8「やまださんには失望した」と利用者さんの家族から言われた話

タイトル通りの内容です。ブログに書くのはちょっとためらわれたので、マガジンで公開します。

何年も訪問している訪問先でした。複数の事業所が関わっているお宅なんですが、たぶん僕の訪問年数が最も長くて、生活全般にわたって、それこそ担当ケース以外のことについてもアドバイスしたり、相談にのったりしていたんですよね。

まあ、だからそれなりにショックですよね。

だけど、今現在も継続して訪問しています。

経緯

70代の男性。

転倒が増えたってことで関わるようになったけど、最近、認知症も発症。

誘導すれば、身の回りのことはできるのですが、かなり時間がかかる。だから、結局介助したほうが早いんですよね。

家族は結構お小言いいながら介護したりしていたんですよね。奥さんはホントいい人。

だから、小言いいながらも、頑張ってはるって感じ。

デイサービスにも行っているけどそちらの事業所では大きなトラブルもなく過ごせている様子。

問題になったのは

「食事の食べこぼしが多い。最初10分くらいは自分で食べてるけど、それ以降は介助しないと自分で食べようとしない。どうしたらいい?」

っていうことを奥さんが言ったので一緒に食事場面の評価をした。

食事の評価

ちょうど午後の訪問だったので、食事の時間を遅らせてもらって奥さんと一緒に評価。

動作はゆっくりとだけど自分で食べている。

僕が見ていると、ずーっと自分で食べ続けている。速度は遅いけど食べることはできている。少し食べこぼしはあるけどね。

そこで

「デイサービスでは食事のトラブルとかありますか?」

って確認すると、トラブルなく一人で食べているらしいってことでした。

だから、

「運動機能的には問題なさそう、むしろ意欲の問題の方が大きいから、動作が止まったりするのかもしれません。あまり急がさないで本人のペースで食べるようにするしかないと思います。」

って奥さんに伝えたんですよね。

そうすると、翌週の訪問で、

「山田さんには失望した。作業療法士として、何か工夫してくれるかと思ったけど、何の工夫もなくて、様子を見るだけってアドバイスなら、必要ない。」

って言われたんですよ。

何があかんかったのか?

僕の判断は

デイサービスでもトラブルなく時間内に食べることができている。僕が自宅で見た食事も問題なし。だけど奥さんと二人の時には途中で動作が止まって介助がいる。

奥さんには言わなかったけど、「奥さんに甘えている、もしくは奥さんが時々「しっかり食べや」とかっていうので、それに嫌気がさして止まってしまう。」っていう意欲面の問題なんじゃあないのかなって判断でした。

だから、奥さんには

「あまり急がせないようにしましょう」

っていうアドバイスだけにとどまった。

それに対して奥さんのご意見は

『私は家族の中にリハビリを受けた経験のある者がいるので、よく見学とかに行ってた。だから、作業療法士と理学療法士の違いはよく分かっている。作業療法士って言ったら食事のプロフェッショナルでしょう。それなのに、「様子を見ましょう」ってことのアドバイスしかできないのか?

食具の工夫とか、配置とか、なんかできることはないかと思って相談したのに…』

ってことでした。

そう、今回の原因はアドバイスの中身の問題っていうよりは、奥さんの期待値を僕のアドバイスは下回っていたってことなんですよ。

その食事以外のことで奥さんとはトラブルはないので、訪問は継続しています。奥さんには素直に謝って、食事も定期的に評価しています。奥さんからも、担当変える必要はないって言われちゃったし。

プロとして期待に応える

かなり難しい問題。

実は食具の工夫とかについては、すでに奥様と話し合い済みだったんですよね。それ以上の関わりはかなり難しいってところまで話し合ったことがあったんですよね。

だけど、それをきちんと説明しなかった僕の対応にも問題はあるわけですよ。

作業療法士だからと言って、何でも解決できるものではない。だけど、他に頼る人がいないし、何より訪問で40分間寄り添えたりするのはリハビリテーション専門職のウリでもある。

ホームラン王でも三振したら野次られる

成功するよりも失敗の方が目立つ

難しい問題です。

僕にとって救いだったのは、奥さんが冷静で、その時の僕の言動で、僕のすべてを否定しなかったこと。それはそれ、これはこれと分けて考えることのできる人だったってことだ。

だから、今でも笑いながら訪問を続けています。


精進するしかないってことですよね。


ブログやコラムで偉そうなことを書いていますが、こんな日常もあるってことです。

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