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【図解1503】「コンビニ人間」読書メモ図解(♯ネタばれ注意)

【ドーナツ型(層構造)】「ふつうの人」にとっては「こちら側の世界の人」か「あちら側の世界の人」かは、「問題を起こすかどうか」よりも大きな意味を持つ。

そのため「問題だらけのこちら側の人」の方が、「問題を起こさないあちら側の人」よりも理解可能で、ある意味望ましくさえある。

あちら側の人は、叱られすらしない。



先日読んだ『コンビニ人間』という本の

妹は白羽さんを叱りながら、この上なくうれしそうだった。
そうか。叱るのは、「こちら側」の人間だと思っているからなんだ。だから何も問題は起きていないのに「あちら側」にいる姉より、問題だらけでも「こちら側」に姉がいるほうが、妹はずっと嬉しいのだ。そのほうがずっと妹にとって理解可能な、正常な世界なのだ。

※白羽さん:主人公(姉)と一時的に同居している変人。発言行動共に問題が多い

コンビニ人間(村田沙耶香著)

という文章が印象的だったため、自分なりの解釈で図解にしたものです。

詳細についてはぜひ本を読んで欲しいのですが、雰囲気が伝わるようにHPから本の紹介文を引用しておきます。

「普通」とは何か?
現代の実存を軽やかに問う第155回芥川賞受賞作

36歳未婚、彼氏なし。コンビニのバイト歴18年目の古倉恵子。
日々コンビニ食を食べ、夢の中でもレジを打ち、
「店員」でいるときのみ世界の歯車になれる――。

「いらっしゃいませー!!」
お客様がたてる音に負けじと、今日も声を張り上げる。

ある日、婚活目的の新入り男性・白羽がやってきて、
そんなコンビニ的生き方は恥ずかしい、と突きつけられるが……。

累計92万部突破&20カ国語に翻訳決定。
世界各国でベストセラーの話題の書。

文藝春秋BOOKS 『コンビニ人間』作品紹介(https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784167911300

この図解は引用文中の「妹」視点を意識して描いたものですが、「こちら側」と「あちら側」の境界線は、それぞれの人の中にあるものなのだと思います。

本来、この境界線は自然の中には存在せず、頭の中にしかないものです。しかし、それがこの本のように精神的な距離になったり、または時に物理的な壁などの形で現れたりもするのでしょう。

ここではその是非については触れませんが、少なくとも「『あちらとこちらの境界線』は自分が作っているもの」という意識は持っておくと、色々なことに気づいたり、柔軟な対応がしやすくなると思いました。


私自身は、正直なところこの本で言う「あちら側」寄りな人間のため、主人公に共感を感じながら読み進めました。

人生40年も近くなり、様々な学びのおかげでそれなりに「ふつうのフリ」もうまくなり、なんとか周りから見て「なんか変な人」くらいで「こちら側」の端くらいには引っかかるようになったと思っています。

ただ、この図解を描いた後に「『こちら』も『あちら』も結局は人間の都合=そもそもはこの境界線自体が存在しない」ということに気づき、むなしいような、晴れ晴れとしたような気分になりました。

これからも社会の中(=こちら側の世界)で生きていく以上、「ふつうのフリ」はこれからも続けていくでしょうが、同時に今回の気づきは頭の片隅に置き続けようと思っています。


この図解の元ネタの本はこちら。「ふつう」について改めて考えさせられる本なので、図解を見て興味を持った方はぜひ読んでみてくださいね。



●関連note&マガジン

・図解の「型」と使用例→図解パターンの説明
・この図解を描いた人→図解でわかる山田太郎

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