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ビートルズ曲解説 Rock And Roll Music

ビートルズに出会って40年。
集大成として1曲づつ曲解説を書いています。

1966年ビートルズ武道館公演のオープニング曲(*1)。E.Hエリック氏の「ウェルカム、ザ・ビートルズ」のコールで登場し、チューニング、アンプの調整を自ら行い、MC無し、いきなりジョンのエピフォンカジノ(*2)で「ジャジャジャジャ」と始まる。

初日(6月30日)の公演は半音低いチューニング(*3)であった。台風の影響を受けメンバーを乗せた飛行機は大幅に羽田到着が遅れ(*4)、その疲れを考慮したものと考えられる。きっと高音で歌うのが、きつかったのだろう。

ちなみに日本公演の前のミュンヘン公演では正規チューニングだった。半音下げた事によりスローな感じは否めなく、ビシッと決まらない。想定外だったのは武道館の観客が真剣に演奏を聴いた事だった。メンバーはこれまで誰も演奏を聴いてくれないライブに投げやりになり、手抜き演奏は当たり前だった。メンバーは早速、反省会を持ち、翌日からは正規のチューニングで臨んだ。

オリジナルは、チャックベリー。チャックの奇行は有名で、1986年のドキュメンタリー映画「ヘイル・ヘイル・ロックンロール」でのギグ中もハチャメチャ。サポートを買って出たキースリチャーズ、エリック・クラプトンも苦笑いしながら、一生懸命ギターを弾いていた。まさに大人の対応である。

ジョンはチャックを「マイヒーロー」と崇めていたが、晩年、チャックは「俺の方こそジョンをとても尊敬している」と真剣に話していた。公私ともにロックンロールを地でいくチャックにとってさえ、尊敬に値するジョンはやはりスゴイ。

レコーディングではDon’t care to hear them play a tango(タンゴに興味はないよ)からリンゴの叩くシンバルのリズムがラテン調に変わる。きっと歌詞に出てくるマンボ、コンゴ、タンゴを意識しての事だろう。

ビートルズは前半後半で演奏を変えることがよくある。聴く者を飽きさせない粋な計らいであり、まさに顧客志向。マーケティングの基本である。

ジョンはこういったロックンロールを歌うと、右にでる者はいない。イマジンの愛と平和のイメージもあるが、ジョンこそ真のロックンローラーである。

カバー曲であるが、オリジナルを完全に凌いでいると思う。ジョンはこういったロックンロールを歌うと、右にでる者はいない。イマジンの愛と平和のイメージもあるが、ジョンこそ真のロックンローラーである。カバー曲であるが、オリジナルを完全に凌いでいると思う。

(*1)公演でジョンはエンディングをAコードではなくA6に変えて音にメリハリをつけた。そしてギターのヘッドを持ち上げ、得意げにキメポーズを取っていた。お茶目。
当日の音源は「アンソロジー2」に収録されており、貴重である。

(*2)前座「ドリフターズ」のいかりや長介氏は、楽屋に繋がる通路でジョンの抱えるギターと、いかりや氏のベースがぶつかり、ゴーンという大きな音がしたと語っていた。ホントなのだろうか?

(*3)イエスタディのみ元々半音下げチューニングの為、正規のキーではないかと考えられる。

(*4) 30時間を超えるビートルズのツアー史上最長の移動となった。若かったとはいえ、疲れ、時差ボケによりメンバーのコンデションは厳しいものだっただろう。

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