見出し画像

【仲間求ム】社会起業家こそが「心と向き合う」文化を牽引する未来を"コーチと"つくるためのサービスを始めます

この度、代表を勤めるhalでSocial Coachという新しいサービスを出しました。「社会起業家のコーチになる4ヶ月」「社会起業家に心理的援助をアウトリーチする」の2つのコンセプトを持ったマッチングプラットフォームであり、学習プログラムであり、コミュニティであるサービスです。

パーソナルコーチから、社会起業家・ソーシャルリーダーを通して社会に伴走するソーシャルコーチへ、という願いから来たネーミングです。

このnoteでは、個人的な想いと背景を書きます。備忘録も兼ねてですが、何より共振するコーチと出会う可能性に賭けています。社会起業家よりもコーチ向けに伝えるつもりで書きます。

halについて

まずhalについて簡単に説明します。「心理援助の民主化」をミッションに、コーチングやカウンセリングの力を活かして、生活者やベンチャー企業向けのサービスを企画・運営してきました。

社会課題解決ベンチャーの経営者やマネージャーに対する「Renew エグゼクティブコーチング」ではザ・リーダーシップ・サークル・プロファイル™️を活用した援助をしてきました。社会起業家のインキュベーションではACTを活用したメンタルケアに関する研修を実施し、生活者向けには「生き方テラコヤ」というオンラインスクール・パーソナルセッションを提供してきました。組織開発もしてきました。

長々と書きましたが、心理援助をアウトリーチしていくために現場ベースで模索してきた1年強(個人事業からだと3年)でした。

社会起業家とメンタルヘルス

「起業家のメンタルヘルス」は深い課題です。事業も組織もストレッサーだらけの環境で、ケアは一番後回し。「自分は大丈夫」と思う人が多い。予算も掛けづらいという一般論があります。

さらに、親会社で社会起業家支援をしているtalikiとの関係の深さもあり、社会起業家との出会い・接点が加速度的に増えました。課題や困っていることには相当詳しくなったように思います。

その中で「社会起業家のメンタルヘルス」はさらに深い課題だと気づきました。社会課題に取り組むこと自体、痛みと向き合う日々です。経営者である孤独に加えて、社会課題のフロンティアである痛みと孤独も存在します。

社会性と経済性の両立に、一般的なビジネス以上に膨大な努力と工夫を要し、安易な商売論理が通じない領域も多々あります。

リーダーの心理的課題と果実

そういうわけで、社会課題と闘う起業家に役立つ形でコーチングを尖らせることはできないかと考えるようになりました。メンタルヘルスのリスクを加味すると、心理的援助が行えることも重要です。

Renewエグゼクティブコーチングで活用しているサーベイは、まさに業績相関の高いリーダーシップ能力を開発しながら、固有の心理的課題を乗り越えることを助けるツールです。

真正面からセラピーすることは是でありません。起業家の活動を支えてきた「昇華」の防衛機制を支持しながら、クライアントのタイミングで傷つきと向き合い、心の知性が育つのを支えます。

心理的課題と付き合い、乗りこなし始めたエグゼクティブのパワフルさたるや、日々感動するものです。「願いから生きる」という言葉の本質的な活力を垣間見ることができます。本当に恵まれた体験です。

「心と向き合う」について

「心と向き合う」には、「こころを感じる」と「心を考える」が含まれていると考えています。「こころを感じる」は、曖昧で複雑なこころに浮かび、消えていく感情や思考、深くは信念などをSenceすることです。過去の傷つきも含まれます。「心を考える」は、こころを体系立てて、意識を持って理解しようとすることです。精神分析学的態度だと考えています。

コーチング業界の悪すぎる心象

アウトリーチが重要なhalで働いていると、コーチング業界に接点がない方にサービシングをしますし、お話を伺います。すると、コーチング業界の心象の悪いこと悪いこと

・誰でもコーチを名乗れて、玉石混交の石ばかり目立つ
・資格取得に励むコーチの卵の友人セッションを受けたが、体験イマイチでそれ以来受けていない
・結局、資格ビジネス / 講座ビジネスでしょ?
・ざっくり怪しい、チープ、騙されやすい人が受けてる印象

なかなか苛立ちを覚える言葉たちです。みなさんはこう問われたら、いかに対話しますか?

自助と互助に救われた経験

私自身は、主観的な体験を持って対話をしてきました。起業準備中にバーンアウトした時に行った心療内科はハズレで信頼できなかった。結局私を助けてくれたのは心理療法に関する独学と実践という「自助(self-help)」と、近しいメンタル状況の友人たちとの水平的な対話という「互助(mutual-aid)」だったのです。さらには、『野の医者は笑う』でいうところの「野の医者」たちのセラピーやコーチングに助けられたのです。

セラピー、カウンセリングやコーチングの「心と向き合う」機能が肝要であったと今は考えます。自助も互助も、野の医者も結局は「心と向き合う」というジョブを私に提供してくれていたのでした。

コーチングの本来的(authentic)可能性

コーチングは成長志向・インパクト志向のリーダーに「心と向き合う」を提供できる可能性あふれたチャネルです。

事業や会社に実際的な効用をもたらしながら、積み重ねてきた痛みに慈悲を持って関わり、真に情熱から働くことを支えられるからです。

フロイトは、精神分析的な生き方とは「愛することと働くことだ」と言いました。コーチングの本来的な可能性とは、「愛することと働くこと」の本質的援助なのだと思います。経営の文脈に切り取っても、「愛から働くこと」と「仕事を愛すること」を支えられるのです。ブルジョワジーが存在しなくなった現代日本における、精神分析の新たな形がコーチングの本来的可能性だと考えるのは、極論すぎるでしょうか。

アウトリーチの仕組みをつくる

コーチングもとい心理援助の業界に不足しているのは、アウトリーチだと考えています。マーケティングではありません。マーケティングも重要なのですが、取り組まれているプレーヤーはいくつも思いつきます。

アウトリーチが足りていません。興味がある人に訴求するのではなく、むしろ興味はないが一番困っている・困りうる人にアウトリーチすることが必要です。その最たる例が、社会起業家・ソーシャルリーダーだと考えています。

孤独と痛みの最前線に生きる人に届かない援助など、なんの意味があるのだというのが私の主張なわけです。

本来的(authentic)な仕組み

仕組みも本来的でなければなりませんし、オーセンティックなものを創り磨いていきたいです。

Social Coachは合計48人しか募集する予定がありません。今回は最初の12名です。パートナーの社会起業家は増え続ける予定なのに、です。

これはSocial Coachが講座商売ではないことを意味しています。何より重要なことは、社会起業家・コーチ・halが三方よしで共に育て合う仕組みにすることです。

仲間求ム

長々と書いたことは全て仮説にすぎません。もちろん現状最深の仮説をシェアしてはいますが、結局のところ社会起業家やコーチと対話していくことを通して更新(renew,unlearn)されていくことを知っています。

1年強を通して募集していく48名のソーシャルコーチ。そのうち最初の12名は、特にカルチャーを醸成するメンバーでしょう。

社会起業家こそが「心と向き合う」文化を牽引する未来を、共に創ることができるのをとても楽しみにしています。

最後までお読みいただき本当にありがとうございました。ひとひらの緊張と不安を添えて、末筆とさせていただきます。

P.S. アイキャッチには今年8月に再訪した平和記念公園をなぜか思い出し、写真を拝借しました。社会起業家とコーチは強く平和を願うという点で、深いところでの共通の人間性を感じています。あるいは、人類の根源的な共通の願いを。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?