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【第2話】 ドタバタ!? デスゲーム

○カフェ・店内(夜)
縄で縛られているたわん、目を覚ます。
たわん「痛っちぃ…」

たわん、ズキスキする頭に顔を歪めながら店内を見回す。
細かいグラスの破片が店中に散っている。
ところどころ小さな切り傷のある客達の顔。

主催者の声「目覚めましたか…」
たわん、振り返るとスクリーン。
不気味なお面を被ったマスコットが映し出されている。

たわん「!?」

主催者「おはようございます」
たわん、ゴクリと息を呑む。
たわんM「まさか…デスゲーム!?」

が、ヘラっとして。
たわん「おっは〜、てか、夜じゃね今。こんばんは」
主催者「…」

たわん「つか、本当に気絶させやがって!」
と、辺りを見回すが。
たわん「あれ? 立てちゃんは?」

たわんを無視する客達。

主催者、咳払いをして。
主催者「おめでとう! 君達は選ばれし者達だ」
浅野「ナッなんだって!?」
たわん「(嬉しそうに)どもども! 選ばれちゃいやした、さっすが! お目が高い!!」
主催者「…ども」
たわん「よ! 日本一」

主催者「もうお分かりだと思うが、君達はこの店に閉じ込められた」
浅野「(大袈裟に)う、嘘だろ!? 立てこもりの次はデスゲームかよぅ!」
たわん、浅野にじとーっと呆れ顔。

たわん「ね〜じゃあ聞いてもい?」
たわん、足を上げている。

主催者「お前達に質問権はない」

たわん「普通に考えてさ、閉じ込められてなくない?」
たわんM「大抵、爆弾とか首に巻かれるモンだけど、それっぽいのはなさそうだし」
たわん、顎でドアを指して。

たわん「フライフパンとかで思いっきり叩けばどうにかなりそうだし」

黙っている客達。
たわんM「で、こう言う場合多いのが、主催者陣営の裏切り者と、前回のデスゲームの参加者。そして最初に死にそうな奴」
山吹「…じゃあやってみろよ」

たわん、縛られた体を上手く動かしながらよいしょ、とドアへ。
後ろ手でドアノブを回そうとするが。

たわん「熱っちぃ!!!」
たわんの手から湯気、のたうち回るたわん。
たわん「水ぅ! 水ぅ!」

無視する客達。

○同・ドアの外(夜)
ドアノブの下から、設置されたアルコールランプが熱し続けている。
床には透明な液体が大量にこぼされている。 

○同・店内(夜)
たわん、服を掴んで熱さを誤魔化している。
たわん「皆冷たすぎ! 一緒に閉じ込められてる仲間だろ!」

そっぽを向く客達。

主催者「これでわかっただろう。君達はこの店に閉じ込められた」

たわん「なるほどね〜」
たわんM「そっか…意外とこんな単純な装置でも監禁できるもんなのか」

主催者「無理に壊そうとすれば火が床に落ちて灯油に引火」
浅野「えぇーーっ!」

たわん、浅野をバカにしたようにフッと一瞥。
たわんM「で、主催者陣営は間違いなく…」
浅野を見るたわん。

主催者「これから死のデスゲームを開始します」
浅野「そんな、やめてくれよ」

ざわつく一同。

たわん「はいはーい! 言って良い?」
主催者「ダメ」

たわん「死のデスゲームって言葉おかしいからね?」
主催者「ん」
たわん「だって死のデスゲームって言ったら死の死のゲームって意味だよ、それ。骨が骨折したみたいな」
主催者「骨が骨折…?」
たわん「頭痛で頭が痛い、的な」
主催者「…あぁ」

たわん「あ、知ってた? 満天の星空もそうなんだって! 満天の"天"がすでに空って意味だから」
かなこ「へー」
浅野「食後の後とかもだ!」
たわん「え? あ、本当だ、そうそう」

店の壁に「クーポン券」の文字。
たわん「アレも!」
浅野「え」
たわん「クーポンがすでにフランス語で券だからね。クーポンクーポンになってるよ、あれ」
たわんM「あとは可愛いヒロインがいるはずだけど…いないぞ?」
たわん「クーポンクーポン。クーポンクーポン。クーポンクーポン」
浅野「どうもすみませんでした!」

たわん、楽しそうに体を揺らす。
たわん「クーポンクーポン。クーポンクーポン」

主催者「…いや、わかったから」

たわん「あとねあとね、排気ガスもそう。排気の気がガスってニュアンスだから排出ガスって…」
主催者「(遮って)言い直せば良いんだろ、言い直せば!! もーうるっさいなぁ」

たわん「あり? 怒った?」

主催者、咳払いして。
主催者「もうお分かりだと思うが、」
たわん「あ、そこから言い直すのね」

主催者「…もうお分かりだと思うが、君達はこの店に閉じ込められた。今からこの、殺し合いのデスゲームに参加してもらう」

たわん、爆笑。
たわん「そうそうそうそう! でもあれでしょ、プライド高いんでしょ〜。人に言われた通りに直すの恥ずかしい系男子? ちょっと意地張っちゃう的な」

主催者「ちげぇし、恥ずかしくねーし、ってか、男子じゃねーし」
たわん「あ、女子? もしかして立てちゃん? 手加減してよぉ、頭まだ痛いんだけど〜。ジンジンする」

主催者「違うし。性別とかないし、マスコットだもん、仮面被ってるけどマスコットなのわかるでしょ?」
たわん、両足をワチャワチャと動かして。
たわん「はいは〜〜い! ソレ言いたい言いたい!」

