短歌55

2022/8/7

もう願いもクソもないけど駅前のフラペチーノは美味しかったよ


これは心 捨てた心 喪失を経ても私が輝くための


人んちの庭の花とか美しい 毎週一分半の診察


8月7日は花の日 ほんとだね 駅ビルの隅のひまわりブーケ


幻聴がわたしを起こす 土曜でもわたしの名前をはっきりと呼ぶ


Twitterやめてもたまにツイートを思い出してよ 思い出すなよ


2022/8/8

そういえばペトリコール きみのこと死ぬまで意識はできないのかも……


驟雨、か 痛めつければ愛だって思わせないでくれてありがと


年下のままでいられてラッキーですちょっとお高いドーナツ食べる?


水風船ぱちんといってそれっきり でもIDを覚えたまんま


空想の生き物だからかわいいね空想の餌を2ダース買うね


花の名前を教えてよ誰も来ない終点じゃない駅のベンチで


花束を手編みで作るこれからも自分のために生ききらないよ


溜め息で終わった話ばかりする暗渠の上でそうと知らずに


radikoだけ入れたスマホだけ握ってあなたのアパートへ駆けてゆく


続かない物語だよ最初からインテリアのつもりの砂時計


その時は苺が描かれた紅茶の箱の下から探してほしい


真新しい私のスニーカーを履いて春が来るまで走ってほしい


ノックして、それからこれは嘘だって語ってほしいどんな夜にも

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