見出し画像

【表現辞典】霊石典/名作家の文章〈3〉岡本かの子『娘』

霊石典

〈おしらせ・索引〉

 この記事は、私が編集している『霊石典』の派生記事です。名作家の作品の中から、『霊石典』収録の言葉が使われた印象的な文章を紹介します。言葉に興味を持つきっかけとして、あるいは、言葉をさらに深く理解する参考として、ぜひ本編の記事とあわせてお読みください。

岡本かの子『娘』(青空文庫

 腹部の頼りなさがくすぐられるようである。くく、くく、という笑いが、鳩尾みずおちから頸を上って鼻へ来る。それが逆に空腹に響くとまたおかしい。くく、くく、という笑いが止め度もなく起る。

 腹が減りすぎて、「くく、くく」と笑いが込み上げてくる様子を描いています。私はこれまでに、「胸に響く」「心に響く」という表現はいくらでも見かけてきましたが、「腹に響く」というのは初めて見た気がします。しかもそれが空腹ゆえの笑いというのが、なんともユーモラスです。

 この記事では、[ひびく(響く)]が使われた文章を紹介しました。

 ぜひ、本編の記事もお読みください。

ここから先は

0字
ことばには、目には見えない力が宿っています。霊石典では、言葉の力を掘り起こし、その力を文章表現に活かすことを目指しています。

霊石典

1,000円

ことばには、目には見えない力が宿っています。霊石典では、ひとつの記事でひとつの語句を取り上げ、意味や印象、類語や用例などを探るとともに、そ…

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

Forever 19 summer vacation !