応じて入れ出ししていた。銀行ができて、銀行にお金を預ければ、大きな蔵を用意する必要がなくなりましたよね。
クラウドとはお金にとっては銀行のようなものです。
社歴が旧い伝統的なシステム会社で製造業の皆さんが取引したいと思う社名の会社の成り立ちは、実は自社の蔵を内部で作っていて、がっちり安心な蔵をつくるやり方を学んだので、別会社にして製造と外販を行い始めた会社が多いです。彼らからすると、銀行に置き換えられたら困るのです。
なぜなら、蔵は、作るのに100万円~1000万円、セキュリティが堅固なもののだと億単位です。しかしながら、銀行は、お金を動かすときの手数料だけの都度払い(変動費)だから、圧倒的に不利だから、クラウドに対しても利用経験があまりないのです。

一方、5-10年ころに起業した会社は、ゼロベースですから、蔵を持たずに銀行にお金預けた方がコストもお金もかからないよね、と最初からクラウドベースで自社の業務も構築しているのでクラウドのツールの使い方を熟知して業務を行っている経験において一日の長があるのです。

さすがに社歴が5年未満は不安だと思いますので、5年~10年未満がお勧めな理由はここにあります。

②サービス提供会社の経営者(顧客側にいたか)

そしてもう1つ。その会社の経営層が顧客の業界にユーザーの立場でいたことがあるか、ということです。

デジタルサービスを提供する会社は様々です。同じようなツールやサービスを提供してくるケースが多い場合、皆さんの業界の中にいた人間が経営者の場合は、外さないと思います。
製造業なら製造業の中にいた人間かどうかです。ここで一つ注意点は、
製造業にいても売り手側だけにいた人は、本当の意味で業務を肌感覚で分かっていません。コンサルとか商社で売る立場にいただけのヒトは、一見よさそうですが、購買後に導入部分でイマイチなケースが多いです。
理由は簡単です。結局仕事はヒト対ヒトなので、現場で顧客側として携わった経験がない場合は、結局そのサービスやツールに、運用面が考えられていないケースが多く、つまりは理屈上はいいと思って買ったはいいけど、なんか使えない、そもそも解決したかったことができたと思えない、ということになるからです。従って、そのサービスを提供している経営者が皆さんと同じ顧客側の立場にあった経験がある人かどうか、で見ることです。

2.デジタル化の目的をデザインすること

目下、デジタル化の一つにテレワークの導入があると思います。
例えば、テレワークの場合、今後どのような業務環境を用意し、
更には、取引先の信頼性を向上させるのか、業績向上につなげるのか、という目的をデザインすることです。

例えば、リンクインサイトの場合、3Dを通じて、新しい事業・職能・働き方を創ります、というミッションを持っています。
テレワークを導入するとすればその目的は、自社がテレワーク推進を実現することを通じて、自社が提供する3Dを通じたビジュアルサービスが、テレワーク同士であっても安全に伝達効率を向上させることができるのだ、ということを自ら実証するプロセスを社員一人一人が業務体験を通じることにより、顧客に対して信頼がある正しい知見を幅広く提供することができるようなる。ということです。

3.目的にかなった業務設計を行うこと

目的をはっきりさせたら、現在の業務設計を確認し、起点がどこで終点がどこなのか、その途中のどこがボトルネックなのかを確認します。

4.経営者を巻き込む

以上の1.2.3.のうち、2.3.はおそらく経営者の方にとっては当たり前のことですが、デジタル化を進める場合、デジタルに親しみがありそうな現場の社員が進めることになるケースもあるかもしれません。あるいは、デジタルの業界から転職してきた経験者のような方が進めることになるかもしれません。
若手の方は、やる気もセンスもあっても思いますが、2.3.の感度を持っているとは限りませんし、なかなか単独で進めることは難しいです。社内の協力が必要な職場もあるでしょう。経営者の関与が必要な部分です。

デジタルの業界から転職してくた経験者は、注意が必要です。IT企業の方と多く接していて感じるのは、デジタルを知っているがツールを語れるだけでそれを使って製造業の業務で結果を出したことはまだない、という人が結構多いです。つまり、作業はできるけど、業務ができないというタイプです。これはどういうことかというと、その知識や作業を通じて、何かしらのアナログ活動をデジタルに置き換えて結果を出した経験があるかどうか、です。

いずれの方に対しても、ここも経営者がしっかりウオッチして、若手の方やデジタル転職者の方に指導しながら、業務を進めていただくことをお勧めします。

https://link-insight.net


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