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23.08.08 「経験がある」ってどんなことだろう? 〜何気ない言葉を掘り下げて考える〜
こんばんは。八雲 辰毘古です。
テキストではご無沙汰かもしれません。しばらく小説以外の活動をカットしていたので更新頻度がイマイチ安定できていませんでした。申し訳ありません。
今回も引き続き「身近な何気ない言葉を深く考えてみる」のテーマで、やってみようと思ってます。
■導入.「経験豊か」ってどういうことなんすか。
別に下ネタのつもりはない。職場でまれに「ベテランです」だとか、「彼は職務経験豊かだからね」と言われて入ってくるとき、不思議とある安心感はなんなんだろう。
われわれはこの言葉を聞くと、緊張や不安が和らぐのを実感する。あるいは「本当だろうか?」とけげんな目つきで相手を見る。
ビジネス界隈では、経験という言葉に対する意味付けがシビアだ。
それは過去にたくさんの案件に参加ことを意味しない。ビジネス的な意味づけによると、「経験」と「体験」は厳密に分別される。あなたがしてきたことはただの職場体験です、みたいな、そんな言い方だとまるで遊びだったかのような印象を受ける。しかし職場での経験、という言い方になると経歴書に書いても遜色ないようなものをイメージしてしまう。
よく言われてるのは、体験が「アクション」で、経験が「アクション+教訓(スキル)」であるということだろう。ただ実行する/参加するだけではなく、そこから何を学び取ったのか、何を獲得してきたのか。それが、『経験』という言葉の奥行きを成り立たせている。
さて、業界のベテラン、経験豊かな先輩、そうした修飾語が頭に被さる人物が一体何をしてきて、何を獲得してきているのか。
それは本人に聞いてみないとわからない。もしかするとぺてんかもしれない。けれどもいま少しばかり私には仮説があるので、聞いてみてほしい。おそらく「経験がある」とはこのようなスキルに結びつくものなのではないか。
■本論.「経験豊か」になると身につくもの
①脅威度判定ができる
「あー、こりゃキツいっすね」
あるベテランが、案件に入った途端に状況を理解してしまう。そういうことがよくある。
炎上案件、という言葉があるが、あれは物理的に燃えているわけではない。だとするとだれかが「燃えて」いると見做しているわけだ。
状況の良し悪しを判断するのは、戦場の例を出すまでもなく、なかなか難しい。一段階上の目線、ちょっとした未来予測と経験との照合と言ったさまざまな要素を一つに集約する思考力が必要になってくる。
その結果出てくる言葉が「炎上」である。よく〆切やスケジュールに対して遅れが甚だしいときに使われる言葉だ。
だれがどうみても揉めている案件なんて、素人でも入ろうとは思わない。しかし素人がわからないのにわかる、その慧眼は経験ならではの産物だ。それは、ひとつの作業や仕事が、口先ほど簡単ではないということを苦味とともに熟知している。
もちろん、本人がトラウマ的なものを引きずって、仕事の難易度を過大評価しては台無しである。その点冷静に、難易度や脅威のほどを、どれだけ客観的に捉えることができるかが、その業務への経験値を指し示すと言って良いだろう。逆に言えば、それができて初めてベテランの仕事ができるというもの、そうではないだろうか、
②素早い判断と行動
ゴールが決まれば仕事が早い。これもベテランや経験豊かな人間の特徴だ。
シンプルに業務遂行能力が高い。一人が1日かかるものを半日で終わらせられたらたいしたものだ。もしかしたらコツがあるのかもしれないし、裏技があるのかもしれない。
とにかくやることが決まれば、それをさっさとこなせる。わかるものへの判断が早く、迷わないこともベテランの実力だ。これについては反論する人はあまりいないのではないだろうか。
③過程を言語化できる
あるレベルのベテランは、後輩に背中を見せるだけでなく、後輩に「自分が何をしているか」を説明する能力を持つ。
教える、というのが一番わかりやすいだろう。意識していること、考えていること、手段・手順、こうしたものを第三者にわかる形で残していく能力は、個人的には優秀かつ経験豊かな人物の特徴のように思っている。
