見出し画像

プー太郎記念日

今月で会社を辞めてちょうど1年になりました。7/1 に facebook に

「この日から来るな」と会社が言ったから7月1日はプー太郎記念日

(自分の facebook より)

と書いたら、僕の記事としては珍しくそこそこの数の「いいね!」がつきました。しかし、「いいね!」してくれた人の一覧を眺めているうちに、これが俵万智の『サラダ記念日』のパロディだと分からずに読んだ人が果たしてどのくらいの割合いたんだろうか?と少し気になって来ました。

そう、これは

「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日

俵万智『サラダ記念日』

をパロったものです。ちなみに本歌と字数を合わせるため、「7月1日」は「しちがつついたち」ではなっく「しちがついっぴ」と読んでください。

「サラダ」がカタカナなので、それに合せて「プー太郎」というカタカナ混じりの単語を持ってきたのですが、かなりの字余りになっているので「失業記念日」としたほうが良かったかもしれません。でも、「失業」という語を嵌めてしまうと、一気に暗く深刻めいてしまい、本歌の持つ無邪気さが失われてしまうような気がします。

「脱サラ記念日」にすると「サラダ記念日」とかなりうまい具合に語呂が揃うのですが、そもそも僕が会社を辞めたのは定年後の再雇用期間が終わったからであって、「脱サラ」ではありませんし、「失業」には違いありませんが、一般的な「失業」とはニュアンスがちょっと違います。

だからプー太郎記念日という、ちょっと時代遅れな、脳天気なワーディングを持ってきたのです。

──というような深いところまで読み込んでくれた人は果たしていたでしょうか?

そこまでの人は多分いない(笑)にしても、逆に、そもそも俵万智のこの短歌を知らなかったり、知ってはいたけど全く思い出さないまま読んだ人はどれくらいいたのかな?と少し気になってきたのです。

いや、何も、「俵万智が一躍その名を知られるようになった口語短歌ぐらい、常識として憶えておけ!」などと言うつもりはありません。とは言え、記事のすぐ横に「これは俵万智のパロディですよ」と添えるのも無粋ですから、僕はそこには書きませんでした(後刻、コメント欄に上に書いたような解説めいたことを少しだけ書きましたが)。

でも、このことを知ってこれを読むのと知らずに読むのとでは随分印象が違うはずですよね。

まずパロディだと分かっただけでそれはかなり明るいジョークになると思いませんか? しかし、そうと知らずにこれを読むと、「まだまだ会社で働きたいのに切り捨てやがって」という"怨み節"に読めたりしすよね?

そんな気持ちはまるでありません。そもそも僕が働いていたのは前述の通り、定年後の再雇用制度によるものであって、事前にさまざまな条件を聞き、いつまでが限度という説明も聞き、納得した上で契約書に署名捺印して働いていたのです。

その契約が契約書通りに履行されたわけですから、何の不満も怨みもありません。「まだ働けるのに」という思いはなかったか?と問われると、もちろんまだ働けるとは思っていましたが、でも、当時やっていた仕事を続けたかったかと言えば、それは全くありませんでした。

だから納得して辞めたのです。納得してプー太郎の地位を得たというわけです(笑)

ちなみに会社から離れて起業しようなんて気持ちもさらさらありませんでした。そんな気があれば定年まで会社にいたりはしません。僕には一国一城の主になりたいなどという思いはありません。人の上に立ちたいんじゃなくて、ただ誰かの役に立ちたいと思っていました。

さて、なんであれ、会社を離れたのであれば、会社や業界にいつまでも恋々とするのもやめようと思いました。

ま、もちろんテレビは好きだし、インターネットにはそれ以上に深く強い思い入れがあるので、そういうことに対する興味は持ち続けると思いますし、あくまで1ユーザとしていろんなことを書くかもしれません。ただ、かつての同僚や仕事仲間、取引先の人たちといつまでもつるんで、うだうだと語り続けて行くのはやめようと思った次第です。

そもそも会社を辞めたことによって、今までのように会社の情報や業界の動向が自分に入ってくることはなくなるわけです。中途半端な知識で何かを論じようとすると間違うに決まっています。そして、なにしろ会社を辞めてしまっているので、仮に正しい判断ができたとしても、自分の知見や能力を活かす場はもうどこにもないのです。

ならばまとわりついても仕方がありません。僕は少し左右を見渡してみて、今までとは違った何かを見つけなきゃな、と思ったわけです。それを見つけるためのプー太郎です。だから、それは記念日なんです。

「この日から来るな」と会社が言ったから7月1日はプー太郎記念日

この記事を読んでサポートしてあげても良いなと思ってくださった奇特な皆さん。ありがとうございます。銭が取れるような文章でもないのでお気持ちだけで結構です。♡ やシェアをしていただけるだけで充分です。なお、非会員の方でも ♡ は押せますので、よろしくお願いします(笑)