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「※ 個人の感想です」

テレビCMで観ていて気持ちが悪いと思う表現に「※ 個人の感想です」というのがあります。

実際にその商品を使用しているという一般人のナントカさんが出てきて、「とても良い」とか「ものすごく効く」とか言っている横に小さく出ています。

しかし、一体全体「個人」以外の感想ってあるんでしょうか? どこかの団体の全体としての感想とか、会社の公式感想とか、そんなものは聞いたことがありません。感想というのはそもそも個人個人がバラバラに持つものなのです。

言いたいのは多分こうでしょう: これはあくまでこのナントカさん個人の感想であって、この商品を使った人がみんながみんなこう思うわけではありません。──そりゃそうです。そんなことは当たり前です。

でも、そう言っておかないと「買ったけど効かなかった。使ってみたけど良くなかった」という苦情が山ほど来る可能性があります。テレビで「美味しい」とか「治った」とか言われると、ついつい誰の舌にも美味しくて、誰の体にも効果が出るように思ってしまいがちなのものです。

そんな風に思い込んで買ってしまった人が怒らないように、こんな無粋な註釈がついているのです。

でも、ごく自然な表現として、本来は「あくまで個人の感想です」「あくまで個人の感想であって、保証するものではありません」などとするべきなのではないでしょうか。

不思議なことに「あくまで」が付くと、なんとなく座りが悪かった「個人の感想です」という表現に安定感が加わるでしょ?

ただ、そういうくどい表現をしてしまうと、「実は100人のうち1人しか褒めなかったのに、わざわざその1人を呼んできて証言させている」みたいな胡散臭さを醸しだしてしまうのも確かですよね。

ただ、どうでしょう? 「※個人の感想です」だけでも充分胡散臭くないですか? それは言葉が足りないからだと思うのです。

同じく言葉が足りない表現として他の広告の例を挙げると、よくある「※ 写真はイメージです」というフレーズがあります。

意味するところは、何らかの事情で商品そのものの写真を(あるいは、その商品の効果などを目に見える形で)載せることができなかったので、あくまでイメージとしてこの写真を使っていますよ、ということなのでしょう。

本当はこれは「現物を写したものではありません」と書いてくれたほうが解りやすいです。けれど、そういう書き方にすると、如何にも「悪意を持って現物の写真を掲載しなかったインチキ商法」みたいな印象になるので、こんな表現になってしまったのでしょう。

しかし、この表現を見ていつも私が笑ってしまうのは、英語の image には「画像」という意味があるからです。特に HTML 上では image という単語は写真や絵などの画像を指します。それを略したのが<img>というタグです。

だから私は、この表現をホームページのバナーなどに見つけると、ついつい「そりゃあ写真は image でしょうよ。んで、文字は text でしょうとも」と独りごちてしまうのです(笑)

言葉を尽くして説明すれば滑らかに伝わる表現になるのに、そこにはバナーの面積であるとか CM の秒数とかいう制限もあるのでしょう。表現というのは却々難しいものです。広告を見ながらふとそんな風に考えました。

私と違う感じ方をされた方もおられるでしょうね。この文章はあくまで個人のイメージです。いや、個人のテキストかな(笑)

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この続編と言うか姉妹編みたいな記事がこれです:


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