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【図解1269~1271】固定観念を切り分け「新しい道」を作る

20210414渋沢栄一は一橋(徳川)慶喜に第三の道を示した

【マトリックス型】渋沢栄一は「徳川家の相続と将軍職は2つで1つ」という従来の常識を破り、「徳川家は相続するが、将軍職は断る」という第三の道を自分の君主の一橋(徳川)慶喜に示した。


先日読んだ『渋沢栄一 人間の礎」という本の

「まず、お上が徳川本家に伝えるべきは、本家は相続しても、将軍職は相続しないということをはっきり示すことでございます。そしてしばらく時を待ち、徳川一門や日本の全大名の間から、どうしてもお上に将軍になっていただきたいという声が湧き起こった時、改めて考えるということにしてはいかがでしょうか」(中略)
これもまた”第三の道”だ。いままでは、第一と第二の道しかなかった。第一の道というのは、徳川家を相続すると同時に、将軍職も引き受けるということだ。第二の道というのは、両方断るということである。栄一は、それをミックスした。

という一節の図解です。考え方として学びが多かったので図解にしました。

なお、この第三の道を提示したのは将軍職を選ぶ側にも責任を負わせ、また一橋慶喜を有力な大名連合の議長とするためで、将軍職を生涯断り続ける、という意味では必ずしもなかったそうです。

そして実際に一橋慶喜はまず徳川家の相続のみを行い将軍職は断わり、その半年後に最終的に将軍職を引き受けています。

その後色々あって大政奉還が行われてしまい「徳川慶喜が大名連合の議長となる」という目的は結局果たせませんでしたが、根底にある「常識的に分離できないと考えられていたものを切りわけ、新しい選択肢を作る」という考え方は広く応用できるものだと感じました。


いきなり結果である完成形の図解だけ見ると何気なく見えますが、従来の考え方ではこの図解のように「二つで一つ」という固定観念があった(そもそも軸が存在しなかった)状態でした。

20210414従来は徳川家と将軍職は二つで一つだった

それを下の図解のように「徳川家の相続」「将軍職」という2つの軸を作り上げて切り分け、「第三の道」という新しい選択肢を作り上げたこの部分を読んだときは、その見事さにうならされました。

20210414渋沢栄一は一橋(徳川)慶喜に第三の道を示した

右のような図解を描くと「徳川家以外の人が将軍職をする」という第四の道の存在も見えてきますね


私自身は良くも悪くも前例を尊重する傾向が強く、その背景には「今こうなっているには相応の理由があるはずだ」という考えがあります。

これはこれである程度の妥当性のある方法ではありますが、現在の慣習を決めた時とは前提が変わっている場合もあります。

渋沢栄一が一橋慶喜に第三の道を進めたのも、幕末の混乱している状況で将軍になるのはかえって身の危険になるというのもあったようです

特に仕事のやり方をより改善する時などはただ「これがここのやり方だから」と考えを止めず、「固定観念を切り分け、新しい道を作る」という渋沢栄一のやり方を模索していきたいと思います。



la carneさんがこの図解の内容を元に人間関係について考察したnoteを書いてくださいました。

確かに、何でもかんでも一緒くたにせず、関係によっては分離してほどよい距離感にした方がうまくいくこともありそうですね。la carneさん、興味深いnoteをありがとうございます!(2021/4/18追記)


かしわぎ なおこさんがこのnoteと下の図解noteの内容をつなげて見事な考察をしてくださいました。かしわぎさん、ありがとうございます!(2021/4/30追記)


この図解の応用例

この図解の考え方を「固定観念を切り分け、新しい道を作る」と一般化すると、下の図解のようになります。

20210414固定観念を切り分け新しい道を作る

切り分ける要素が3つ以上の場合もあり得るでしょうが、基本的な考え方は同じです


この考え方は、

・格安SIMケータイ(契約とオプションを分離)
・テレワーク(仕事と通勤を分離)
・1000円カットなどの格安理髪店(カットと洗髪を分離)

などにも当てはまるように思いました。


この図解の元ネタの本はこちら。


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