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放送とインターネット

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放送局に勤めていたので、たまに放送のことも書いていました。ま、内輪向きの文章が多いので、ここにはたまにしか載せませんでしたが。いずれにしても定年退職しちゃったので、今後はこのテー…
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#配信

何が TV4.0 をもたらすか

facebook には「思い出」という機能がありますよね。そう、何年か前の同じ日の投稿を表示して、「あなたは◯年前にこんなこと書いていました」って知らせてくるやつです。 そこに 2019/1/19 に自分が書いた記事が出てきまして、そのちょうど5年後に読み返したのですが、僕はこんなこと↓ を書いていました: さて、5年後の今はどうでしょう? あの頃は僕はまだ毎日放送の社員でした。退職したためもう会社や業界の情報や動向は一切掴んでいないので、専門的なことは書けませんが、一

昔を思い出して、配信の権利クリアの仕事について、ちょっと書いてみました。

権利クリアの現状僕が放送局に勤めていた最後の十数年はテレビとインターネットを繋ぐことに心血を注いでいました。そして、最後の数年はテレビ番組の配信が本格的に始まり、まさに配信にまつわる実務をやっていました。 当時の僕の担務はやや古いテレビ番組の配信の権利クリア等々で、これには結構面倒なことがたくさんありました。 今ではいろいろな法律も整備され、いくつか組織も立ち上がり、ルールも確立し、手順もルーティン化して随分楽になってきたと思います。 所謂「見逃し配信」(このネーミン

それは Netflix の番組? ~容れ物の時代から中身の時代へ

インターネットを観ていたら、「Netflix で観られるオススメ作品」みたいな記事を書いている人がいて、なんとなく読んでみると、元々は劇場用映画として公開された作品やテレビ局が制作したテレビドラマなどが山ほど含まれていて、ちょっと驚きました。 僕がそういう記事を書くとしたら、そういうものは決して含めないだろうと思います。だってそれは(確かに今は Netflix で観られるには違いないけれど)本来的に Netflix の作品ではなくて映画会社やテレビ局の作品だと思うからです。

「テレビ離れ」という厄介な発想(2022/3)

久しぶりに境治さん主催の Media Border に投稿しました。多分これが僕の最後の投稿になるのではないかと思います。少しだけ筆を入れてこちらにも転載します。 境治さんを筆頭に、Media Border には錚々たる書き手がおられますので、メディアの話をたっぷり読みたい方はこちらに登録されては如何かと思います(今回は note版ではなく、Publishers版の URL を貼っておきます)。 「テレビ離れ」という厄介な発想「テレビ離れ脱却論」の跋扈 インターネットと

続・テレビの中の固定観念──テレビ受像機の多機能化とテレビ番組の同時配信

前に「テレビの中の固定観念──商品名と裏番組」という記事を書きました。 今回も似たようなことを書いてみようと思います。僕がいろいろ言っても、却々ちゃんと受け止めてもらえなかったことを2つほど: テレビ受像機の多機能化に対する抵抗インターネットの登場直後から、とまでは言いませんが、僕は割合早くからテレビとインターネットが繋がって行くべきだと考えて、社内でもそんな風に主張し始めていました。 一連のキー局買収騒動もあって、上のほうからは「“インターネットとの融合”と言うな。“

愛と幻想の配信イズム(2018/7)

この記事は 2018年7月に、境治さんが主宰しておられるウェブマガジン Media Border に投稿したものです。 ここにも挙げておきたいという私の自己満足で挙げたのですが、もしこういう記事をたくさんお読みになりたいのであれば、若干お金はかかりますが、Media Border を購読されては如何かと思います。 愛と幻想の配信イズム テレビ番組の常時同時配信に関してはいろいろな意見を耳にします。中でも私が忘れられないのは、去年あるシンポジウムで登壇した若い女性パネリスト