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コンサート配信FAVERに期待すること。デジタルライブエンタメ1000億円への道標

 エンターテック分野の新規事業を創生するスタートアップスタジオ「Studio ENTRE」の第一弾のサービス/法人がFAVERです。ENTREがオーナーシップを持つ会社です。mixiエンタメファンドから出資を受け、僕自身も非常勤の取締役に就任しました。

 代表取締役の小島健太郎君は、アメリカの大学を卒業して帰国、SXSW日本事務局や、NoMapsといった音楽とITのカンファレンスに関わってきました。北海道最大コンサートプロモーターWESSの創業社長の二代目でもあり音楽業界の状況はよくわかっている人です。気遣いができるナイスガイで人望も厚いと思います。彼を中心としたビジョンを実現していくことに尽力したいと思っています。
 なのでFAVERの方向性などについては、これから出てくる健太郎発信を待つとして、Studio ENTREの視点で見えている世界について書きます。日本のエンタメビジネスの生態系をUPDATEすることが、ENTREが掲げる大きなテーマの一つです。

1000億円市場になるライブエンタメ
 ライブエンターテインメント市場という言葉は最近聞くようになった言葉ですが、市場予測は2024年で984億円となっています。
 これを迅速に実現することが重要です。コンサート業界も日本で有数のDXが遅れている世界です。属人性が高く、70年代から続いている業界で、比喩的に言うと「携帯電話とFAXの世界」です。コンサート会場の予約は9割方電話で行われいるのではないでしょうか?会場担当者とコンサート主催者の直接的なバーバルコミュニケーションがあることは素晴らしいことなのですが、観客席のレイアウトを色鉛筆や蛍光ペンで振り分けるような非効率からは脱却しなければいけません。
 ライブエンタメが広がることは、コンサートプロデュースのがデジタル化する契機になるでしょう。またリアルのコンサート市場は4000億円あります。コロナ禍で大きな打撃を受けていますが、必ず戻ってくる市場です。リアルとデジタルで合わせて5000億円市場になる2024年を実現することが重要です。

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ユーザー体験を突き詰めているか?
 Covid-19による自粛がキッカケで一気に広がった感のあるコンサート配信ですが、配信事業者、コンサート主催者、アーティスト側それぞれの準備不足が否めません。
 ファンも「コンサートが無いから仕方なく」「アーティストが可哀想で応援したいから」という消極的な理由で参加している側面もあります。昨年は仕方なかったと思いますが、これからはそれではいけません。リアルの素晴らしいコンサート体験の劣化版をデジタルで提供するのではなく、オンラインであることを活かした別の体験をユーザーに提供しなければ本格普及は望めません。
 ENTREのスタンスは、デジタルエンタメ市場の活性化していくことです。既に何十もの配信サービスがありましたので、その事業を活性化するサービスを提供するという選択肢もありました。その可能性も検討していましたが、現状だと自ら垂直型で「オンラインコンサート配信」において新しいユーザー体験を提供する事業会社を設立すべきだという結論に至りました。既存のサービスとユーザー体験の拡張という観点で競い合っていけると良いと思っています。
 コンサートはアーティストとユーザーの最大のエンゲージメントの場です。その価値をデジタルで最大化するという意識が大切なのです。

T&Sという強力なクリエイティブ・パートナー
 僕自身は音楽をテクノロジーで拡大することには、これまでも実験的にですが、取り組んできました。音楽家がチームにかならずいる「ミュージシャンズハッカソン」は2014年から年1〜2回行い、そこから派生してTECHSというライブイベントを有志でやってきました。2018年からは経産省主催のTIMM(東京インターナショナルマーケット)のイベントにも組み入れていただきました。

