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起業家と投資家のためのエンタメ企業経営分析始めます!

 テクノロジーの発展が全ての産業を再定義している時代です。メディア、コンテンツ、エンターテインメントに関する会社は、収益構造が特殊なケースも多く、外から見るとわかりにくい事が多いようです。エンターテックエバンジェリストとしてデジタル時代のメディア・コンテンツビジネスに提言するとともに、スタートアップスタジオStudioENTREの代表として起業家育成に取り組んでいる山口哲一が、ビットバレイ全盛時代に株式公開引受の分野で大活躍をして大和証券から独立。中国にも強いネットワークと知見を持つ沼田功と対談形式でエンタメ企業の業績分析と未来予測をしていきます。

 華やかさがあって目立つので市場規模以上の存在感があるエンタメ領域は、ビジネスノウハウの属人性も高く、ロジックだけで説明しきれない収益スキームを持つことが多いのが特徴です。テクノロジー活用の最前線の市場でもあり、社会の気分を醸造する役割も果たすので、経済全体の活性化に重要な領域なのですが、業界の中の人は「勘と経験」を重視する傾向にあり、外から見るとわかりにくい市場でもあります。ここを解きほぐそうというのが、このマガジンの趣旨です。

 また、財務諸表の読み解き方には業種ごとのコツがあると沼田は語ります。本連載はエンタメ&テクノロジーというくくりで、エンタメ分野の専門家と資本市場の専門家がクロストークしていきます。起業家にとっては資本市場の価値観を、投資家にとっては理解しづらいエンタメビジネスの構造を、まさにエンタメ的に楽しみながら学ぶことができるはずです。ご活用ください。

 沼田 功:株式公開と中国市場を専門領域とする金融のプロフェッショナル
 山口 哲一:音楽プロデューサー兼エンターテックのスタートアップによる  新規事業創出の専門家

 本連載はエンタメ企業の分析をエンタメ分野の専門家と資本市場の専門家が対談形式で展開します。質問にもお答えしていきますので、コメント欄などご活用ください。分析して欲しい企業の提案も大歓迎です。隔週頻度の更新を予定しています。将来的には有料化も考えています。

山口コメント
 スタートアップスタジオStudioENTREの代表として、新規事業の立ち上げに日々取り組んでいる僕ですが、大学は文学部除籍の音楽プロデューサーです。経営学も統計学もまともに学んでいません。これからの自分の役割を考えると、財務諸表についてしっかりとした見識を持つべきと思いました。
 「土地勘」がある業界分野だとある程度は決算書から読み取れるなという肌感はありますが、金融知識はど素人です。「困った時は友達頼み」という性格なので、旧友の専門家に相談しました。ありがたいことに、エンタメ企業の決算資料を読み解く機会を定期的に持つことになりました。
 せっかくなので二人だけの勉強会ではなく、その結果をシェアしたいと思います。広義のエンターテック企業、上場している日本企業を中心に、欧米やアジアの注目企業、未公開会社の探り方なども視野に入れて続けていこうと思います。

 二人の共通点は「日本から世界で戦う会社をつくりたい!」という思いだけです。古い友人なので、お互いの性格もよく分っているはずです。出自も経歴も価値観も性格も違う二人が、それぞれの立場から腹蔵なく、忌憚無い意見を交わしていくつもりです。

 金融素人の僕にとっては、大きな学びの場にもなるででしょう。貴重な時間を割いてくれる沼ちゃんに感謝です。既に起業している経営者や、これから起業する予備軍、エンターテック分野に興味のある投資家の方などのお役に立てる面白い視点が提示できればと思っています。

沼田コメント
 かつては日本の「名うての株式公開請負人(日経新聞)」とおだてられ、その後しばらくは上海から中国の資本市場を眺めて、「井の中の蛙大海を知らず」大変な衝撃を受けました。人生観が一変しました。そして今は、いくつかの会社のお手伝いをしながらも、細々と個人で投資活動を続けております。

