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FPが使いたい自然な英語

不自然な英語を見かけることがあります。

それはスペルや冠詞使い等の間違いだけでなく、日本語の直訳で意味不明となったもの、その場にそぐわない堅苦しすぎる表現、その反対にカジュアルすぎる表現等も含みます。

FP6分野からよく使う日本語を1つずつ選び、お勧め英語と共にネット検索等でヒットする表現を検証してみました。


第1分野:ライフプランニングと資金計画

〇 FPがよく使う日本語:「可処分所得」
〇 お勧め英語:「take-home」

個人キャッシュフロー表は可処分所得、すなわち収入から税金と社会保険料を差し引いた金額をベースにしますが、直訳するとnet income, disposable income 等になります。 しかし個人相談での質問等では、手取り収入を意味するtake-homeという表現がカジュアルでよい気がします。

例文:How much is your take-home (pay) a year ?


第2分野:リスクと保険

〇 FPがよく使う日本語:「介護保険」
〇 お勧め英語:「nursing care insurance」

厚生労働省認定の介護保険の英訳は「Long-Term Care Insurance」であり米国でも介護保険を「LTC」と呼びます。しかし普段使いでは「nursing care insurance」という表現の方が分かり易いでしょう。公的保険という意味では最初にpublicを付ければ明快です。

例文:Does your country have any public nursing care insurance systems?


第3分野:金融資産運用

〇 FPがよく使う日本語:「定期預金」
〇 お勧め英語:「CD」

CDは「Certificate of Deposit」の略語であり、正式和訳は「譲渡性預金」となり正確にはいわゆる定期預金とは異なります。ただし定期預金ぽい響きのある「Saving Account」は米国英語では普通預金口座を意味し、実質的に定期預金に該当するものが「CD」です。単に「Certificate」とだけ呼ぶ時もあります。

例文:What do you think of this CD whose interest rate is now over 3% ?


第4分野:タックスプランニング

〇 FPがよく使う日本語:「確定申告」
〇 お勧め英語:「tax filing」

確定申告の正式英訳はその申告書の名称から「(final) tax return」ですが、日常シーンではシンプルに「tax filing」という表現を使います。ちなみに確定申告の時期は「tax season」と呼ばれます。

例文:I completed filing (又はdoing) my taxes of the last year.


第5分野:不動産設計

〇 FPがよく使う日本語:「自宅」
〇 お勧め英語:「primary residence」

今度は敢えて硬めの表現にしてみました。「居住用財産(自宅)」に対してはいろいろな税制上の優遇措置があります。「本当にそこが自宅ですね?」との気持ちを込めての表現です。

例文:If it is your (owned) primary residence, you can enjoy several tax breaks.


第6分野:相続・事業承継

〇 FPがよく使う日本語:「相続の準備」
〇 お勧め英語:「estate planning」

検索では「inheritance preparation」が最初にヒットしましたが、かなり直訳調で不自然に感じます。一方「estate planning」というと不動産設計のように聞こえますが、遺産分割対策、後見人対策等含めての全般的な相続対策という意味合いの上品な表現です。

例文:I’ve just started my estate planning for my familiy.


追記:


私も認定者であるCFP®(Certified Financial Planner)とは、米国FPSB(Financial Planning Standards Board Ltd.)との業務提携下、世界25か国・地域に導入されている「国際資格」であり、本邦では日本FP協会が統括・管理しています。

しかし国際資格とはいえ、実務としてFPに求められる社会保障制度、個人税務、民法等の知識は各国・地域固有であるため、日本でのCFP認定者とはいえ海外で活用できる機会は限定的です。

それは仕方がないことなのですが、せめてFPとして万国共通で使う表現等を総本山の米国英語にてリスト化して、その一定レベルでの使いこなしも認定要件の1つに加えることが「国際資格」と銘打つ以上は必要ではないかと、個人的には思います。

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