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隕石売って潰れたブラック会社の話。

家族がインフルに罹ったので
看病しながら
ストックしてた記事を解放します。

新卒で入った会社の話です。
そして、タイトルは実話です…。

辞めて数年後
元同僚たちにも取材協力してもらい
一回漫画作品としてネタにしたんですが
あまりにも事実内容がぶっとんでいたため
読者にドン引きされてしまった痛い過去があります。

しかし、あれからまた数年経過して
時効にもなってるので、改めてなぜ
タイトル通りの結末に、会社が陥ったのか
禊として、お話ししたいと思います。

会社の名前は伏せますが
通販関係の
絵に描いたようなブラック企業でした。

何が一番ヤバイかって、社長が。

顔はデフォルメしてますけど
装飾はまんまです。
成金臭さと胡散臭さの両方が
そりゃ満面に溢れまくってる人でした。

この社長、実は新卒就活生の前には
入社するまで、いっさい顔を出さなかったんです。
最終面接も、役員や会長はいましたが
なぜか入社式当日まで出てくることはありませんでした。

理由は、ワンマンブラック会社だから。
社長は優秀な人材じゃなくて、
従順で一発ドンと稼いでくる
景気のよさそうな社畜が欲しいだけなので
入ってくる人物なんて見ません。

そして、従業員100人くらいしかいないのに
毎年20〜30人も新卒で
面白そうなやつをぶち込んで
1年2年で使い切って履き潰して
大量に捨てていくという暴政で
「風通しのよいクリエイティブな社風」を
強引に作っていたからです。

文にすると、ひっでぇ話だ。
しかしそれだけではありません。

社長が出ない理由その2。
ゴリゴリのスピ沼の人間だったから。


自分の中にとどめておくなら
別に好きになさって良いと思うんです。
何を推し、信じるかは個人の自由ですから。

しかしこの社長、
宇宙論や霊視やら超能力とかを
会社の社訓に混ぜたり、社員に押し付けたり
まともに仕事できないレベルまで
無理やり刷り込もうとしてました。

「マインドフルネス」という
瞑想法がありますよね。
自分もたまにやってるし、
宗教や思想がらみでもなく
頭を一回リセットする、
医学的にも認められている
リラックス方法で、
これをやると仕事の効率もあがる。
実際本当にあがる。
会社で取り入れてるところも多いです。

しかし、うちの社長は
某有名オカルト雑誌を
聖書と同様扱いしていたので
同じマインドでも
「マインドコントロール」の方だと
意味を間違えたらしく
週1の朝礼の時、瞑想と題して
社員に全員目を閉じさせて
宇宙へ右回りの気を電波に乗せて…とか
トンデモ内容な洗脳会を開いてました。

早い段階でサボってましたが
社員の仕事効率あげるどころか
離職率をぶち上げる結果になってしまい

この胡散臭いワンマン精神が
のちの隕石の話と繋がってくるわけです。

整形済


社長にはあいじ、いや、恋人がいました。
恋人と意気投合していたようで
このふたりが、大好きなピラミッドの上から
下々の者に命令を出し
ひたすら会社の運気をあげようと
毎度ばかみたいな茶番をやります。

この会社で2年弱編集やライターをやっていましたが
普通の理由の検閲であれば
例えば、根拠がないのに
「100%効果ある」みたいな
表現はダメだとか、
「あの病気が治る!」
みたいに言い切ってはダメだとか
だいたいは理にかなってるし、
それなら別の表現に変えるしかないし、
納得ができるんです。

しかし、この運気命カップルによる検閲は
一味違う。
あ、運気はだめでした、運氣です。
これはまだ全然まし、
メジャーな言葉の修正です。

しかし。
…以下の話は、くそ茶番なる検閲の
一例です。

ある日突然、動物系の商品(犬や猫とか)
取り扱わないようにと御触れがでました。
矢継ぎ早に、猫は邪気ある動物だから
とくにNGだと検閲が(犬はギリOK)

全員「…なんで?」と首を捻ってる間に

1ヶ月後には
「けもの」を想像させる漢字表現は
オールNGという強固な検閲になりました。

獣はときに神様とも言われているのに
汚れてるなんて理不尽ですよね。

4コマより。実話

どうも恋人の方が動物、とくに猫嫌いらしく
猫に顔が似てるからって理由だけで
実際社員を辞めさせたことがあるくらい。

全国の動物愛護者さんに土下座して謝れって
言いたいです。

他にも画数が悪いとか
このページは風水的にダメとか
「金髪は金運呼ぶ」って理由だけで
雑誌のモデルさん全員外国人で固めろとかも
ありましたけど
…読んでる方がすでにドン引きしてる音が
聞こえてますので、やめときます。

