短歌54
2022/6/8
あらそいをあなたに見せずに済んだこと うしろめたいほのぐらい月光
2022/6/9
備品の輪ゴムでくくった髪の指通り 一生ここで働くんかなぁ
2022/6/11
そうっすね 摘んだばかりの紫陽花をそうされたいように撫でている
2022/6/12
水道の水ごくごくと入れちゃえば東京のおいしいわたしです
あまいはね ランドセルってもったいなくて大人になりたくなかった
2022/6/16
咲く前の芍薬で指す天気図のあなたの街の辺りに晴れ間
2022/6/22
誤謬だけ遺っていってこの町でみんな忘れた水滴が降る
紫陽花を選んで通るきみがもうどこにもいないことも忘れる
最後まで名前は明かさないままで インターミッション 君のまたたき
めっちゃ雨 やさしい比喩で喋るからやさしい拒絶も出来なくなった
2022/7/30
綾鷹を選ぶしかない自販機の前でプロポーズしてみたい
不可逆な火花の本質を忘れない 全員の傷を忘れられない
引きこもりだった私に夏が来る引きこもりの私に来たように
カラオケの出だしをとちるカラオケの出だしはやり直すことができる
2022/7/31
元の私なるものがあったとして、元の私には戻れないでしょ
白日の話噛み合わなかったね あなたの生は罪を持たない
社会では今から議論がなされます 遠い遠い霞 愛してた
ぼくのためのぼくの詩集で大儲けぼくから批判が相次いでいる
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