見出し画像

「脱炭素社会」について考える①(シリーズ化したい…)

最近よく「カーボンニュートラル」という言葉を聞く。意味は人為的に排出したCO2から、植物が光合成で作った酸素を差し引き両方が釣り合った状態とのこと。つまり「人間が出したCO2=植物が生成した酸素」で、カーボンニュートラルを実現するには“CO2排出を減らすor植物を増やす”しかない。これは、圧倒的に人間が努力してCO2排出を抑えるしか解決できないと思ってしまう。1985年にオーストリアで開催された、地球温暖化に関する初の世界会議「フィラハ会議」で取り上げられてから35年以上になるが、これまでも問題として認識されつつ、何となく今日まできてしまった感じだ…。

なぜ、今、改めて注目されるようになったのか?その理由は、近年、世界中で多発する異常気象だ。ヨーロッパでは過去最大級の熱波が原因で、2019年、パリでは観測史上最大の42℃超を記録。先日、ニュースでもあったように、ギリシャやトルコでは熱波によって大規模な山火事が発生した。日本も同様である。毎年のように観測史上最大の大雨が発生し、台風も大型化している。昨年7月、記録的な雨量となった熊本の豪雨被害では、特別養護老人ホームで14人の尊い命が奪われ、熊本は「震災」「新型コロナ」「水害」の三重苦と、地元住民の悲痛な叫びが報道された。

この異常気象——。確実に人類の脅威になっていることは明白だ。昨年、菅政権が発足した際、自公の連立政権合意で初めて気候変動対策として「脱炭素社会の構築に努める」と盛り込まれた(連立のパートナー・公明党の強い働き掛けがあったとか…)。政府は2030年までに2013年比で46%削減、50年までに実質ゼロを目指すと目標を設定した。いよいよ本格的に日本社会が「脱炭素社会」に向けて動き出したといえる。2050年までの約30年間、様々な技術革新が進み国民の生活も大きく変化することが予想される。同時に世界の環境問題を解決するため、一人一人が相応の負担を求められるだろう。

今後も、この「脱炭素社会」をテーマに学んでいきたいと思っているが、中でも、いま私が最も関心を持っているのが「水素エネルギー」だ。水素は大きな特徴が3つあるそうで、1つ目は「利用時にCO2を排出しない(水しか出さない)」、2つ目は「長期貯蔵が可能」、そして3つ目は「繰り返し発電が可能」。特に3点目について、“水素と酸素”の化学反応で電気と水をつくり、そこで発生した水を再び電気分解し水素をつくる。これを繰り返すことができれば、無限にエネルギーがつくれる。さらに、その電気分解に利用する電力を再生可能エネルギー(自然エネルギー)で賄えば、一切CO2を排出することもない究極のクリーンエネルギーになる。

この水素戦略で日本は世界の主導権を握っている。2017年に世界発「水素基本戦略」を策定し、製造、輸送、貯蔵、利用のあらゆる技術において、世界をリードしているそうだ(いま、一気に諸外国の技術力が増してきたため、日本にとって勝負所といえる)。例えば、7万枚近い太陽光パネルで発電し、世界最大級の水素製造装置を備える福島・浪江町の「福島水素エネルギー研究フィールド」は、年間約200トンの水素を製造している。福島イノベーション・コースト構想のプロジェクトで、東北・福島復興のシンボルとも呼べる事業だ。政府は2050年までに2000万トンの水素の供給目標をかかげていて、今まさに水素社会に向けスタートしたといえる。

最後に、いよいよ告示を迎えた自民党の総裁選。次の日本のリーダーにとって「脱炭素社会」の実現に向けた国家戦略は待ったなしの課題といえる。新型コロナで社会が大きく変わろうとしている今こそ、政治がリーダーシップを発揮して、大胆に社会構造を変革していく必要性があると感じている。私自身、環境分野における技術革新が国民生活にどう影響するかなど、今後も研鑽を続けながら「脱炭素社会の未来」について考察していきたいと決意している。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?