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新卒時代を振り返る

毎年のように大学や専門学校を卒業して社会人なっていくお客さんを送り出す。
今年送り出した子たちが就職して約2か月。みんな元気にやってるかな?

(自分のときの新卒時代の環境はどうだったかな??)と思い出すときがたびたびある。

せっかくなので思い出話を書いていこう。

美容師ってきっと他の業種と比べると特殊で、専門学校で得た知識や技術が就職してから全く役に立たない。
店によってもカット理論とか使ってる薬とか全然違うから美容業界共通みたいなのってあんまりない。
だからお店の理論を1から教えられる。
「じゃあ専門学校はなんで通うの?」ってなると、専門学校は国家試験に受かるために通う学校、みたいな認識。

授業で役に立ったこと・・・??パーマを巻く、ワインディング…だけ、かな?あ、シャンプーもちょっと役にはたったかな?とは言ってもお金をいただくレベルではないし。

カットはハサミの使い方、くらい??

と、思い出すのが大変なくらいに実戦に活きないことを学んでたような。
ネイルやカラーコーディネーターの資格も取ったし、着付けもやったけど役に立ったかなぁ??

といってもいろんな美容の技術に触れる授業は楽しくて美容師を目指す同志と過ごした時間が一番意味があったかな。

そんな感じなので実践的な技術を覚えるためにお店に就職してから。
営業後は練習という時間になる。
僕が就職したお店は21:00までの営業時間だったので、練習ができるのは21:00以降。
最初の練習はシャンプー。
21:00以降シャンプーをただただ、しまくる。
練習中も電話番をしたり、洗濯をしたり、タオルをたたんだりしながら練習して店をでるのは23:30から24:00くらい。
基本的には1年目は最後まで居残り。体育会系の伝統。

「夜遅くまで大変ねぇ。」と言われるけど1年目の早番のときの朝もバタバタ。
出勤時間はお店につくのは9:00までに。だから実質8時50分に到着。(タイムカードは9:30までに押せばOKなのにぃ←むむむっ。)
鍵は店長が持っているので、店長到着まで入り口で待つ。

もし店長が電車を一本乗り遅れたら9時10分に到着するので、(まだか??まだか??)と待つ。というのも9時20分までに着替え、電気、エアコン、お茶とコーヒーの準備、朝ごはん、歯磨き、自分の髪のセットをしなければならない。

20分間で。

もうお分かりだと思うが、朝の準備が時間通りに終わるかどうかは店長の到着時間にかかっている。というか時間通りに到着したってギリギリ終わるくらい。

もし準備途中で電話がかかってきたらアウト。店長が遅刻してもアウト。やまだアウトー。

朝礼までに準備が終わらなければ先輩に「やまだ!遅いよ!何回も言わせないで。」と自分より遅く来た先輩に怒られる。

いやいや、こちら時間通りについて待ってましたけど。店長が遅れてきたんですよね?

チラッと店長に目線を。

もちろん店長が遅れてきたせいなので、もちろん店長からのフォローが…

店長「・・・。」

ない!!

知らんぷり。

店長、知らんぷりグランプリ優勝。

そんな理不尽な状況から朝が始まる。

入社したばかりの1年目の仕事はほうき(下履き)、タオル洗濯、パーマやカラーの順番、片付け。

シャンプーはじめ、お客さんに触れる技術は全て試験に受かってから。

シャンプーの試験に受かれば
手が空いてれば基本的には1年目がシャンプー。そして下履き。そして洗濯&タオルたたみ。

先輩がほうきを持っていようものなら、

変わります!!

と言って仕事を変わる。

それと一緒でシャンプーに案内するところに先輩がスタンバイしていたら「変わります!!」って言って変わる。

シャンプーと下履きが同時に必要になりそうなときに(どっちに行こうかな?わかんないけど・・・シャンプーにしようかな・・・)「変わり・・・ますか??」みたいな消極的な声掛けをすると、「変わりますか?じゃなくて変わります!ね!やる気あんの?」
みたいな指導が入る。
こわっ。

新人、アシスタントは『やる気あります!!』感をださないと仕事に入れてもらえないので、できる仕事は全部入って経験をとにかく積むというのがデフォルト。技術力がない分遅いし、きれいにできないから怒られる率も高い。
もちろん疲れやモチベーションなんて関係なく、とにかくできる仕事は全部やる。そして先輩にも怒られながら、時にはお客さんにも怒られながら成長する。とにかく経験を積む。それが美容師アシスタント。

理想と現実とはよく言ったもので、髪を切ってスタイルを作りたい!と思って美容学校に行って美容師になったのに、カットの練習なんて1年以上しないし、アシスタント時代は体力と強いメンタルが必要すぎてイメージしてる美容師像とは全く違った。
それもそのはず。お客さん側からが見ている“美容師”はスタイリストと言って髪を切れる人。
でも入社時はアシスタントと言って、スタイリストの補助、手伝いをする役職なのでセンスや器用さより体力が求められる。