 世界で米国・中国と戦える日本企業の力になりたいと、志は大きく口は動きます。ただ年齢のせいか行動は伴わず、「口だけちょっとだけ右翼」と自己嫌悪に陥っておりました。「口だけで金儲けのネタが勉強できる」と山口さんのお誘いを頂き、思わず飛びついたのがこの企画です。山口さん、よろしくご指導下さいませ。

 日本が曲がりなりにも世界を制覇したのは、間接金融が育成した製造業のみ、この製造業の国際人材がいる間に、世界に突き抜けるベンチャーを日本の直接金融の力で育ててみたい、そんな事を考えております。

 私の問題意識は日本のために日本を突き抜けること。本業でも日本を突き抜け、資本市場の面でも日本を突き抜ける。日本の資本市場は、日本の消費市場を目指すベンチャーには、実によく考え抜かれたマーケットと思います。これから何が必要なのか、世界を目指す日本のエンタメ業界を見つめながら、自分なりのヒントを掴めれば、と考えております。

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沼田功:1964年⽣、1988年東京大学文学部卒業。
1988 年4⽉ ⼤和證券(株)(現(株)⼤和証券グループ本社)⼊社
2000 年7⽉ ファイブアイズ・ネットワークス(株)代表取締役就任(現任)
2000 年12⽉ サイバーエージェント社外監査役就任
2013年7月 德石忠源(上海)投资顧問有限公司 投資総監就任(現任)
2014年3月 復旦大学日本研究センター客員研究員(現任)
2017 年12⽉ サイバーエージェント社外取締役(監査等委員)就任 (現任)

大和証券公開引受部で、ビットバレー全盛期に楽天、サイバーエージェントなど、数々のIT企業の上場に尽力。日中合弁ファンド設立にも携わる日本の金融界有数の中国通でもある。

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山口哲一:音楽プロデューサー / エンターテック・エバンジェリスト / StudioENTRE(株) 代表取締役 /(株)バグ・コーポレーション代表取締役
「デジタルコンテンツ白書」(経済産業省監修)編集委員/ 「CiP協議会」フェロー / 経済産業省「ブロックチェーン技術を活用検討会」委員 / 大阪音楽大学「ミュージックビジネス専攻」特任教授  / iU超客員教授
1964年生。国際基督教大(ICU)高校卒。早稲田大学在学中から音楽のプロデュースに関わり、中退。1989年、株式会社バグ・コーポレーションを設立「SION」「村上"ポンタ"秀一」「佐山雅弘」「村田陽一」「こだまさおり」など実力派アーティストのマネージメントを行う。プロデューサーとして「東京エスムジカ」「ピストルバルブ」「Sweet Vacation」など の個性的なアーティストをデビューさせた。
 2010年頃から著作活動を始める。知見を活かして、エンターテイメントとテクノロジーの関係について提言を続けている。『新時代ミュージックビジネス最終講義』ほか著書多数。
 メディアアート作品のクリエティブディレクターとして「SHOSA/所作 〜a rebirth of human body 〜」で、Asia Digital Art Award 2017のインタラクティブ部門で優秀賞を受賞した。
 デジタル時代に対応した人材育成にも積極的に取り組んでいる。2013年からプロ作曲家育成プログラム「山口ゼミ」は、卒業生によるクリエイター集団「Co-Writing Farm」が生まれ、数々の楽曲を世に送り出している。安室奈美恵『In Two』がNexTone Award2019でGold賞を受賞するなど、共創(Co-Write)の活用で目覚ましい成果を上げている。
 2014年からは新時代の音楽ビジネスを担う人材のために「ニューミドルマン養成講座」を行い、現在も「ニューミドルマンコミュニティ」として活動が続いている。エンターテインメントをによる起業家支援のための「START ME UP AWARDS」を実行委員長となって立ち上げた。
 2020年8月エンターテック分野の起業家育成と新事業創出を行うスタートアップスタジオ「Studio ENTRE」を設立し代表取締役に就任。mixエンタメファンドへのソーシングも行うと発表、注目を集めた。





モチベーションあがります(^_-)