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鳥類研究所

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鳥の生物学、特に鳥の行動について学びます。
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#行動

満月で空高く飛び、月食になると降下するクロムジアマツバメ

クロムジアマツバメ(Cypseloides niger borealis)は、がっしりとした体と長く尖った翼を持つ鳥です。羽色は黒で、頭部に白い部分があり、鳴き声は甲高い鳴き声が連続し、時折、より長い鳴き声も聞かれます。この鳥は、北米のアラスカ南東部からメキシコ南部で繁殖し、コロラド州からブラジル南西部に移動をします。新世界のクロムジアマツバメは絶滅の危機に瀕しています。 旧世界のアマツバメは、6-10ヶ月にわたって空中生活をおくるとされています。繁殖期以外の期間は、24時

仲間を「救助」する鳥:追跡装置を取り除くカササギフエガラス

カササギフエガラス(鵲笛鴉、学名:Gymnorhina tibicen)は、オーストラリア、ニューギニア島南部に分布するスズメ目フエガラス科の鳥です。カササギ(Magpie)と外観は似ていますが違ったものです。しかし、現地では“マグパイ”(Magpie)と呼ばれています。ユーカリ林や川近くに生息していますが、都市でもしばしば見られる鳥です。2-12の個体で生活していることが多く、下のビデオにあるように、仲間と遊ぶ姿がよく観察されるそうです。 カササギフエガラスに、鳥を追跡す

地磁気の水平の傾きを感知して渡りの到着地を知る渡り鳥

ヨーロッパヨシキリAcrocephalus scirpaceusは、ヨーロッパから西アジアで繁殖し、7000km以上離れたアフリカのサハラ砂漠以南で越冬するために、渡りをしている。サハラ砂漠上空では、6kmの高さを飛行するという。ヨーロッパヨシキリは、渡りの時、地磁気の水平の傾き(伏角)を感じて、ヨーロッパの繁殖地に到達したと判断しているようだ。 渡り鳥は、視覚、嗅覚、磁場、あるいは星などを利用している。そのうち、磁場を地図として利用する渡り鳥の問題の1つは、その強度と方向

何十万年もの間、同じ鳥の歌が歌い継がれる

東アフリカのミナミゴシキヨウチョウ(Cinnyris Fuelleborni, East African double-collared sunbirds)。 こうした鳥の仲間はふつう場所によって歌が大きく変化します。 ところが、タンザニアのイココトとモザンビークのナムリの個体群のCinnyris Fuelleborniの歌は、数百キロメートル離れているにもかかわらず、ほとんど同じです。それは姿も、歌も同じです。この地域は地殻が安定していて、それぞれの個体群は、数十万年の