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【FASHION】Be a Goodman ! _リネンアロハ完成

 この記事は、紳士服のテーラーGoodmanのレポート記事です。お店の様子や開業された経緯は、前の記事で紹介していますので、まずはそちらをご覧下さい。

リネンアロハ完成


おさらい

 前回記事[はじめてのシャツオーダー]で、リネン素材の生地でシャツを注文した。

ALBINI(アルビニ)社のリネン生地

 オーダーしたのはアロハシャツ。完成する一ヶ月後を見越して、夏の準備をしたのだ。

 そして、まさに夏のはじまりの七月一日、Goodmanからシャツが完成したとの電話がかかってきた。「いつ取りに来られますか」と聞かれたので、「今から行きます!」と即答。その日は雨であったが、店があるのは隣町。天候を気にせず取りに行けるのだ。

 ちなみに、オーダー好きのあいだには、「商品は忘れたころにやってくる」という格言(?)がある。一ヶ月という期間が、ちょうどオーダーしたのを忘れるころなので、注文した商品が届くと、「そうか、これから服がもらえるんだ!」と、得した気分になるという意味だ。もちろん、お金はすでに支払っているので、商品が届くのは当たり前なのだが……

 とはいえ、作って楽しく、受け取って楽しいのがオーダーの良いところ。こういうのんびりした服との付き合いかたも悪くない。

 以下に、注文したリネンアロハの要点をまとめておく。

オーダーまとめ

●生地
○リネン100%
○ムラのある茶色
●完成イメージ
○リラックスしたムードと、品の良さを両立
○日常的に着て出かけられるアロハ
●ディテール
○芯なしの開襟、裾水平カット、背プリーツ・ダーツなし
○光沢ある茶色の貝ボタン
●サイジング
○ややルーズショルダー
○すこし緩めのボックスシルエット
○股上がしっかり見える短い着丈

服との対面

 意気揚々と家を出たが、店の近くで土砂降りになる。若干、後悔。激しい雨の中を足早にGoodmanへ向かい、靴などずぶ濡れになりながら、ようやく店に辿り着くことができた。

 店では相変わらず爽やかな松島さんが待ち受けていて、さっそく届いたシャツを出してくれた。

「おお~」

 思わず歓声をあげてしまった。「はじめまして」のような「久しぶり」のような不思議な感覚だ。

 シャツは畳まれた状態で渡されたので、まず目を引いたのは生地とボタンの組み合わせだった。生地のリネンは、ざらっとしていて光沢はなく、どちらかというと素朴な印象。一方、このボタンには光沢があって、高級感がある。色は同系色だが、素材の風合いは正反対なのだ。

 ただそれは、アロハというリラックスしたムードの中にも、品の良さや大人っぽさを与えることを目論んで、あえてそうしたもの。このシャツに関しては、その狙いどおりうまくいったのではないだろうか。つやや色気が感じられる。

 それから店内でシャツを着せてもらい、さらには松島さんに写真まで撮ってもらった。

 着て最初に感じたのは、生地の柔らかさだった。リネンなのでゴワゴワしていると予測していたのだが、さすが良い生地なだけあって、肌触りはとても優しい。かといって、へなへなしてるわけではなく、適度なコシがあり、着崩れするようなことはない。

 袖をまくったり、裾を入れたりすることで、シャツ一枚で様々な表情をつけることができる。ボタンを開けて羽織るように着てもおもしろそうだ。

 あと、これはどうでもいい話だが、この写真の中でひとつ弁明しておきたいことがあって、それは、私のズボンのシミについてだ。

 ちょうど股間のあたりが濡れている。恥ずかしい感じのシミだが、これは雨で濡れたのだ。おもらしではない。おもらしだとしたら、かなりワイルドな飛散ぐあいだ。

 まあ、オーダーしたシャツが届く日に、よりによって雨で、よりによってこういうところが濡れてしまうのが私の宿命である。どんなにオシャレをしようとも、私が永遠にファッショニスタになれない由縁だ。

刺繍

 実はこのシャツでは、ひとつ新しい実験をしていた。それがこの刺繍だ。

 オーダーしたシャツには刺繍を入れられる。たいていの場合、入れるのは名前とかイニシャルなのだが、松島さんに聞くと、入れる文字はなんでもいいとのことなので、私はこのシャツに「Goodman2024530」と入れてもらった。もちろん、「Goodmanで2024年5月30日に注文しました」という意味だ。

 私はずっと、オーダーした記念になるディテールが、なにかあればいいと思っていた。それを今回、刺繍で実行してみたのだ。「Goodman」だけだと、ブランド名のようであり、これがテーラーの名前かどうか分からない。そこで、日付も追加してもらった。これなら一発で、オーダーしたものと分かるだろう。

 文字がどんなぐあいに入るか心配もあったのだが、位置といい、斜めのと書体といい、まるで絵画のサインみたいでかっこいい。無地の茶色い生地にたいして、色彩上のアクセントにもなっていて、これは大成功だったと思う。

 ついでに言えば、入れる文字はなんでもいいのだから、どんな言葉でもかまわない。例えば、じぶんの好きなミュージシャンの名前をいれたり、誰かへのプレゼントなら、その人へのメッセージを入れてもいい。このように刺繍を利用する人はあまりいないかもしれないが、オーダーの楽しみのひとつとして、もっと定着していいのではないだろうか。

反省と感想

 はじめてGoodmanで作ってもらったシャツは、リネンアロハという変わり種にも関わらず、予想以上の出来映えだった。フィッターの松島さんが、私の要望を完璧に形にしてくれたおかげだ。

 このシャツ自体に特に不満はないが、次回以降に活かすために、気づいたところをいくつか挙げてみる。

 このシャツで、ひとつ守りに入ったと思った点がある。それは袖だ。今回は、肩幅をジャストより片側2センチの追加に留めたが、もっと思いきってルーズショルダーにしても良かった。既製のアロハを見ていたら、切り替え線が真横に向くようなものもある。それくらい思いきって、片側5~10センチほど追加するという大胆さがあっても良かったのかもしれない。

 そして、それと連動して、袖の長さも肘が隠れるくらいまであったほうが、よりリラックスしたムードが出ただろう。たとえそれが長すぎたとしても、その時は、まくればいいのだ。

 オーダーといっても、まだ見ぬ服を想像しながらディテールやサイジングを決定するので、このように、どこかに予想外のポイントが出てくるものだ。しかし私は、こうやって反省して次に活かせるのもオーダーの良いところだと思っている。「ここをこうしたらこうなる」とか「次はこうしよう」など、知識や経験の蓄積ができるので、回を経るごとに、どんどんオーダーするスキルが高くなっていくのだ。

 今回は久しぶりのオーダーだったし、Goodmanでははじめてのオーダーだったが、ほとんど完璧といっていい素晴らしい服ができた。

 まずはじっくりこの一着と向き合って、また新しいアイデアが生まれたら、ぜひそれを形にしたいと思う。

編集後記

店舗情報 

 Goodmanに興味を持たれた方は、ぜひウェブサイトやインスタグラムからお問い合わせください。

 いきなりは不安という方や、店に行けないという方は、山田に相談してくださっても構いません。

 なお、この記事で紹介したオーダー形態や料金は変更になる可能性があります。また、生地は人気のものから売り切れる傾向にあります。

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