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物事の本質を伝える名著「WHO YOU ARE」は激オススメです

 本当に素晴らしい本でした。
 起業家〜ベンチャーキャピタリストとして著名な筆者が、CEOにしかわからない苦しみをまとめた前著「HARD THINGS」(これも名著です)に続いて、「企業文化」の重要性と形成の方法について書いています。
 あまりにも本質的で、起業家とか会社経営という範疇を超えた内容でした。チンギス・ハンはともかく、ハイチ革命の立役者も、刑務所の文化を変えた服役者も、不勉強で全く知らなかったのですが、示唆に富みまくりの内容です。
 あまりに感動したので、身の程知らずとは思いながら、自分に引き付けて語らせてください。
 僕の職業的な出自はアーティストマネージメントです。特異な才能はあるものの、社会的な常識やバランス感に問題があることが多く、傷つきやすいナイーブな心を持ち、自己愛に満ちて、独善的で、それが故にすばらしい作品を生み出す人たちが、僕にとってのアーティストの定義です。そんなアーティストの才能に寄り添い、社会と適切にアジャストさせて、クリエイティビティと経済性を長期的に両立させていくのが、アーティストマネージメントの役割です。「危険物取扱主任者一級の免許持ってます」というジョークは、同業者には初対面でも必ず通じます(笑)。
 近年は、アーティストマネージメントの仕事からは少し離れていますが、今でも僕はすべての仕事をこの方法論で行っています。「山口ゼミ」で作曲家を育成するときも、起業家との向き合いでも、僕のマインドはマネージャーです。起業家の才能に寄り添い、良さを伸ばし、適切なタイミングで欠点を補足するというスタンスはまさにマネジャーのマインドセットそのものです。尊敬する経営者であるAOITYOの中江社長と飲んでいてその話をしたら、共感を得て「僕もすべての仕事はCMプロデューサーのスキルでやってます」とおっしゃってました、一つの方法論を身につけると応用が効くものなのでしょう。中江さんとその話している時に、思い出したエピソードがあります。ジャズピアニスト佐山雅弘のマネジャー時代に忌野清志郎さんとの打合せに同席していた時のことです。今は共に鬼籍に入られてしまいましたが、仲良しの二人が、グレン・グールドの演奏を聴いてました。バッハだったと思うのですが、佐山さんは「素晴らしいね。これはもうジャスだ」と言うと、清志郎さんが「本当だね。これはもうロックだ」と答えるのです。聴いてるのはバッハで、論理的には成り立ってないのですが、横で聞いていて深く同意し感動したのを覚えています。二人にとって「至高な演奏」を形容する言葉がそれぞれあるのです。音楽の本質について考えさせらる貴重な機会でした。

 そういう意味で「WHO YOU ARE」は、僕にとっては、アーティストマネージメントと音楽プロデュースの真髄が伝わる本です、物事の本質がそこにあります。起業家だけが読んでいるのはもったいない。生きとし生けるもの、現代に生きるすべての人にこの本を薦めます。
 そして、初翻訳の浅枝大志good job!!

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