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言葉は母

言葉は母。

オカーサン ユーケーヨー。

小学生だった下の子が、何回も繰り返す。
オカーサンユーケーヨー。
毎夏過ごした、祖父母の近所の、同級生男子らの発する言葉。

笑えてくる。

お母さんに言って、何が変わるの?

知らん。でも、そう言う。

お母さんに言うからな。
小学5年生や6年生が、お母さんに注意されて、それでおさまるのか。
それで、していることをやめさせられるのか。



昔の悪口囃子に、おまえのかーさん、でべそ、もあった。

悪口になってない。

でべそじゃねーし。
でべそだったとして、それがどうした。



母親とは関係ないが、中指を立てるしぐさでの、悪口もある。

でも、悪口になるのは、そのしぐさは侮蔑になると、みんなが認識しているから。

中指立てる、っても。
その文化にいない人は、地図とか書類とか指すのに、中指使っていそうだ。



15年前の、サッカーワールドカップで、フランスのジダン選手が、一発退場になった。相手のイタリアチームの選手に頭突きを食らわせて。

なにか、挑発する言葉を浴びせられたのが原因と、その当時のニュースでも読んだ。

本当に何があったのかは、本人たち以外にはわからない。
でも、メディアで伝わった話では、挑発された言葉が、母、もしくは女きょうだいをも、侮辱する言葉だったという。



母親を侮辱されることは、禁忌の句の範疇。


私自身が母親の役回りなのでか、興味深く思う。

どうしてだろう。


出自の侮辱になるから?

母と自分との、肉親としての境は、一番希薄だから?

自分の元となる文化の大半を担うものだから?



オカーサンユーケーヨー。

オマエのかーさん でべそ。


母は言葉。たかが言葉。

それでも。


オマエのハハオヤは売女。

わたしを知る者らに、わたしに母がいることを知る者らに、そんなことを言われるのは、やっぱり勘弁してほしいなと思う。





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「言葉は、、、」の元は、なつかしの「ことば展覧会」。
あんこぼーろさんが去年されていた企画です。


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