 神奈川県真鶴町と連携してTouchDesingerクリエイターとインスタレーションを企画したのも僕にとっては貴重な体験でした。

 今回のFAVER設立に当たって、出資と取締役派遣をお願いしたT&Sは、それらのイベントに協力してくれていました。今回のアプリの開発計画にも初期の構想、設計からガッツリ話しています。RD部門の責任者の松山周平さんは、日本を代表するメディアアーティストの一人です。デジタル系のクリエイターと音楽家の連携についても積極的に行っていきたいです。
 他のアーティストにはできないことを表現したいというワンアンドオンリーを求めるアーティストとクリエイターの思考はよくよくわかっていますが、そこに引っ張られすぎると新しい市場は育ちません。スタートアップの成功の肝は再現性です。素晴らしいクリエイティブ表現を行うと同時に採算性を重視したサービス提供が重要だと思っています。そういう意味でもT&Sとの連携はFAVERの大きな武器になるでしょう。流石な切り口でプレスリリースを出してくれました。

海外輸出とインバウンドへのトリガー
 オンラインコンサートのもう一つの大きな役割は、市場の拡大=新たなユーザーの獲得です。大きく二種類あり、一つは音楽に興味はあるけどコンサート会場には(ごく稀にしか)行かないライトユーザーともう一つは海外在住のユーザーです。スマホでコンサート映像を楽しむファンを日本国内で増やしつつ、海外のファンからマネタイズしていくことは、FAVERの重要な役割です。
 海外には日本の音楽、アーティストに関心を持つ熱量の高いユーザーがたくさんいます。これまでタッチポイントを作るのが難しかった人たちとの接点を作りたいですね。ミュージックビデオよりも距離感が近く、アーティスト自身からの発信が強い「コンサート」を喜んでくれるユーザーはいるでしょう。これはコロナ収束後は必ず戻ってくるインバウンド需要、訪日外国人観光客のリアルコンサートへの誘導にも繋がります。
 従来のプレイガイドは日本人コアファンに特化、コンビニサービスとの紐付きも強すぎて、外国人観光客には不便この上ないものでした。その課題の解消にも取り組んでもらいましょう。インバウンド需要の本格復活には一年位はかかりそうなので準備する時間はありますね。

音楽ビジネスのDXの促進と日本版チャンス・ザ・ラッパーの出現を
 コロナ禍は、音楽業界の未曾有の大危機ですが、遅れに遅れてきたデジタル活用に本格的に取り組む契機でもあります。音楽業界のDX促進で、音楽ビジネス生態系のUPDATEを取り組むStudioENTREとしては、コンサート配信の分野でのFAVERの躍進のその牽引役を期待しています。
 既存の音楽業界の活性化だけでなく、ニューカマーの登場についても応援していきたいです。東京以外を拠点としたコンサートプロモーターは、今回最も打撃を受けていますが、これを機会に、東京からアーティストを呼んで興行するのではなく、地元でアーティスト育成することにも取り組むことに期待します。レコード会社と芸能界は東京にしからありませんが、音楽ファンへに対する発信はどこにいてもできる時代です。シカゴから拠点を移さずCDも出さずにグラミー賞を獲得したチャンス・ザ・ラッパーは大きな注目を浴びましたが、そろそろ日本でも同様のケースが出てくる頃でしょう。地方都市在住のままで世界で人気を博し、海外含めてツアーを行うようになるアーティストを地方在住のコンサートプロモーターがマネージメントするのも可能な環境になっています。登場は時間の問題だと思っていますが、コロナ禍とFAVERの存在で早められると、とても嬉しいです。
 取締役にはコンサートプロモーター協会常務理事の長井延裕さんにも加わっていただいています。富士銀行〜フジテレビ事業部〜APbank〜クールジャパン機構という異例の経歴を持つ長井さんの識見とネットワークに助けていただく機会も多そうです。

 「こんなことはできないの?」「こんな公演にしてみたい」などのご相談があれば、遠慮なくご連絡ください!

 新たに出現しつつある「デジタルエンタメ市場」の活性化に貢献していきたいです。日本の音楽の未来はここにあります。頑張りましょう!

  音楽関係に限らずエンターテック関連での起業を考えている人は、Studio ENTREに連絡ください!おそらく日本で一番役に立てるネットワークと情報があるはずです。
ニューミドルマンコミュニティでも、コンサート配信サービスへの注目が高いので、セミナーのテーマにしました。興味のある方は是非ご参加下さい!



モチベーションあがります(^_-)