📕存在の耐えられない軽さ
ミラン・クンデラ、著
存在の耐えられない軽さ
物語は、プラハの春とその後のソビエトによるチェコスロバキア占領の時代背景を持ち、トマーシュ、テレザ、サビナ、フランツたちの視点から語られる。
「軽さ」と「重さ」
「軽さ」は自由や無責任さを象徴し、「重さ」は義務や責任を表している。存在の軽さ(軽やかさ)が人々にとってどのように耐えがたいものであるのか、またその一方で、重さが人生に意義を与えるかもしれないと表現している。
個々の選択の自由とその結果として生じる負荷、さらにはその選択の結果が運命や歴史によっていかに左右されるのか。
あなたにとっての軽さや重さ、
登場人物たちのなかに見い出せるのではなかろうか。
現代にも、誰にでも、あてはまる問いだ。
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登場人物
トマーシュ
優秀な外科医。「軽さ」を象徴する人物で、自由を何よりも重んじ、特に恋愛においては、深い感情的なつながりを避ける傾向がある。
「偶然」によって決まる人生の軽さに対して冷徹であり、人生に深い意味を求めることには懐疑的。しかし、テレザとの関係を通じて、徐々に「重さ」を経験し、彼女に対する責任感や愛情を感じるようになる。
テレザ
トマーシュの妻。「重さ」を象徴する。
人生に深い意味を求め、感情的なつながりや道徳的な価値観に強く執着する。トマーシュとの関係において、彼の浮気や無関心に苦しむ一方で、彼に対する強い愛情を持ち続ける。彼女の内面的な苦悩は、自己アイデンティティや人生の意義に対する問いかけと結びついていく。
サビナ
トマーシュの愛人。軽さ。彼女は芸術家であり、既成の価値観や規範に反抗する姿勢を持っている。自由は最も重要なものであり、束縛を嫌い、伝統や常識にとらわれない生き方を選ぶ。しかし、彼女の自由への追求は、孤独や疎外感を伴うものであり、自己疎外に至ることもある。
フランツ
サビナの恋人。重さ。理想主義者であり、人生における正義や高い道徳的価値観に従おうとする。その理想主義は、行動に強い影響を与えているが、一方で、サビナとの関係では、彼女の「軽さ」との衝突に苦しむ。自分の信念を貫く道を選ぼうとする。
トーマス(トマーシュの息子)
トマーシュの前妻との間にできた息子。
トマーシュの人生における「重さ」。
トマーシュは、トーマスとの関係において父親としての責任を果たしていないと感じている。トマーシュには息子との疎遠な関係や、彼に対して十分な愛情を注がなかったことに対する罪悪感がある。自ら選んだ自由な生き方と、家族や責任という「重さ」との間で、トマーシュは揺れ動く。
カレーニン(愛犬)
トマーシュとテレザの愛犬。
無条件の愛と忠誠で、テレザにとっての大きな精神的な支えとなる。複雑な人間関係の中で苦しむ彼女にとって、癒しの存在。
やがて、トマーシュとテレザの重さとなるのだが…
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