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「選択的夫婦別姓の導入」カギを握るのは?

選択的夫婦別姓の議論が再び盛り上がっている。

自民党の国会議員有志50人が選択的夫婦別姓制に賛同する地方議員に対し、慎重な検討を求める文書を送っていた問題。この中に、オリパラ組織委員会の森会長辞任に端を発し、男女共同参画の担当大臣に就任した丸川珠代参院議員が名前を連ねていたことが判明したためだ。女性活躍を推進する立場の大臣が、逆に妨げの一因と指摘されるこの問題にどう向き合うつもりなのか。ついでに言うと、大臣本人は結婚後も「丸川」を使って活動していて、“自分だけは良いのか”との批判や矛盾も指摘されている。

それはさておき、2020年12月、21年度から5年間の方針を決定する「第5次男女共同参画計画」の策定にあたり、前任者の橋本聖子担当大臣(当時)が「選択的夫婦別姓の導入」に前向きな姿勢を打ち出したことで、いよいよ政治が動くのではと期待がふくらんだ。

ところが結果的に、計画に盛り込まれることはなかった。「選択的夫婦別姓」の導入をめぐり自民党内で議論が大紛糾。同党が反対派に配慮する形で最終決着したため見送られたのだ。

このテーマに関する国民の世論は明快である。昨年11月に発表された、早稲田大学の棚村政行教授と市民団体「選択的夫婦別姓・全国陳情アクション」が全国の60歳未満の成人男女7千人を対象に行ったインターネット調査(国の調査より大規模かつ初めて全都道府県からサンプル)では、賛成が7割にのぼった。

各政党の賛否もはっきりしている。反対する自民党に対し、野党はもちろん、与党の公明党も賛成の立場だ。ではなぜ、多くの政党が賛成し、世論の後押しがあるにも関わらず、解決に進まないのか。結論から言えば、いまの国会で最大勢力の自民党がNOと決めたことは簡単に前に進まないからだ。例えば、原発ゼロに向けた動きも同様である。

何か妙案はあるのか。同性婚など性的指向に対して多様な価値観の容認を求める活動をしている大学教授が面白いことを言っていた。「LGBTに一番理解がある政党は立憲民主党。しかし、残念ながら国会での議論や早急な法改正を望むならば野党では難しい。与党にいる公明党が動けば進む可能性は十分にある」と。現在の政界におけるパワーバランスを考えると、ここは公明党の判断に注目するしかない。

公明党は2001年、「夫婦別姓導入の民法改正案」を参議院に提出している。どの党よりも早い。2019年には東京都議会でも法制化を促す意見書に賛成しており、国・地方とも導入を推進しているようだ。最近では、「軽減税率の導入」や「未婚のひとり親に寡婦控除」「一律10万円給付」の実現など、自民党を抑えて政策を進める場面も目立っている。

「選択的夫婦別姓」が前に進むとしたら、与党の一角である公明党が、どれだけ自民党に迫れるかにかかっているだろう。常に与党内での存在感を問われている公明党だが、長年取り組んできたこの問題で、国民の負託に応えることができるか。議論が再燃してきたいまこそ、自民党と喧嘩するぐらいの覚悟を持ってやってほしいものである。

●47都道府県「選択的夫婦別姓」全国意識調査の概要
https://chinjyo-action.com/47prefectures-survey/

※画像は「選択的夫婦別姓・全国陳情アクション」のトップ画像を引用させて頂きました。https://chinjyo-action.com/

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