忘れられない旅~ヴェネツィア~
私は高校生のころには、どうしても行きたい場所が何カ所かありました。
そのうちの一つがイタリアのヴェネツィアです。
当時ドはまりしていた
弘兼先生の「ハロー張りネズミ」という漫画を読んでいて
そこにヴェネツィアのシーンがありました。
恋人たちがゴンドラに乗って
橋の下で誰にも見られずキスをすると
永遠の愛が約束される
主人公が、橋の下を通る直前に
その時の恋人に囁かれ…
というシーンでした。
なんてロマンチックなんだろうと思いました。
これを叶えるにはいくつもの条件をクリアする必要があります。
①2人の合意
②ゴンドラに乗る
③橋の下を通る一瞬
④誰にも見られない
ヴェネツィアに住んでいるならまだしも
旅行でいくとなれば
そんなにチャンスはありません。
きっとうまくいかないんだろうな
でも、うまくいかないとしても
それを叶えようと行動したことは
1人でにしろ、2人でにしろ
きっとなにか大きなものが手に入る
そんな風に思って憧れていたのです。
ですから、恋人ができると
ヴェネツィアに行かない? なんて旅行に誘われたら
もしかしたら告白されるかもしれない
とドキドキしていました。
まあ考えてみれば
ヴェネツィアに旅行、という時点で
その前に告白されているのでは…
恋人でもない人と、そんなロング旅行しないですよねw
今思えばおかしな期待をしていたのですが(;^ω^)
もちろんそんなことを言われることなく時は過ぎ
夫になった夫に
どこか行きたいところある?
という海外旅行の提案をされたとき、
まっさきに言った場所の一つがヴェネツィアでした。
すでに告白というか
プロポーズも終わってしまって
今さら橋の下でキスというタイミングでもない
でもその橋の下は
どんなにおいがして、どれくらいの暗さになって
何が聞こえて(ゴンドラの人が歌を歌うと言ってたし)
肌感覚とか、
あの漫画で感じた私の想像はどれくらいあっていたのか
興味ありました。
しかし、夫の計画からはなかなかヴェネツィアは選ばれず
結婚15年目でようやく!
娘も中学生です。
ヴェネツィアにはもちろん他の部分でも惹かれていました
水の都
もちろん街並みも大好きだし、仮面とか
ヴェネツィアンガラスとか、いろいろ私の興味を惹きつけるものは
たくさんありました
テレビで見たことはあっても
実際に訪れると、味があって情景がすばらしく
どこを切り取っても絵になる街でした。
昼間でも夜でも、人がたくさんあふれていても、人がいなくても
水のように、別の美しさを湛えて見せてくれ、いつまでも歩いていたかったです。(ご飯もおいしかった)
宿泊したお部屋もかわいらしくて(キュートとかではなくイタリアらしく)
全てが思い描いた以上で、最高でした。
ゴンドラも人気で予約を取るのが難しかったのですが
なんとか予約も取れました。
ところが
伝わるでしょうか。
バケツをひっくり返したような雨
ゲリラ豪雨?
イタリアではなんて表現するのか…
えええええ
まさかまさか
そうまさかの。運航中止
乗る事さえ許されないのか…
ゴンドラよ。
タイトルの写真に戻る。
そう、あのゴンドラが私のゴンドラ。
ゴンドラに立っている人に乗せてもらえる?
と何度も聞きに言ってくれていた夫(やさしい)
ということで、
私の高校時代の夢の体験は実現しませんでした。
次の日は曇りでした。朝に発たないといけなかったので
ゴンドラは運航していましたが(どちらにしろ予約できないから無理)
乗れません。
幸せそうな新郎新婦がいらっしゃいました。
よく考えれば、ご利益は若い人のものですね~と写真を撮りながら感じ入る。
高校時代の私には申し訳ないですが
もう、タイミングは過ぎたのでしょう
私がこれから出来る事と言えば
橋の下を覗かないことでしょうか。
叶わないからこそ、手に入れられるもの
別の形でもらったのでしょう。
想いのある旅は
どんな形であれ、かけがえのないものになりました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?