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ビジネスパーソンはいつ「練習」している?

「ビジネスパーソンとしてのあなたは、いつ『練習』してますか?」と聞かれたら、あなたはなんと答えるでしょう。

「ビジネスパーソンの『勉強』」については、いろいろなところで目にします。でも、「練習」についてとなると、そう多くはありません。

私がイメージする「練習」と「勉強」の違いは、現場での実践につながっているか、もしくは現場での実践のなかで行われているか、という点です。

「練習」は、その後工程である「試合」で勝つために、というところから逆算されたもの。一方で、「勉強」は、その後工程との結びつきが弱い。

「練習」が良くて、「勉強」がダメ、ということではなくて、その行為が「どこに向かっているか」ということ。「どこに向かっているか」を気にせずにやる(やれる)「勉強」が楽しいことは、私も感じます。

この仕事をしていると、「試合」と「練習」という対比がいつも頭をよぎります。「試合」と「練習」というメタファーを気にするようになったのは、サッカーの世界では、週1〜2回の試合に向けて、毎日の練習がいかに綿密に組み立てられているのかを知ってから。

人材育成担当者は、現場の外に、「練習」の場をつくるのが仕事、と言い換えられるのかもしれません。単発の研修や、数ヶ月に及んで行われるアクション・ラーニングなどなど。それらの取り組みが、向かう先のはっきりしていない「勉強」(こういうのを揶揄した呼び方が「お勉強」)になっていないか、という問いを、自分に投げかけることが大切です。

「練習」の場は、なにも現場の外だけではありません。もっとも長い時間を過ごすのは現場。現場のなかに「練習」が埋め込まれているのが、もっとも望ましい姿です。現場のなかに「練習」を埋め込むのは、現場マネジャーの仕事です。

「現場のなかで練習するって、失敗を許すってこと?」と思われるかもしれません。「失敗を許す」という言葉からは、「失敗に甘くなる」「失敗してもいい」というニュアンスが感じられます。現場のなかに「練習」が実装されにくいのは、このニュアンスが、「成果を出す」という仕事上の大前提と矛盾するように聞こえるからではないかなと思っています。

現場のなかで「練習」する、というのは、「失敗を許す」ことではありません。ましてや、「失敗してもいい」わけでもありません。「失敗しないように」、つまり、「試合で勝つために」なされるのが、「練習」だからです。

現場のなかでの「練習」を実現するために、現場マネジャーができることは次の3つです。

【仕事の前】目的を伝える
その仕事のあとにどんな仕事が続いているのか、という業務にとっての目的。その仕事が部下自身の成長にとってどうつながっているのか、というキャリアにとっての目的。

【仕事の最中】相談に乗る
「考えた結果を持ってこさせる」のではなく、「一緒に考える」。

【仕事の後】結果を振り返る
成功しても、失敗しても、「一緒に振り返る」。

現場のなかでの「練習」の大前提は、仕事をする本人が「チャレンジする」こと。そのうえで、現場マネジャーは本人のチャレンジを、「練習」に昇華させてあげてほしいと思います。

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試合と練習の対比については、こちらも読んでみてください。



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