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📚村上龍

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私が読んだ村上龍の小説。その感想。
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#村上龍

📕オールド・テロリスト

📕オールド・テロリスト

村上龍、著。
オールド・テロリスト、読了。

真実を語らない日本のメディアと政治。
満洲国の人間を語る老人たちは、日本の地を再び焼け野原にしようと目論む。

日本の戦後を力強く生きてきた老人たちの怒りと信念に突き動かされた行動は、現代日本をいとも簡単に、混乱へ陥れる。

膨大な情報量、登場人物たちの心情、この国の問題と人間たち。

村上龍の小説はいつもながら訴えかけてくる。

📕コインロッカー・ベイビーズ

📕コインロッカー・ベイビーズ

村上龍、著。
コインロッカー・ベイビーズ、読了。

コインロッカーで生まれた、キクとハシ。
そして、キクの前に現れるワニを飼う少女アネモネ。

渇いた心はいつだって破壊的衝動を求めている。すべてを破壊しようと誓い、力を求めて、キクとハシはそれぞれの道を進んだ…

まるで爆音のロックを聴いているような文章。
これでもかというくらいに、あらゆるものが破壊されていく描写。渇いた心を満たすように描かれる若

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📕半島を出よ

📕半島を出よ

村上龍、著。
半島を出よ

福岡ドームが北朝鮮の特殊部隊9名に占領される。
日本政府はただ静観するのみで、いつまで経っても救出作戦は実行されない。

さらに多数の北朝鮮兵の上陸を許してしまい、福岡は孤立する。

そんな事態を救おうとする?のは、詩人イシハラ率いる、凶悪犯罪を起こした過去をもつ少年たちだった…

日本って簡単に分断されるんやなというリアリティと、そんなリアリティに反するかのように、破

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📕昭和歌謡大全集

📕昭和歌謡大全集

村上龍、著。
昭和歌謡大全集。

ひとりのおばさんが殺された。
犯人は、サイコな少年グループ。

おばさんたちの復讐がはじまる。
復讐には復讐を、少年グループも黙っちゃいない。

ナイフに銃、ロケットランチャーまで。
閑静な住宅街が戦場と化し、最終的には…

おばさんたちと若人たちのバトルロワイヤル、それだけの話なのに、おばさんたちがいつもの格好で本気でコンバットしている姿が想像できたり、若人たち

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📕イン・ザ・ミソ・スープ

📕イン・ザ・ミソ・スープ

村上龍、著。
イン・ザ・ミソ・スープ。

性風俗店の案内人として働くケンジは、フランクという奇妙な顔をしたアメリカ人から仕事の依頼を受ける。期間は3日間、割のいい仕事のはずだった…

フランクから逃れることのできない、狂気の3日間になるともしらずに。

ただのサイコスリラーではないのが村上龍節。
ケンジとフランクの目を通して、日本の歪さを問うていく。

なんでもかんでも混ぜこぜにした味噌汁のような

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📕歌うクジラ

📕歌うクジラ

村上龍、著。
歌うクジラ。

不老不死が可能になった日本では、ヒエラルキーが確率し、国民は分断されていた。

最下層地区出身のアキラは、処刑された父親から世界を揺るがすかもしれないデータを託される。

アキラはその不老不死遺伝子についてのデータをもち、最上層にいる重要人物へ会うため旅に出る。

格差が生み出す不条理というものを、これでもかというほどに見せつけてくる。村上龍作品のなかでも群を抜いた殺

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📕希望の国のエクソダス

📕希望の国のエクソダス

村上龍、著
希望の国のエクソダス

中東の辺境でカメラが捕らえた、日本人少年兵ナマムギ。平和な国を去り、戦場で戦うナマムギの言葉は、若人たちを覚醒させる。

そして、日本全国の中学生が集団不登校を起こした。
不登校グループのリーダー格であるポンちゃんは、大人の規則に束縛されない自分たちだけのネットワークを作り、日本からの独立を宣言した。

ハイテクを使いこなす若人たちに、仮装通貨的な概念など、20

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📕69 sixty nine

📕69 sixty nine

村上龍、著
69 sixty nine

1969年の佐世保。
学生運動にロック、ベトナム戦争にヒッピーたち。時代を象徴する音楽や映画を得意げに語る学生たち。

主人公のケンは、好きな女の子の気を惹くため、当時のムーブメントでもあった、学校のバリケード封鎖を試みる。

殺戮もエログロもない、笑える村上龍小説。
現代のような便利さはなかった時代だろうけど、あふれる想像力によって楽しく生きるには事欠か

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📕限りなく透明に近いブルー

📕限りなく透明に近いブルー

村上龍、著
限りなく透明に近いブルー

東京福生にあるハウスと呼ばれる建物。
ドラッグにセックス、酒、煙草。
乱行パーティと酒を呑むだけの日々。

汚く、目を逸らしたくなるような光景。
そこに意味はない。

なんでもかんでも意味で満たそうとするこの時代において、いつ読んでも新鮮な感じがする。

感情を削いだというよりは、物を見つめるような視線で綴られた文章。作名どおり、どの場面も、薄いブルーに覆わ

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