山田古形

楽しいヘンテコ小説をあれこれ書きます。とぼけた人たちやおかしなできごとの話が多いです。

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  • 山田古形の小説

    山田古形が書いた小説の一覧です。楽しいヘンテコ話がたくさんあります。

カクヨムの公式企画「百合小説」で賞をいただきました

カクヨムの公式企画「百合小説」で、私の書いた小説「恋愛信号管理局の衰退と再興」が賞をいただきました。 「斜線堂有紀賞」という、作家の斜線堂有紀さんが選考を担当された賞です。 ありがたすぎて混乱しながらキーボードを叩いております。 結果を知った時は嬉しくて、意味もなく自宅の床にひっくり返りました。取り乱した人間の行動は不思議ですね。 下記がその小説です。この機会に読んでいただけたら嬉しいです。ひっくり返ります。

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    • 【小説】恋愛信号管理局の衰退と再興

      『恋愛信号管理局　局長　蒲生璃名』 　クローゼットの奥底にある収納ボックスの奥底に押し込まれた角型ポーチの更に奥底、奥底に奥底を重ねた深奥に、ひび割れたプラスチックのネームプレートが今も眠っている。 　市販の材料と不器用な手先を組み合わせて作ったあのプレートは、私にとって希望に満ちた青春の象徴であり、不毛に満ちた迷走の遺物でもあった。 　恋愛信号管理局は三年前の四月、当時高校一年生だった私と三人の友人によって発足し、翌年の三月に大して惜しまれることなく解散した。 　巷間を飛び

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      • 【小説】彼女が笑うゲーム

        「園生さんって作り笑い得意だよね」 　情報学部棟三階の休憩スペースで欠伸をした瞬間、鹿倉小祥が声をかけてきた。 　こいつはいきなり何を言うんだ、と心中で訝しみつつ、表面的には曖昧な微笑を浮かべる。表情筋の繊細なコントロールによって、「気の抜けた仕草を見られた羞恥」と「言葉の意味を測りかねている困惑」を適切な比率で配合した微笑に仕上がっているはずだ。 　鹿倉はイスに座る私の傍らに立って、窓から差す午後の陽光を浴びながら、感情の映らない真顔でこちらを見ている。 　肩まで無造作に伸

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        • 【小説】襲撃のシュークリーム・ヘッド

          　ふらつく足取りで最終電車に乗り込み、誰もいないロングシートに腰を下ろそうと近づいて、私は足を滑らせ頭から座席へ突っ込んだ。 　座席の感触を顔面で確かめる機会は初めてだけれど、さらりとした布地の表面は思いのほか心地良く、固すぎず柔らかすぎない適度なクッション性もあり、枕代わりにしてそのまま眠れてしまいそうだった。 　体中に回り切ったアルコールのせいで、動くのも考えるのも億劫だ。這いつくばった姿勢でうとうとと船を漕いでいたけれど、動き出した車両の振動によって目下繊細な状態にある

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        マガジン

        • 山田古形の小説
          27本

        記事

          【小説】ミツキさんの満ち欠け

          　首から上に頭がない。 　ミツキさんの変わり果てた姿を遠目に見ながら、私は身を震わせた。店内の冷房が効きすぎてちょっと寒いからだ。 　まだ夏の名残を感じる時期とはいえ、もう少し厚着でもよかったと悔やみつつ、ややこしく入り組んだ本棚の間を抜けてミツキさんの方へ近づく。 　市内でも有数の広さと迷路っぽさを備えた書店の一画に、四角く区切られたイベント用のスペースがある。テーブルやイス、音響機材、有名出版社のマスコットキャラのどでかいぬいぐるみ等々が設置されていて、今日この後開催され

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          【小説】ミツキさんの満ち欠け

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          【小説】幻滅してほしい先輩

          「どう、尼崎さん。幻滅した？」 　開始早々大崩壊したジェンガの末路を片づけながら、船戸先輩が期待のこもった調子で私に尋ねた。 　崩してしまったのは私だけど、堂々の勝負の結果とはちょっと言いがたい。私がブロックに指を伸ばした時、テーブルの向かい側に座る先輩が突然、全く似てないアルパカのモノマネを披露してきて指運びが乱れてしまった。 「小ずるい勝ち方した上に、モノマネのデキもしょうもない。いい塩梅の醜態だと思うんだけど、どうかな、幻滅してくれた？」 「ええと……しました」 　散ら

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          【小説】幻滅してほしい先輩

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          【小説】菓子盆上の天

          　目を覚ますと私は菓子盆の上に寝転がっていた。 　身を起こして周囲を見る。鮮やかな朱に塗られた円く広がる底面、それを囲むようにしてなだらかに反り上がる縁はまさに、幼少の昔日から連れ添った愛用の菓子盆に他ならない。健やかなる時、病める時、小腹の空いた時、何時も私はこの盆に菓子を並べ思うさま貪ったものであった。 　しかしこれほど盆は大きかったであろうか、これほど私は小さかったであろうか。大福でもプチシューでもなく、今この盆上に並ぶ菓子は私であった。 　これはどうしたことであろう。

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          【小説】菓子盆上の天

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          パズルゲームに詰まる春

          2022/4/3～2022/4/10の活動報告・日記です。 春に眠らば三銃士暖かくなってきたせいか、花粉症の薬のせいか、布団のふわふわ感のせいか、ここのところ眠気の多い日々が続いています。 新しい小説の案として、使われなくなったプールに住み着く人魚の話を考えているのですが、ぼんやりしたり布団に吸い込まれたりで停滞気味。 気温・花粉・布団の春眠三銃士に抗いつつ、春が終わらないうちに書き始めたいところです。 パズル=ツマル最近「A=B」というゲームをプレイしています。 プ

