短歌59

2022/9/2

お気に入りの服からだめになっていく あたしはだめにはなっていない


2022/9/3

ネイルよれてあたしの海によく分からん大きいクジラが打ち上げられる


その方がきれいな本が届くのでついAmazonで買ってしまう


2022/9/5

think 目を閉じれば開く書斎にてライトノベルの棚のあざやか


爪を噛む 爪を噛むたび半月のうさぎが怯えててかわいそう


きみの中の暴力性が向けられるのが私でもやだよ普通に


まだ話したいことがある理科室の人体模型の動かない影


憧れは憧れでした花影を名乗るにはまず花なのでした


2022/9/6

あなたへの愛の言葉が有名なコピペになって長年流行る


さよならが怖いからまだ出会わない人の恐らく澄んだ眼差し


2022/9/7

なあなあにされ慣れていてまたシーブリーズと共に迎えた秋口


「それよりもあなたと彼は前世では同一人物だったんですよ」


パトラッシュ、眠れない僕らのことも物語って思ってくれる?


2022/9/8

代々木上原に準急滑り込む会いたいって嘘じゃなかった


2022/9/9

単数の愛でも複数の愛でもあなたがくれる、種火、だった


2022/9/10

咲く時にどんな花かを改めて選べないから花かわいそう


眠れないおまえのためだけのラジオのおまえではないハガキ職人


2022/9/11

夏ぴっぴ 別に終わりはなくたってかがやくことを示しちゃおっか

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