自己紹介～金融のおしごと

　こんにちは、はじめまして。
　地域金融機関の中で働いています。今はどこかの支店におります。「平社員より責任を取らされるポジション」といえば、わかっていただける方は分かっていただけると思います。ちなみに限界金融機関なので私の指揮命令下にある人は誰もいません。つらい。そんな人間がどういう足跡を辿ってきたのか、自己紹介がてら振り返ってみたいと思い、書いてみることにしました。

　私はコミュ障気味で若い頃から本当に出来が悪く、しょっちゅう穀潰しの扱いを受けてました。集合研修のテストもろくに出来ず、なんちゃら相談会のアポを取ろうとしても同期の女の子がじゃんじゃん取る中タコって怒られ、事務が粗雑で怒られ、耐えかねた偉い人に「お前は伝票に○○支店とゴム印押すことだけやってろ！」と言われたのに、そのゴム印すら抜けや漏れがあって怒られ、外回っても毎日何もとれずに怒られ、自分の生い立ちや学歴を否定され、なんで取れないかわからないままお客様にお願いに行き、また怒られ、事務処理は粗雑で怒られ、直しに帰ったらまた怒られ、苦情になっても一人で謝りに行かされ……もう無理、限界、辞めるやめるやめる！と思って前日仲の良い同期に電話し、「明日辞表出すから！」と言って辞表を忍ばせて出勤したら「はい、おまえ審査に転勤ね」と言われたのがターニングポイントでした。その同期には「お前分かってて電話してきただろ？俺の１時間を返せ！」と罵られました。

　そうやって行った審査部門で、私は案件審査を手掛ける部署に配属されました。簡単に言うと営業店が本部決裁に上げてくる案件を問題がないかチェックし、決裁権限者に回議する仕事です。自分のような出来損ないには難しかったですが、それでも、頭使って考えたら案外未来が見えてくるような気がして、いただいた案件を時には厳しく否決しつつ、時には一緒になって組み立てていくのが楽しかったです。そして、頑張れば頑張るほど周りや営業店のみなさんからの評価も少しずつ上がっていき、やっと仕事が楽しいと思えるようになりました。

　店の命運を左右する案件を早期にぶち込んで他社を出し抜いたりと少しは華やかな面もありますが、基本は受注産業。最後の最後で駆け込み寺のように炎上したトラブルが舞い降りてくる部署でもありました。何回弁護士さんのところへ相談に行ったか分かりません。「どうしてこうなるまで放っておくんだろう」と思う反面、「私もあのまま店にいて、同じような案件を言われ、上司や周りに相談できなかったら絶対同じことになってたな」と思うようになりました。じゃあ、自分はどんなことで苦労したのか、自分の知る範囲でどんなトラブルがあったのか、知ってもらったら少しはこういうことも減るんじゃないかな、と。

　そこから、事例でみる金融トラブルを書いてみようと思いたち、やってみました。こんな風に騙されたり、トラブったりするから気をつけようね、というお話ですが、おかげさまで沢山の方に共有いただきました。広めてくださった皆様には感謝の気持ちでいっぱいです。新しいお話は４年近く書いてませんが、少しずつ書きためていますので、時期をみて追加できたらと思います。

　ちなみに、社内でも研修の講師になれるように手を挙げ、資料を一から作り変えて分かりやすくし、トラブル事例を豊富に説明したら「やりすぎ」と怒られました。解せぬ。それが原因かどうか分かりませんが、程よく審査を経験し、毎月土日出勤をし、体を壊す寸前くらいに放逐されて現在に至ります。労働基準法を遵守する時間外計算が瞬時にできるようになりましたが、真剣に身についた能力はそんなもんです。支店にいてお客様と触れ合ってると、もうあの伏魔殿みたいな場所には戻れねぇなとつくづく感じます。

　ツイッターでは、色々と世の中や自分の身の回りに起こることに対し、好き勝手に壁に向かってつぶやいているようなもの、というスタンスです。皆さんのつぶやきは本当に勉強になります。特に金融・不動産クラスタの皆様の話題には常に刺激を受けております。

　私のネット上での残渣が、若い頃の私のように思い悩んでいる方や、私と同じような立場で苦しんでいる方（Donguri的な意味も含め）の一助になれば嬉しいです。いや、一助にはたぶんならないとは思いますので、ネタとして楽しんでいただければ幸いです。