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#バチクソにカッコいい女の子を寄こせ杯 あとがき
どうも、相変わらず仕事の修羅場に追われている八雲 辰毘古です。
もう修羅場属性の人間として生きることをそろそろ自覚したほうが良いのでは、という気がしておりますがそれは別の話。
とりあえず参加した「#バチクソにカッコいい女の子を寄こせ杯」の完了が宣告されましたので自作の発表とそのあとがきを書きます。
八雲の作品は……
11 サイレント・リリィに口づけを。
でした!!!
記事の扉絵はランキングです。上位同率六位でした。順位で並ぶと実質5位だね! 28作品中8位! これはかなり善戦しましたよぉ!
投票数54のうち、8票分を獲得しました。
一位が17票だったことを思うと遠いですが、八雲自身作風が「不特定多数に大人気」よりは「特定少数にブッ刺さる」に特化してるので、手応えがあった感じがします。
く、くやしくなんかないんだからね!
ということで以降は裏話。
企画の話を聞いた時 〜アイデアとコンセプト〜
企画主さん(@kanzaki_narou)とは今回お初なので、本当に相互フォローのリポストを参照して知った感じ。
「カッコいいヒロインものだー」て、最初は気楽に考えていたんですが、よくよく読むとなかなか難しい要素が盛りだくさんだったんです。
まず、「バチクソに」「カッコいい」「女の子」なんですよ。
わたくし、「カッコいい女(おもしれー女)」は大好きなんですが、「カッコいい女の子」は不得意なんです。
そんなにストック持ってねえしなあ、ていうのがわりと本当のことで。
それこそ戦闘美少女みたいな話が、苦手とは言わないけど、そこまで性癖というわけではないのですよ。
エヴァンゲリオンのヒロインズの誰にも特にときめかなかったとか、そもそも女の子が多いアニメもそんなに好きじゃなかったりで。
しかも、「バチクソに」カッコよくないといけないわけで、これは悩みに悩む。
そんななか、わたしのなけなしのアーカイヴが「バチクソにカッコいい女の子」が誰なのかを教えてくれました。
欅坂46です。
いちおう公式から。
でも、ビデオでいいから舞台や生放送パフォーマンスを見て欲しい。
憑依したようなパフォーマンス、魂削ってるんじゃないかというほどの繊細で危うい、でも心を打たれずにはいられない歌とダンス。
わたしも当時は紅白やMステとかでしか見てなかったけど、それでもうっかり見入ってしまうくらいに、平手友梨奈(てち)のパフォーマンスが圧巻で、目を奪われた。
なんかその記憶がフラッシュバックしたんですよね。あ、これだ。これこそ「バチクソカッコいい女の子」やん、て。
記憶を頼りに書いたてちのパフォーマンスを、魚喃キリコの『Blue』を骨子に乗せて、それから思い出したように好きなアーティストである酸欠少女さユりとかを混ぜ込んで、出来上がったのがこの作品です。
作中のタバコの銘柄は実在のもので、たまたま当時読んでた峰倉かずや先生の『WILD ADAPTER』から取ってます。が、バニラという言葉に魔力を感じるのは、きっとハルカトミユキの『Vanilla』があった。狂ってしまえない、退屈で、倦怠感すらする、誤ちに満ちたくだらない生活の空気が。そこにはありました。
切なさでいうと、宇多田ヒカルも欠かせません。制作時のBGMは『Passion』、キングダムハーツ2のテーマソングですね。Myth&Roidの『FOREVER LOST』も聴いてムード作りはしてます。何かが永遠に失われてしまった、という残響が、夏のギラギラした輝きの下、ジョルジュ・デ・キリコの絵画のような陰影のもとで繰り広げられる──そんな世界観です。
もともとヘキというほどヘキ、てものを自覚してなかったんですが、わたしはショートヘアが好きなんでしょうな。なんか書いてて「あ、わたしはこういうのが好きなんだな」と再発見するような旅路でした。
制作時に気を遣ったこと
他の方の作品にものを言うわけではなく、あくまで自分でこの企画に参加するときに絶対に達成しないといけなかった要件があって、それは「バチクソカッコいい女の子」でないといけないということ。