何より、「経験則」というある種の判断基準・行動ルールのまとまりが自分の中で出来上がっていることが、そうだと言える。
エンジニア寄りのビジネス・インフルエンサーが「個人のスキルよりもシステムや仕組みで解決するべき」と言っているのを、聞いたことがあるだろうか。だれとは言わないが、そういうことを言ってる人がいることだけは知っていてほしい。
そうした人たちは、要するに、個人差や性格で結果の振れ幅が変わってしまうようでは職場のルール作りや文化の作り方がなってないと批判している。それは、ある一定のレベルまでは適切な指摘だと、思ってしまう。
しかしあるレベルを超えると、ルールや文化などではどうにもならないものがある。
特に、ルールではどうにもならない「想定外」が山ほどやってくる。ベテランはそうした物事にも随時、経験を抽象化したり、調べなおしたりして、応用力を試される。彼らの能力はどこから来るのか。
思うに、それは経験だ。そして経験が「過去のアクション+学び・教訓・スキル」といったものだとすると、その学び・教訓・スキルは全く異なる日時のシチュエーションで応用できるものでないといけない。
これはまるで、自分自身である種のルールを課しているように見えるが、おそらくより深く根源的なものに通じるものだ。判断の生成原理、ともったいぶって呼んでみよう。
経験とは単に分析可能な過去のデータを意味しない。それ自体が類似したものや他の経験と勝手に結びつき、異なる何かや未知の状況への打開策を生み出す。これはルールよりももう少し柔軟で、有機的だ。だから原理と名付けた。自分自身が判断を下すための、経験のるつぼ。そこに原理は存在する。ひょっとすると、これこそが人の仕事の仕方を生み出しているかもしれない。
一般的には、われわれはベテランの持つ法則性のあるものを「経験則」と呼ぶ。もちろんこれは正しいとは限らない。だが、間違っているわけでもない。ある複数の状況でうまくいくルールのまとまりのように、これを考えてしまうと多少のずれがある。経験則はそれだけでは他人に移植できないものである(AIならできるのだろうか?)と思っておくと、もう少し原理への理解が深まるはずだ。
ベテランが若手に物を教える時、こうした原理から少しずつ人に手渡しできるようなものを切り取っているだけなのである。
■結論.経験豊かになるとできること、他にもあれば
とりあえず、いま考えたことを書き出してみた。この3つだけではないはずなので、他にもこういうのがあるよ、みたいなものがあれば感想とかくださるとありがたいです。
本日はご覧いただきありがとうございました。
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○あらすじ
舞台は中高一貫校の男子校。女子が苦手という理由でそこに入学した星野正志少年は、親から強い圧を受けて厳しいとうわさの剣道部に入部してしまう。想像通りのハードそうな雰囲気に圧倒されつつも、その中で勝利する先輩たちの姿に憧れて、次第に自分もそうなれるかと努力するのだが……
敗者が語る青春小説、開幕。大事なのは勝つことだけとは限らない、たぶん。
※毎週日曜18:00ごろに更新してます(次回は8/20です)
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両親が死んだ3LDKで一人暮らしする二十七歳男性:唯野幸人はコロナ禍さなかに元カノ:篠原玲緒奈の侵入を許してしまう。すでに恋も愛も果てた関係にある二人だったが、行き場のない玲緒奈に一汁一菜を提供したことから腐れ縁の同居が始まる。
時は二〇二〇年、社会がドタバタと落ち着きがなくなっていくなかで、仕事と日常にしがみつくので精いっぱいな男女ふたりと、その周りの人間関係とがご飯を食べながらお話が進みます。
※月1〜2回、不定期かつ話単位で更新します
8/15ごろにまた更新予定です。
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