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          パズルゲームに詰まる春

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          書いたり水魚　読んだり水魚

          2022/3/6～2022/3/13の活動報告・日記です。 書いたり水魚先日新しい小説を投稿しました。 のっぺらぼうのような姿で表情が分からず、言動も冷たい相手と、どうにか楽しく話そうと四苦八苦する人の話です。 詳しいあらすじ pixivで行われた第4回百合文芸小説コンテストの参加作なんですが、だいぶ書きあぐねてしまって、投稿できたのは締切の数分前でした。かなりギリギリ。 学生時代にものすごく苦戦したレポート課題のことをふと思い出しました。ふと思い出したくなかったです。

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          書いたり水魚　読んだり水魚

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          カードゲームAIの面影

          2022/1/31～2022/2/13の活動報告・日記です。 3マス進んで2マス戻るのっぺらぼうの小説を書き進めています。 書いていくうちに構成のいまいちな部分が分かってきたので、練り直して軌道修正。すでに書いた分も直す必要があって、結局あんまり進んだ気がしません。 進んだり戻ったり、すごろくみたいな気分です。ゴールのマスはまだまだ遠そう。 カードゲームAIの面影最近「遊戯王マスターデュエル」を少しずつプレイしています。 遊戯王OCGを基にしたデジタルカードゲームです。

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          カードゲームAIの面影

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          ロボットにも師匠にも尻尾がない

          2022/1/24～2022/1/30の活動報告・日記です。 かきあげへの一歩のっぺらぼうの小説を書き始めました。 先週手をつける予定だったんですが、別の小説にかまけていたら一週間経っていました。不思議ですね。 小説の書き出しはいつも悩みます。 なるべく印象的な文にしたい、その後の展開につながる描写や情報を入れたい……なんてあれこれ考えていると、いつまでもテキストエディタは真っ白です。 新雪みたいにまっさらで綺麗、と思うと悪くない気がしますね。気のせいです。 今回につい

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          ロボットにも師匠にも尻尾がない

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          1シーン賑やかし役の思い出

          先ほど新しい小説を投稿しました。 文化祭のクラス演劇が終わった直後。主役を演じた学生が、浮かない顔をした脚本担当の想いを、劇の内容から推察して気づかいますが、果たしてそれは正しいのかどうか……という話です。 詳しいあらすじ 読んでいただけると嬉しいです。 小説みたいなドラマチックな出来事はありませんでしたが、私も学生だった頃、演劇に参加したことがあります。 1シーンだけ出る脇役だったんですが、コミカルな役柄だったのでけっこう笑ってもらえて嬉しかった記憶があります。 ずい

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          1シーン賑やかし役の思い出

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          【小説】下りた赤い幕の向こう

          「よ。脚本家先生」 　私が声を掛けると、貝崎は長椅子から滑り落ちた。 「ぎぇッ」 「うわ、ちょっと、大丈夫？」 　白く滑らかな床に尻餅をついた貝崎に手を差し出す。貝崎は「へ、平気」と頬を赤らめて、私の手を取らずに立ち上がった。私は「ならいいけど」と返しながら、行き場をなくした手をぐいと伸ばしてストレッチにリサイクルした。 　スカートをそっと撫でつけて、貝崎は長椅子の端に座り直した。私はもう一方の端に座って「なんでこんなとこに」と周囲を見回した。 　廊下の突き当たりの横手、奥ま

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          【小説】下りた赤い幕の向こう

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          怪異の甲斐と落研漫画

          怪異本買いの甲斐がないここ数日のっぺらぼうの小説の設定や構成を考えていました。 設定の参考になるかと怪異の事典的な本を買ったんですが、のっぺらぼうの記述が二行しかありませんでした。少なっ。 似た系統の怪異（お歯黒べったりとか）も合わせればそれなりの分量はあるんですが、ちょっとがっくり。 別の怪異本も持っているんですが、そちらにはのっぺらぼうの項目すらありません。 今のところWikipediaが情報量トップです。本買った甲斐がなさすぎる。 落研漫画の知見最近「おちけん」と

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          怪異の甲斐と落研漫画

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          抱負の槍とニューイヤーマンサー

          抱負の槍を振り回す今年の抱負は槍です。という記事を先日書きました。 槍のリーチを見習って文章活動の範囲を広げたい、という内容です。 今年はどんどこ振り回します。抱負という名の槍を。 一本目の槍として、活動報告と日記を兼ねた記事を定期的に書こうと思っています。 この記事自体がその一環で、今のところ週一ペースの予定です。 本当は金曜日に投稿するつもりだったのですが、さっそく遅れております。順調順調。 新しい小説も構想中で、今は資料を集めています。のっぺらぼうの話になる予定。

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          抱負の槍とニューイヤーマンサー

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          今年の抱負はアクションゲームの槍

          年末に「Hades」というゲームにハマっていたら、いつの間にか年が明けていました。 あけましておめでとうございます。 Hadesは遊ぶごとに変化するステージに挑戦するアクションゲームです。操作感が気持ちよく、繰り返し楽しめる仕組みも充実していて、遊びまくってしまいました。さようなら全ての年末年始。 Hadesにはいくつかの武器があって、どれか一つを選んでステージに挑みます。それぞれ操作感が違って面白いんですが、私は特に槍が気に入っています。 正式な名前は「永遠の長槍ヴァラ

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          今年の抱負はアクションゲームの槍

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