彼らはオカルト理論で世界が回っていますから
現実世界はうまくいかないし嫌だから
いくらでも上からケチをつけられるんですが、
反対に
縁担ぎ、なんかの神秘、エジプト、
オカルト超常現象
とくに宇宙論にはめちゃくちゃ寛容でした。
ロマンだから(ロマンなのか?)
お与えしなさいと。

自分は完全に嫌気がさしちゃってて
なるべく実在する確かなものを中心に
仕事をとっていたんですが
縁担ぎの絵やパワーストーン系が高確率で
「やっといてくれ」と混じってきました。

もちろんちゃんとした良いものも
あるんですけど
…いい加減なやつも多いんです。
とりあえず珍しそうな色の石が海外で出たから
書く側で適当に設定盛って売って!って
パターンが半分。
資料なんてほとんどなくて、
半ば創作で書くとかは、ざらでした。

占い師でもない会社員なのに偉そうに
預言者目線でうそぶくわけですから
売れても全然嬉しくなかったし
独立後もこういう根拠のない系の仕事は
匿名方面でも一切、やっていません。

この、うちでは寛容なジャンルに
紛れ込んだらしいのが
「隕石」という名のデカブツでした。

やべえのがきた

実物見ましたが、
大気圏を潜り抜けた形跡とか
残っててもいいようなのに
黒いだけで、のっぺりした石。

鑑定書付きで、ウン千万で売るって聞いて
これ受けたら絶対まずいやつだと察し
すぐに自分は書かないと降りました。

結局他の人が書いて、誌面でも一番目立つ位置に
どかーんと石単体の写真載っけて
結果、売れてしまいます。

晴れて、大きな利益になりました。
しかし、問題なのはこのあとで。

辞めた後、会社が裁判沙汰になってて
社長が責任とって辞任するらしいと
元同僚から話をもらいました。

…もしかして、あれか。
と聞いたら、そうだと。

結論から申し上げると、あの隕石、実際は。

宇宙のロマンもくそもなし

ただの石でした。

購入したお客様は
ウン千万のロマンを心意気で買える方なので
それなりの財力権力の持ち主だったそうで。
噂ですがどうも裏の…いや噂ですきっと。

やはり、実際送られてきた石を
目の前に疑問を持たれたのでしょう。
鑑定書とともに、然るべき鑑定士さんの元へ
持って行かれたそうです。

鑑定結果は
立派な偽物。
なんでもない石ですよ、
鑑定書は捏造でしょうねと。

実際マジで捏造だったとのこと。

両津のバカはどこだ!と、部長が
派出所に怒鳴り込んでくる場面が見える。

こち亀なら1週間で許される話ですが
もちろん現実ではそうはいかず、
お客様のお怒りは法廷までいってしまった
という流れらしいです。

ほかにも似たような神秘未知系を売って
端々揉め散らかしてたとかで
(やりかねん)
最終的に社長が責任を取って退いたとのこと。

その後の会社はどうなったのかわかりません。
残留してた社員も役員含め
ほとんどが辞めて行ったようです。

社長が代わり、名前も所在地も変わり
多分現在は存在しない。
社長は行方不明、
恋人はおそらく、社長を捨てたのか
日本にいないかも。

文字通り、宇宙の神秘かつ脅威である隕石が
会社にモロにぶち当たって
最終的に滅びたようなものなので
ひそかに「終末」って呼んでます。

しかしふたつだけ、良かったことあります。
ひとつは、会社は真っ黒でしたけど
社員同士の仲は結構良かったことです。

先輩とマジでやった(こなかった)

それぞれの転職先でお世話になったり、
取材許可してくれた同僚や先輩
相談乗ってくれた先輩も現在にいたるまで
たくさんいらっしゃいます。
家庭持ったり、会社たちあげたりしても
たまーに連絡して近況報告したりしてます。

もうひとつは、
私的検閲があまりにも理不尽だったので
そのきつく規制された中で言葉の言い換えを
必死に探して書いていた期間があり
わずか3年足らずで辞めてから、紆余曲折あり
独立に漕ぎ着けた時、すぐ次へスライドできたことです。

なんでも書いていいよ〜、
こう書いとけば〜、って余裕ある環境だったら
主体性や強みを持たないまま
食いっぱぐれてたと思います。

理不尽な縛りが多くあったほうが
ある意味良いものは生まれるのかもしれない!

と、思いましたが
はるまげどん的なのが自分にぶちあたるのは
マジ勘弁なので、今は現状を地道にやります。

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