公図混乱地域
世の中には公図混乱地域という場所があちらこちらにある。公図と住居表示や住宅地図が極端に合っていない場所である。何故そんなことが起きるのかは様々な原因がある。原因には例えば以下のようなものがある。
・宅地造成で登記手続はされているが、登記に対応する土地の位置区画が、地図と現地とで相違しているもの。
・自作農創設特別措置法(農地改革の根拠法)の施行に伴い、強制的に処分された農地に係る地図の不備によるもの。
・民間による土地区画整理事業が途中で中止され、登記手続はされていないが現地の形状が変更されているもの。
・水害、地震、山崩れなどの自然災害によって、土地が変形したことによるもの。
・軍用地として強制買収された民有地が、境界不明のまま返還されたため、原状回復が不可能になったもの。
関東近辺では川崎市の麻生区地区や、横須賀市の汐入地区などもそうであり、ちょっとズレているだけでなく、現状とは全く似ても似つかない公図になっている。場所が違うだけでなく、土地の広さや形状も違っているのだから、訳が分からない。よって公図には公信力は無いということになり、現状を優先することになる。
遺産相続のときに問題になることが多い。特に相続登記を何世代に渡っても行わず、所有者変更をしていない場合に、公図と違っていると結構ややこしくなって揉め事の原因となってしまう。
あと、長年の間に土地の分筆と合筆を繰り返していると、さらにグチャグチャな状態になる。例えばこんなケースがあった。
所有しかつ固定資産税を支払い続けてきた、某所233-6が地図上に存在しないのだ。家屋番号はあるのだが、土地が存在しない状態になっている。公図はもとより、住居表示上でも存在しない土地に固定資産税を払い続け、住み続けている状態なのである。
現在の登記簿謄本を見ても追いかけられないので、大正時代、明治時代まで遡って過去帳を調べることになる。そうすると以下のようなことが分かった。
最初は233-1、-2、-3、-4があった、それが明治時代に233-1が-1と-5に分筆された。その後、-2が-6と-7に分筆され、大正時代に-5が-6と合筆され、その後、-5が-1に合筆され・・・・もはやグチャグチャである。結果として-6は昭和初期に-1と合筆され存在はなくなった。つまり-6は-1の一部になっているという事実が判明した。
相続時に即登記をしておかないと、後から大変な労力を要することになる。それでも分かったから良かったものの、分からずじまいになることも多いのかもしれない。
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【記】やく・たたず(屋久 佇(竚))