よく「カッコいい女の子」、ヒロイン像を立てるときに男の子がやってもカッコいいこと、いわゆる男の子ジェンダー的な「カッコいい」を女の子に演じさせることでそれを成り立たせることがままあります。
例えばフィジカルが強いこと、意志を曲げないこと、頭脳明晰で英断ができること、メンタルがイケメンなこと、まあ色々たくさんあると思うんですが。
特にジェンダー偏見というわけでもないですが、あえて「カッコいい女の子」というからには、女の子という表象にどんな「カッコいい」を仮託しなきゃいけないのか、をものすごく考える羽目になりました。それがこの企画の楽しくもしんどかったことの一つです。
念のため言っとくと、わたしは身体的に成年男性に属する人間なので、突き詰めるところを突き詰めてもこの問題に「おのれの立場で」ものを言うことができない側におります。
ただ、少年少女時代に何が息苦しかったのかとか、何に没頭していたのかは鮮明に覚えている方で、なにせ自分史を書いたら一番苦しかった時期は小学生高学年の頃だったと即答できるくらいには、ホルモンバランスの乱れでメンタルがめちゃくちゃに病んでいたのですわ。
そんな人間が、バチクソにカッコいい、しかも女の子とは何かを模索して、出た答えが百合、というかエス文化的な、女の子が女の子を狂おしいほどに愛してしまう関係性で、この世界の出口を見つけてくれそうな女の子の存在──これが国木田さゆりのコンセプトです。
バニラ味(英語で意味を調べると、ありきたりな、退屈な、ノーマル、て意味でもあるらしいわよ)のタバコを喫って、お仕着せの制服を着て、成績は優秀。それでいて、破天荒で、存在感があって、気がつけばクラスの中心になってしまうようなカリスマ性、その祝福と呪いを同時に受け取ったもの。
これは持論ですが、才能に呪われたことのない人間が口にする才能なんてまやかしです。
生き方自体がそれによって捻じ曲がり、それによってしか生きていくことができなくなる、そういうものが才能を掘り下げると必ずついて回ります。でも、魅せられずにはいられない。国木田さゆりは去っていきましたが、死んだわけではありません。だから、またどこかでだれかの人生を、自分の人生ごと歪めてしまっているんじゃないかと、そんなことを思います。
突き抜けて突出してないと「バチクソにカッコいい」とは言えませんから、私にしては珍しくキャラクターひとりに要素を増し増しにしましたが、このことがかえって、目線主人公のかえでちゃんの個性を弱くしちゃったかなて気はします。ほんとはもっとこっちも書きたかった。いずれリベンジするかもしれないけど、この作品、書くのに体力要るんだ……
だから、この話はいったんここで仕舞い。
以下、宣伝とか。
八雲は最近こんな話を書いてます。
(リンクはカクヨム。バナーが出やすいから)
『聖剣と魔女のミュトロジア』
これは、失われたものを取り戻そうとする者たちの物語──
叙事詩圏の辺境、メリッサ村に住むふたごの姉弟アデリナ(リナ)とルート(ルゥ)。男勝りな少女アデリナは騎士になることを志し、内気な美少年であるルートは教導会の程よい地位での隠居生活を目指しそつなく暮らしていた。
そんなある日ふたごは、突然自分たちの父親がいなくなっていたことに気づく。父親だけではない。父親と過ごした記憶も一緒に失くしていたのだ。父親の失踪の理由は? そして思い出から父親が消えたのはなぜなのか? 背後に見え隠れする魔女結社と星室庁の陰謀に立ち向かいつつ、ふたごの冒険は始まる……
『草食系オオカミくんは抜け目ない』
羽鳥渚は28歳OLである。ある日飲んだくれて帰ったら親から電話があった。「小さい頃面倒見ていた夏樹くんを住まわせてやってほしい」。本人不在、親同士の同棲契約が成立していたのである。文句を言っても始まらない。もはや事後承諾のかたちで、九つ年下の青年と化した香田夏樹との、同居生活が切り出されてしまうが、どうも夏樹くんは渚さんに気があるようで……?
※本作は6/2まで開催されていた南雲皐月様の「匿名短文胸キュン企画」に投稿していた作品を、長編化したものです。毎週月曜日18時を目指して連載中!
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