15年前と今の新入社員諸君に
あと2ヶ月もすれば、今年も新入社員が入ってきます。今、私の手許に、私が多分 2004年に新入社員に向けて書いた文章があります。当時自分でも気に入っていた文章です。
「何が言いたいのか今イチ解らん」とおっしゃる方もおられるでしょうが、自分らしいトーンの文章になっているし、まあ解りやすいコミュニケーションだけではなく、解る人には解るという表現があっても良いのではないかな、と独り悦に入っていたわけです。
でも、これ、今読み返すと、もう今の時代には全く通用しないものになってしまったように思います。
あ、つべこべ言う前に、まずはその 2004年に書いた文章を読んでもらいましょう。
新入社員諸君!
そんなに単純化してしまっては元も子もないようなまとめ方を敢えてするなら(いや、本当はそこまで単純化してしまうのは良くないのですが)、
みたいなことです。
でも、今読み返すと、残念なことに、この文章は明らかに終身雇用を前提に書かれています。文中に「何人かはすぐに絶望して会社を辞めてしまうだろう」という表現はありますが、明らかにそれ以外の大多数は定年まで勤めることを、暗黙の前提としています。
今はどうでしょう? 「ひどい会社だ」と思ったら、大多数があっさりと辞めるでしょう。世間もまた、そんなひどい会社に留まることを推奨したりしないはずです。
ところが、私たちが若かった頃は、せっかく入った会社を辞めるということは自ら「辛抱の利かない根性なし」であることを認めることを意味し、世間からもそのように後ろ指を指されました。
今では逆に定年まで1つの会社でしか働いたことがないほうが軽蔑されると聞きます。
しかし、私たちが若かった頃には、一旦会社を辞めてしまうと前よりも良い条件の就職先なんて全く考えられませんでした。
それが今では(待遇面だけの話ではないのでしょうが)多くの人が“キャリアアップ”を果たせる時代になりました。
そして、どこの会社にもひどいところはあるというのは、今でもある程度は真実でしょうが、一方で人権に対する意識が高まり、職場環境もいろいろな面で整備され、この 15年でそのひどさ加減は随分と改善されたと思います。
だから、若手社員が辛抱して働くという前提から抜け出せないでいる管理職は、今の時代には全くまともに機能しないことになると思います。彼らの10年後、20年後を見据えて悠長に社員教育をしていたりすると、彼らは途中でいなくなってしまうのです。
昔の新入社員は“山登り型”で、頂上に辿り着くためにはどんなにしんどいことでも乗り越えるというタイプだったのが、最近の新入社員は“ピクニック型”で、スタートしてすぐであっても面白くなければ帰ってしまうのだそうです。
だから、某大手企業は、新入社員面接で「将来どういう仕事をしたいか」という質問をするのをやめたのだそうです。彼らは「今こういう仕事をしたい」ということしか考えていないのだと聞きました。
私はそれを嘆いているのではありません。時代とともに人の感じ方、生き方は変わって行って当然です。
だから、15年以上前に書いた文章を引っ張り出してきて、今さら新入社員に突きつける気はありません。突きつけるとすれば、それは時代の変化に気づいていない経営トップや管理職に対してです。
ただ、新入社員諸君にひとつだけ言っておきたいのは、仮に君らがたった3年か4年しかその会社にいないとしても、その間にその会社を少しでも良く変えて行くのは、やっぱり君たちの仕事じゃないかな、ということです。
私はそんな風に考えています。職場環境の改善も大事な仕事の一つであると。
違うかな?
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若い社員たちに対してはこんなことも書いています:
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