見出し画像

「エンタメ業界」なんて無い、新卒一括採用は時代遅れ、ということを大学生に体感してもらうための「就活攻略」イベントです。

 StudioENTREも設立して1年を経て、お陰様で活動が活発になっています。プロジェクトごとの業務委託のスタッフや学生インターンも増えて、代表の僕が全員把握できない段階になってきましたww

 やる気のある大学生インターンが企画して「就活イベント」を僕がモデレーターでやります。当日用の資料を作っていて、僕が伝えたいメッセージが整理できたので、イベント予告も兼ねてここにまとめます。

「エンタメ業界」という業界は無い

 資料を作るにあたって、「エンターテインメント業界」を検索してみたのですが、出てくる記事が、どれも浅薄でびっくりしました。業界のことを知らない、就職活動をビジネスにしている人たちのメディアだからなのでしょうね。これでは学生が可哀想になります。表面を撫でるだけになるのは仕方ないとして、僕の個人的な感覚を言葉を選ばずに言わせてもらえると、いくつか拝見した(SEO上位の)記事は、デタラメな内容でした。

 そこで気づいたのですが、「エンターテインメント業界」という業界は無いということです。音楽、出版、テレビ、アニメ、ゲーム、それぞれの商材、領域ごとに「業界」があります。密度の濃い人間関係と独自の慣習を持つ村的な世界です。そして、「村横断型」の動きは、非常に少ないのがこれまでのエンタメビジネスです。「エンタメ業界に就職する」という目標設定があるとしたら、それ自体がピントが緩いものになってしまいます。もちろん学生なので「身体を動かす仕事がしたい」とか「人と会う機会の多い営業っぽい仕事がしたい」という設定はあり得るでしょうから、そういう意味で「エンタメな仕事をしたい」という考え方は良いと思います。ただ、どの商材、領域を選ぶかで、それぞれ別の「業界」だということは初期の段階で伝えてあげたいことですね。音楽業界には音楽業界の「村の掟」があるし、アニメ業界には独自の慣習が、出版業界で必要なスキルが、それぞれ関連性なく存在しています。どれを選ぶのか(最初は複数にするにしても)自覚的になるように促したいなと思いました。おそらく働くときの気持ちは業界ごとに違うと思いますし、手に入るスキル=将来設計、ジョブプランも違ってきますから。

エンタメビジネスの共通点は?

 では、共通点は無いのかというのと、ありました。

1)好きなことを仕事にしているので自己実現感が強い、扱っている分野のコンテンツへの思い入れが強い

 音楽業界は音楽が好きな人が集まっています。一般の基準ではびっくりするくらい音楽に詳しかったり、人生と音楽が重なっている人が珍しくありません。どの分野もその商材(という言い方は中の人は絶対しませんが)への思い入れ、愛情が強く、関わっていられる事自体で充足感を感じています。アニメが好きな人は、アニメが異常に好きな人達と一緒にアニメに関する仕事をしたら、幸せを感じやすいですよね。

2)給料が安いことも多い(やりがい詐欺)ブラック職場多い(近年は改善傾向)

 1とセットで起きることなのですが、「やりたいからやってるんでしょ」感が強いです。音楽業界でも、休みたいと言うと「一生休んでて良いよ」って言われるという冗談がまかり通っていました。3K 職場みたいな言葉が世の中に広がった時に、音楽業界でも、テレビ業界でも、アニメ業界でも、出版業界でも「ウチの方がよっぽどブラックだ」って笑いながら言っている人がたくさんいました。
 国を上げての「働き方改革」の掛け声の中、近年は労働時間については、かなり改善されていると思います。
 以前、労働基準監督署かた勧告を受けた時に、エイベックス創業社長の松浦さんが、異を唱えて話題になっていました。

 エイベックスは上場企業でもあるので、流石にこの発言は、立場をお考えになってもう少し慎重にされるべきだったと僕は思いますが、気持はわかります。多くの業界関係者は似たような感覚を今でも持っていますね。