入社と同時に美容師アシスタントになったやまだの当時の想いは・・・

1人しかいなかった同期が1か月で辞めて雑用が2倍になるし、
ずっと立ちっぱなしだし、
ブローするとめっちゃ汗かくし、
裏でめっちゃ怒られるし、
先輩もめっちゃ怒られてるし、
明日は我が身だし、
土日は休憩ないし、
「変わります!」ってい言ってんのに死んだような目で「大丈夫でぇす。」って言われるし、
休みは週2って言われてたのに結構な割合で練習日になるし、
有休は使えないし、
「今日飲み行くか!」ってなって「行きますー!」って言ったら23:30スタートだし、
給料安いし、休みも少ないから休日もたいして発散できないし。

と疲弊していた。

今でも当時の環境で働けるかと言われれば絶対無理だし、明らかにブラックな環境だったけどすべてが悪い環境だったのかと言われるとそんなことは全くない。

疲れてたけど、仕事のやりがいはあるし、
お客さんに覚えてもらってうれしいし、
先輩たちみんな苦労した時代があってスタイリストになれてるからアシスタントの苦労も知ってるし、
情に厚くてスタッフ同士の仲はいいから休みの日もよく遊びに連れて行ってもらったし、
悩みは聞いてくれるし、
よくおごってくれるし。(笑)
※今でもつながりがあって新潟に引っ越しすお客さんを紹介してくれたりもするし、逆に紹介したりもする。

当時は練習を遅くまで見てくれる先輩がいて、後輩が育つ環境がある。
人数が多い職場だったからいろんな刺激がもらえるし、
大きい会社だったから売り上げを上げて社長や店長の評価をもらえれば、雑誌掲載やパリコレのバックステージにも携われる。

休みが少ないのと拘束時間が長すぎるのは置いておいて、大きい会社だと売り上げで結果を残せばそんなメリットも、ある。

営業中の厳しさは全然理不尽ではなく【お客さんをきれいにする】という目的があってこその指導。
アシスタントが失敗しても、それをフォローするのは担当スタイリストや上司。
安心、安全のサロンワークをやっていくためにも先輩たちが目を光らせなければなりません。
まだ技術が未熟なうちは技術で叱られ、大人への対応が未熟なうちは対応で叱られるけど、1年続けられれば色んな事が見えてくるから、耐える時期も必要。

結局何が言いたいかというと、

世の中的な評価で言えば明らかなブラック企業で働いていたけど、そこで働いていたから精神的には強制的に強くなれた(ならされた)のもある。
おかげでそこの会社を辞めて転職してからはどこで働いても全然余裕。
転職後、始業から2時間で「やまだ君、20分休憩。」って言われたときは冗談かと思ったし、
休憩をもらうだけで(え!休憩こんなにもらえるんすかー!?昼休憩じゃないのに!?)と衝撃を受けた。
働いていたころは会社の文句もあったけど、自分でお店をやってからは当時の上司が言っていたことも普通に理解できる。
上には上の立場がありますからね。

そもそもノンストレスで仕事をするなんて無理な話で、ちょっとでも不満があると「ブラックだ―」と言いがちな時代だけど、「絶対に我慢できない!!」ってやつ以外は「どこで働いてもこんなもんかな。」くらいでスルーしておいた方が自分のストレスも減る。
自分のストレス耐久を上げたほうが手っ取り早い、会社はなかなか変わらないんで。

って書いたけど・・・
僕は結構な割合で10分遅刻してくる店長に我慢できなかったので、言ったんですよ、個人ミーティングの時に。「店長が遅れてきて僕が文句言われるの嫌なんで遅刻しないでください。」って。

んで次の日。

僕が寝坊したんですよ。

起きたのは9:05。

店長から電話かかってきて、店長から。
「やまだー?おはよー。」って。

んで、ダッシュでお店行って、そしたら先輩たちが全部準備終わらせてくれてて。
また満面の笑みで店長が「おはよう!」って。
めちゃめちゃ謝っても「いやいや、いいよいいよ」って。
叱られないのがこんなにも怖いものかと、店長のすごみを感じました。

その後店長が9:10に来ようが全く文句を言わず、ただただ急いで準備をする日々が続きます。

だから人に意見するときはまずは自分から。ですよ!!!!

一応、言っておきますが僕の新卒時代なんて15年以上前の話なので、
今の美容業界はもっと福利厚生がよくなっていたり、練習時間もそんなに多くない・・・はず。
夜、遅くまで電気ついてるお店とかあんまり見ないですもんね。朝練が多いのかな?
練習の仕方も学生時代からオンラインで学べたり、いまはいろんな可能性があります。

まっ、時代は変われど、どんな職業も努力する時期は必要ですね。
新しい環境に入るということは気も使うし、仕事も変わるし疲れますよね、特に最初は。

今では偉そうに指示してくる上司も、社会人1年目の時は絶対たくさん失敗してたはずなので、失敗を恐れることはありません。失敗は若いうちにしてたくさん経験を積みましょう!
(やまだ、新卒の時ヤバいじゃん!)と笑ってくれれば書いた意味があります。

この時期は、すこーし仕事に慣れてきつつあると同時に仕事に対してマイナスな感情を抱く人も少なくないみたいですね。
社会人は長く続くので気持ちが落ち込んだ時くらいは頑張りすぎないっていうのも大事です。

まずは体を大事にやっていきましょ!

では!

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