見出し画像

独居の高齢者#2

以前に書いた話の続編

生涯独身とか、子どもが居ないとかで独居になる人の方が、現代社会では「子どもが下手に居ない方が幸せ」だと言えるエピソードがある。それは、子どもが居るが故に福祉サービスが受けられないとか、滞るなどという最悪な状態になる話である。

ある男性の独居高齢者。地域の高齢者専用住宅に独りで住んでおり、娘家族が隣県に居るというというが、父親の様子を見に来ることはないと言う。独居高齢者は訪問介護サービスを受けているが、ケアマネが娘と連絡を取りたいことがあっても取れないと言う。

一番困ったことは、金銭管理を娘に任せてしまったため、介護サービスへの支払いなどが滞っているとのこと。かつ鍵も娘が持っているので、オートロックの高齢者専用住宅に緊急時に入れないという不便さがある。

この話は、私が一時期訪問介護の現場仕事もしていたことがあり、実際に見た話であるが、お金が支払われないので利用者本人に伝えても「お金は全て娘が握っているので・・・」と本人対応ができない。認知症でもないのだから、金銭管理は家族と言えど他者に委ねず、ちゃんと自分で行わなければならないと確信したものである。

このような状態だと、成年後見人を付けることもできず、事態は行き止まりになってしまうことがある。娘も面倒が見られないのならば社会制度に委ねれば良いのにそれをしない。これは高齢者に対するネグレクト、虐待にも等しい悍ましい行為である。

初めから全く子どもが居ないのであれば、福祉の手もドンドン入れることができ、もっと上手くサービスが回るにに、下手に子どもが居るとトンデモナイことになってしまう危険性がある。今や子供を作ることが社会的リスクになってしまったのだろうか?

その後、男性高齢者の部屋には何とか入ることはできたが、部屋の中では蛆が湧いていて男性は即入院となった。「子どもが居たが故に起きた事態」として、私は何とも言えないイヤな気持ちになったものだ。少なくとも親子という関係でなくそんなネグレクトができるのだろうか?と思ってしまった実話である。

そもそも人間としてそんなことをしてしまう感覚が私には全く分からない。保護しなければならない存在が居れば、逆に自分のことは後回しにしてしまう性格の私からすると、現代社会はどうなってしまったのだろうかと恐怖を感じてしまうのだ。
#note   #エッセイ   #高齢者   #フリーター   #役立たず
【記】やく・たたず(屋久 佇(竚))

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?