 そして、もっと重要な共通点があります。

デジタル化による構造変化への対応が遅れている

 日本のエンタメビジネスの共通項と言って良いでしょう。どの業界も高度成長期に、日本独自のノウハウと業界慣習を積み上げて、洗練されたガラパゴス型の仕組みが出来上がっていました。デジタル化によってゲームのルールが変わっているのですが、十分に対応できてないというのが、現状です。
これまでの仕組みがよくできていたが故に、変化に遅れてしまうというのはやむを得ない側面もあります。経営陣にデジタルに弱い人が多くて、的確な経営判断ができないところも共通しているように感じます。冨山和彦さんの言葉を借りれば「野球がソフトボールになったのではなく、サッカーになっているのに、野球選手にサッカーやらせようとする」みたいなチグハグな判断が散見されます。ただ、これは、若い人にはチャンスです。上司や先輩が教えられないノウハウを、デジタルネイティブ世代は自然と身に付けていますから、ラッキーなことだと思いましょう。

新卒一括採用とか時代遅れでエンタメ感0

 そもそも、いまだに大学4年生を(っていうか3年生の時から?)一括で採用しようとしているのが僕は信じられません。僕の世代は、終身雇用が前提で、その企業に忠誠を誓うことが求められて、それをみんなで信じていたので、「企業戦士になるためにリクルートスーツに着替える」ことに一定の合理性がありました。今は、その頃の共同幻想は全て壊れています。採用のところだけ、昭和のやり方を続けているのは、日本の大企業の人事セクションが思考停止とサボタージュをしているとしか僕には思えません。

 そうでなくても、エンターテインメントに携わる仕事は、人脈が最も大切な業界です。学歴もほとんど関係ありません。音楽業界だと、中卒でも、東大大学院卒でも、同じ扱いです。学閥もありません。これからはデータアナリティクスの修士号が役に立つ時代が始まるかもしれませんが、今のところは、音楽の仕事がしたいなら、バイトで入り込んだ方が早い状況が続いています。働いてみたい会社がある時に、新卒で募集があるなら、応募するのは良いと思いますが、他にもいくらでも方法があるのが、他の業界との違いだと知っておくと良いと思います。

エンタメビズはライフワーク向き?ライスワークにするためには?

 さて、待遇面では、良くないことも多いけれど、自己実現度は高そうなエンタメのお仕事。これから社会に出る人はどうすればよいのか、そんなことを学生の本音も聞きながら、トークしたいと思います。
 ライフワークにしたいくらい、音楽が、アニメが、映画が、ゲームがetc、、、好きなら、ともかく若いうちに飛び込んで始めるのが良いでしょう。その中で、自分の得意分野を見つけて、ライスワーク(食うための仕事)にもできるとハッピーな未来が見えてくるかもしれません。
 基本的なスタンスとして、「エンタメ業界」という大雑把ばくくりではなく、自分のすごく好きな分野に入る。そして会社にはこだわらず、その領域のコンテンツを扱う仕事に就くという、球団職員になるではなく、プロ野球選手になるみたいな感じでしょうか?野球と違って、選手寿命は長い職業です。

規格外の「業界人」が登壇者で、放談必至!

 インターンからこの企画が上がってきた時に、僕がお呼びしたいと思ったお二人は、専門分野で活躍された実績を持ちながら、その業界から「はみ出して」活躍されています。本音トークは、僕以上に炸裂してくれるタイプの方です。特に、GONZOの石川真一郎さんは、親しい友人でもありますが、暴言力抜群のエンタテナーです。僕が止めなければ、どこまでも話してくれるでしょう(笑)。堀鉄彦さんも、出版業界から「はみ出して」テクノロジーとの掛け合わせのお仕事が多い方です。僕も含めた「規格外の業界人」が本音トークで学生に肌感を持ってもらえる時間にしたいと考えています。

 エンターテインメントの仕事って何なのか?という本質論も3人で話すと見えてくるかもしれないな、と、当日のアジェンダを考えながら楽しみになってきました。無料のオンラインイベントです。是非、ご参加下さい!

<関連投稿>


モチベーションあがります(^_-)