主催者と浅野、同時にため息。
たわん「マスコットに仮面被せてるのツボなんですけど!!」
主催者「良いじゃん別に。カッコイイと思ってんだからさ」

たわん「確かにね、普通の人が仮面で喋るのは良いさ。あ〜顔出しNGなんだなって」
主催者「そうだよ、顔出しNGなんです」
たわん「マスコットに置き換えてる時点でそれ達成済じゃん!」
主催者「…」

たわん「マスコットの顔隠してどうすんだってな!」
クスクスと笑い始める客達。

主催者「は〜? そんなのわかりませんけど〜」
たわん「ふぇ?」
主催者「ほらぁ〜あの、アレ。例えばさ、幼い頃からこの子と暮らしてるから顔のとこ汚しちゃってて見せたくないとか」
たわん「え、そんな大事なモン身代わりに使ってんの!?」
主催者「いや使ってないけど…」
たわん「じゃあ良いじゃん」
主催者「たとえじゃん! そんなのもわかんないの!?」

たわん「正直に言いなよ、どうせアレでしょ。予算がなくてその辺にあったぬいぐるみ使うけど、スポンサーの許可降りないから仮面被せて誤魔化した的な」
主催者「…は?」
たわん「わかってんなら突っ込むなよ! ってな」
たわん、嬉しそうに笑う。
主催者「愉快だね…」
たわん「お、主催者っぽいセリフ出てきたじゃん! 台本じゃなくアドリブで」
主催者「お前さー」
たわん「(キリッ)おい、お前! 人にお前って言うな!」

主催者「では始めよう、第一のゲームを」
ドュルドュルドュルドュルと流れ出す効果音。

たわん「フリー音源?」
主催者「お前達が座っている椅子の下に…」
浅野「あ」
浅野、声を出すが口をつぐんで知らん顔。
たわん「…」

主催者「トランプが張り付いている。それをまず…」

山吹、椅子の下を覗くが何もない。
山吹「あのー…何もないんですけど」
客達、椅子の下を覗くが何もない。

たわん「…あのー。それよりオレの縄解いてくれない?」
たわん、浅野にウインク。
たわん「(小声で)今のうち、今のうち!」

山吹「え、逆に聞きたいんだけど縄解くメリットある?」

たわん「え、一緒に監禁されてる仲間でしょ!?」
山吹「違うな」
たわん「…」
山吹「今はお互いデスゲームの参加者だ、君は俺たちのために先に死んでくれ」
たわん「!」
山吹「な、頼む」
たわん「うわっ最低! でもそれって倫理的にどうなのかなぁ!?」

目を背けるその他の客達。

たわんM「ってか、待てよ!?」
×     ×     ×
フラッシュ。
山吹に話しかけるたわん。
たわん「エキストラさんっすか?」
たわんM「撮影か? とか言い出す奴は大抵最初に死ぬ」

×     ×     ×
フラッシュ。
ドアを顎で指し。
たわん「思いっきり叩けばどうにかなりそうだし」
たわんM「逃げ出そうとする奴も大抵先に死ぬ」

×     ×     ×

戻って、カフェ。

絶望した表情のたわん。
たわんM「うわ、死亡フラグ立てまくってた」

浅野「(満面の笑みで)助かるためだったら、見殺しにできるんでしょ」
たわん「!」
たわん、泣きそうになって。
たわん「おっさん論語り合った仲だろ!? 今パス出してやっただろ!」
たわんM「なんかオレ、台本通りにしか動けてないんじゃ…」

主催者「えー、間違えた。椅子の下じゃなかったですスミマセン」
かなこ「こっちは命懸かってんのに!」
主催者「仕方ないでしょ! 人間だもん、ミスすることくらいある!」
かなこ「むしろあなたこそ、このゲームに参加した方が良いんじゃない?」

たわん「お姉さんあまり楯突くと最初に死ぬよ、こう言うゲーム」
主催者・山吹・浅野「お前が言うな!」

たわん「…なんか一体感出てきた?」
主催者「トランプは机の裏に貼っつけてあるのでそれ使って下さい」

浅野・山吹・かなこがそれぞれ机の裏のトランプを剥がす。
浅野「3つしかねぇじゃねえか!」

主催者「そうです、ここにいる12人を3チームに分け、4人1組でとあるゲームをしていただきます」
浅野「12人を…3チームに分ける!?」
たわん、浅野にジト目。
たわん「ヘイヘイ…」
浅野「一体、どんなゲームをやれって言うんだ!!」
主催者「まあそう焦るな」

たわん「ってかさ。ずっと気になってたんだけどさ」
たわん、山吹に向かって。
たわん「立てちゃんは? どうやってこっから消えたの?」
山吹「…」

たわん「(かなこに)みんなは起きてたんでしょ?」
かなこ「…」

主催者「今どうでも良くない? ゲーム気になんないの?」
たわん「立てちゃんがこっから出る時、頑張ればみんな逃げられたんじゃないの?」
黙っている一同。

主催者「ね〜聞いて! 頑張って考えたんだからさぁ!!」

たわん「ほら。こういう詰めが甘いとさ、興醒めじゃん!」

山吹「…お前そんなに俺達がグルだって言いたいのかよ」
たわん「へ?」
山吹「俺達だってこんなとこ、早く抜け出したくて堪んねえよ!!」
たわん「!」

たわん「じゃあ立てちゃんはどうやって…!?」


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