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おわりに:続編はまだ書けない。日本をIT後進国からリープフロッグさせるには?

 『新時代ミュージックビジネス最終講義』(2015年9月刊)を、noteのマガジンとして紹介するのが「おわりに」にたどり着きました。音楽ビジネスを俯瞰して、進みつつあるデジタル化を見据えてまとめたのですが、2021年に改めて読み返して、残念ながらまだ日本の音楽業界に有益な内容になっていることを確認しました。音楽ビジネスについて知りたい方は是非、読んでみてください。僕もスタートアップスタジオの代表として音楽界にDXをもたらして、続編が必要な状況に早くしたいと思います。『テクノロジーが変えた音楽ビジネス(仮題)〜最終講義・続編〜』を書くまで頑張ります。

 音楽ビジネスの未来を語るという目的のために、こんなに多岐にわたる分野について言及しなくてはならなくなりました。出版を決めた時に、難解で読みにくい本にしてはいけないと思って、見開き単位でトピックを解説していくと決めました。図表やイラストも多用して、気になる話題からパラパラと読むこともできるようにしたつもりなのですが、 いかがでしたでしょうか?
 しつこいくらい強調しましたが、音楽ビジネスが根本から変わろうと しています。そして、それは環境の変化による非可逆的で、本質的な変 化です。“最終講義”というタイトルには、すべてを言い尽くすという 意思表明と同時に、もう行動しないと間に合わないという危機感の現れ も示したつもりです。
 現役の音楽プロデューサーである僕が、自身のホームグラウンドであ る音楽ビジネスの未来を語ることには、強い葛藤がありました。自分を安全地帯に置いて、事象を外から分析する“音楽ビジネス評論家”になるつもりは、1ミクロンもありません。けれども、既存の仕組みが有効性を失って、再構築が必要な時代に、新たな視点を提示するために、音楽を愛するみなさんのために、そして僕自身の実践のためにこの本を書 きました。
 新人アーティスト育成のクラウドファンド機能も、新時代型のファンクラブシステムも、本書で提案した内容の必要性は切実に感じています。本気で取り組む人には、僕の知見と人脈を惜しみなく提供するつもりです。遠慮なくFacebook や Twitter などを使って、連絡をください。
 そして、本書のコンセプトである“ニューミドルマン”のマインドと スキルを身に付ける“ニューミドルマン養成講座”も継続していくつもりです。そこで出逢った人たちがチームを組んで、新たなプロジェクトが始まるような場にしていきたいと思っています。興味と意欲のある人 は、参加してください。
 日本人の創造性が、21世紀の国際社会で日本が生き残っていくための最大の武器である。そして、音楽はその先兵を担う役割だと信じて、 僕なりの戦いを続けていきます。同士との出逢いを待っています。
 最後に謝辞を述べさせてください。本作は僕にとって 9 冊目の著作ですが、今回も多くの友人達の助けがなければ出版することはできませんでした。本書に登場した皆さん、ご協力をいただいた皆さん、心から感謝します。ありがとうございます。
 尊敬する田坂広志さんにお会いして、対談させていただいたことは、 人生の宝です。この場を借りて、改めてお礼を申し上げます。「Content is King」「パーソナリティは最高の戦略」、2つのお言葉を肝に銘じて、全力で取り組む所存です。

    2015年8月16日 Øya Fetival開催中のノルウェー・オスローにて脱稿
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2021年10月付PostScript
 あとがきの追伸って変な感じですね。この『新時代ミュージックビシネス最終講義』は、僕のキャリアにとってエポックな書籍です。これを1人で書ききったことで思考も整理されたし、エンターテック・エバンジェリストとして自信も持てました。2022年4月に開講する大阪音楽大学ミュージックビジネス専攻は、この本がなければご依頼いただくことはなかったでしょうし、新専攻構築のベースになっています。
 僕を取り巻く環境は変化していて、起業家コミュニティを生成しながら、新規事業創生に取り組むスタートアップスタジオStudioENTREを設立、それがメインの活動になっています。近年注目された新業態で世界中にスタートアップスタジオがたくさんできていますが、エンターテイメント&テクノロジーを掲げているのはおそらく世界で僕らが唯一です。
 そんな「本籍地は音楽業界にありながら、現住所はITスタートアップ育成に置いている」僕としては、出自である日本の音楽界のDXを成し遂げないと、説得力が無いでしょう。本書で指摘している問題意識をブレずに音楽ビジネス生態系のUPDATEに率先して取り組んでいきます。

 StudioENTREが掲げた「MUSIC VISION」は、まさに課題への構造的な解決に起業家たちと取り組むという決意表明です。是非、ご一緒しましょう!

・高度成長時代の仕組みが良くできていたが故に変化が遅れている。
・グローバル化の進展で日本独特のルールや慣習のマイナス面が目出つようになった。
・年功序列社会で高齢の意思決定者のデジタルリテラシーが低い故、判断が間違うないし遅い。

 これら、音楽業界の課題は日本産業界全体の問題点の縮図に思えます。日本がアジアの中でも際立ったIT後進国になった今、狙うのは、遅れたからできる、次の次のフェーズへのリープフロッグです。
 音楽界で成功事例を作れれば、他の領域にも応用可能であると考えています。日本全体のDXの尖兵になりたいです。「デジタルとグローバル」が課題な業種は日本中にあふれています。

 本稿で、6年前にオスローで脱稿したのを懐かしく思い出しました。エコロジーを意識した都市中心部の大きな公園(東京で言えば日比谷公園か新宿御苑みたいなかんじです)で行われた大型ロックフェスと、そこに集まる音楽関係者との交流は大きな刺激になりました。美しい島でのBBQも素敵な思い出です。Covid-19によって国境を超えた往来を2年に渡って阻害されてきましたが、来年からは積極的に世界中の街に出て、ネットワーキングと自分へのインプットをしていきたいと改めて思っています。

<参考投稿>


モチベーションあがります(^_-)