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新年にまつわる気になる表現2つ ~間違って憶えていませんか?

新年にまつわる気になる表現を2つ。

ひとつは

 Happy New Year!

ひょっとして、あくまでひょっとしてなんですが、今年の年賀状に

 A Happy New Year!

なんて書いてないですよね(笑)

そう、A は要らないのです。不定冠詞は不要なのです。

「お誕生日おめでとう」が 

 Happy Birthday!

「メリー・クリスマス」が 

 Merry Christmas!

どちらにも A はないでしょ?

今さらながら、「なんで?」と思う人もいるかもしれません。でも、じゃあ、「おはよう」は何ですか?

 Good morning.

ですよね。A good morning. なんて言いませんよね。じゃあ、「おやすみ」は?

これも

 Good night.

であって A good night. とは言いません。それと同じ。

はい、しつこいですが、「明けましておめでとう」を A Happy New Year とは言わないのです。

もちろん Birthday や Christmas が数えられない名詞だという訳ではありません。

歌詞にはこんな表現があります(歌ってみてください)。

We wish you a merry Christmas
We wish you a merry Christmas
We wish you a merry Christmas and a happy new year
("We wish you a merry Christmas" イングランド民謡)

こんなのもあります。

And may all your Christmases be white
("White Christmas" 作詞:Irving Berlin)

ところがお誕生日ケーキを前にしてみんなで歌う唄にはやはり a はないのです。

Happy birthday to you
Happy birthday to you
Happy birthday, dear Hana-chan
Happy birthday to you
("Happy birthday to you" 替え歌、作詞者不詳)

どこが違うんでしょう?

クリスマスも新年も、通常の文章の中に置かれると普通に可算名詞になるのですが、挨拶の定型句になってしまうと a が付かないんです。

ただし、挨拶ではあっても、定型句としてではなく通常の文中で使われる場合は、

 I wish you a Happy New Year!

とか

 Have a great new year!

などと、ごく普通に a が付いていますので、念のため。

ちなみにクリスマスは Christmas または Xmas で、X'mas は誤り(このことはまた別の機会にでも)。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

もうひとつは

 元旦

「元旦」は1月1日の朝を指す言葉です。

何故なら、「旦」は地平線(水平線ってこともあるのかな?)から日が昇るさまを描いた象形文字だからです。

そう、下の「一」が地平線か水平線。その上に昇ってきたのが「日」!

なるほど!と思いません? 私も初めてこれを知ったときには大いに感心しました。

ただね、よくよく考えてみると、なんでこれは地平線から日が昇るさまなのであって、地平線に日が沈むさまじゃないんでしょう?

それを考え始めると、なんか騙されたような気になってきます(笑)

まあそれは置いといて(笑)、何はともあれ、「旦」は「朝」という意味の漢字なんです。だから、「元旦」は「元日の朝」です(「元日」は1月1日です)。

でも、巷には「元旦の夜に」などと言っている人が結構たくさんいませんか? 本来その表現はおかしいんですよ。それを言うなら「元日の夜」でなければなりません。

え? 「いや、この場合の『旦』は日が沈むさまなんだ」って? 

ここでそれを言うか! はいはい、分かりましたよ。でも、「元旦の昼」はどっちにしても間違いですよね(笑)

ところが、皆が間違うからなんでしょうか、最近の辞書には「元旦」の項に堂々と「元日」の意味を載せているものもあるんですよね。「元日(の朝)」などという、ずるい、曖昧な書き方をした辞書もあります(笑)

辞書はある意味規範的でなければなりませんが、一方で社会で使われる言葉を反映していなければなりません。辞書を作る人も大変だと、心から同情いたします。

あ、そんなこと、皆さんにはどうでも良い話ですか?

元日の朝からつまらんこと言ってすみませんでした(これなら間違いないでしょうw)。

あと、もし手許に A Happy New Year と印刷してしまっていて、これから出す年賀状がある場合は、冒頭に手書きで I Wish You と加えると良いかもしれません。ただし、何も気づかない人もいるでしょうから、どっちにするかはよく考えてくださいね(笑)

(元々は2001年のお正月に自分のホームページに書いた記事でしたが、どんどん加筆修正して、今回の形になりました)

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