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陽明学 生き方の極意

王陽明
一四七二〜一五二八年。名は守仁。中国、明代の思想家、政治家。浙江省の人。形骸化した朱子学を批判し、陽明学を唱えた。
陽明学
王陽明が唱えた儒学。知行合一説、心即理説、致良知説を唱え、人間が本来持っているすぐれた素質(良知)をはたらかせることの重要性を説いた。
伝習録
王陽明と門弟たちとの問答を記録したもので、上中下巻から成る。陽明学の入門書として、現代もなお、広く読み継がれている。語録、書簡集という体裁をとり、王陽明の肉声を記録しているという点が、大きな魅力になっている。


第一章 陽明学と王陽明の障害

陽明学は「知行合一」をめざした

  • わかりやすい入門書は少ない

  • 本質は難しくない

  • 陽明学も儒教である

  • 儒教の核心は「修己治人」

  • 儒教は朱子学によって集大成された

  • 陽明学は朱子学批判のなかから起こった

  • 陽明学は「知行合一」を重視する

  • 儒教といえば朱子学をさしている

  • 陽明学は日本人に迎えられた

波乱に富んだ王陽明の生涯

  • 地方の素封家に生まれる

  • 少年時代から才気にあふれていた

  • 志を高くもっていた

  • 竹を「格物」にして失敗する

  • 「任侠」と「騎射」に溺れる

  • 「辞章」と「神仙」に溺れる

  • 「仏教」にも溺れた

  • 三度目で科挙に合格する

  • 辺地の竜場に左遷される

  • 「心即理」に開眼する

    • 「理は外の事物にあるのではない。わが心こそ理なのだ」

  • 「知行合一」を説く

  • エリート・コースに乗る

  • 学風を慕う弟子がふえていった

  • 三度も反乱を平定する

  • 「反間の計」で敵情を知る

  • 「孫子」の兵法を活用する

  • 「寧王の反乱」が起こる

  • 本拠を陥れて生け捕りにする

  • 朝廷の勢力争いに巻き込まれる

  • 病気を押して三度目の出陣

  • 「この心光明なり」ーーー巨星落つ

  • 肉声で語りかけてくる「伝習録」

第二章 知行合一をめざす

「知」と「行」は一体のものであるべきだ

  • 「知行合一」こそ陽明学の魅力

  • 行うことは知ることの完成

  • 弟子たちにもよく理解できなかった

  • 知ることと行うことは一体のもの

  • 体験してはじめて理解できる

  • 心が動いただけで「行ない」である

  • 心のなかには「天理」と「人欲」がある

  • 議論しているだけではダメ

「良知」の発現において「知行合一」であれ

  • 陽明学のキーワードは「良知」

  • 「致知」はすなわち「致良知」である

  • 「良知」こそ「天理」にほかならない

  • 「良知」さえしっかりしていれば

  • せっかちに効果を期待するな

  • 「良知」の発現において知行は一体

  • 自分を磨くために「知行合一」であれ

  • 「良知」を発現してこそ「修己」の実もあがる

  • 「良知」に磨きをかけて、自分を確立する

  • 自分を磨くための勉強を心がける

  • 学んだことを実践のなかで活用する

第三章 事上にあって自分を磨く

「事上磨錬」で修養につとめよ

  • 信頼を得るためには、自分を磨け

  • 自分を磨く方法は二つある -> 古典を読め、歴史に学べ

  • 陽明学は「事上磨錬」を重視

  • 仕事を通して自分を磨け

  • 意欲を燃やして仕事に取り組む

  • 創業者と二代目の違い

  • 苦労から逃げないで自分を磨け

  • ふだんから自分を磨こう

苦労を恐れず、自分にはきびしく

  • 孔子の生き方に学べ

  • 苦労を肥やしにして自分を磨く

  • それなりの心構えが必要になる

  • 根本を把握しなければならない

  • 根本とは「致良知」である

  • わずかな疑問も残すな

  • 時間をかけてじっくり取り組む

  • 当面の栽培に努力を怠らない

第四章 「万物一体の仁」と「抜本塞源論」

「万物一体の仁」について

  • 陽明学の重要命題

  • 「良知」は仁の心である

  • 民族の苦しみをわが苦しみとする

  • 「良知」が失われた結果どうなったか

  • 非難中傷を苦にしていては何もできない

  • 力を合わせて「良知」の学を回復したい

  • 行動へ駆り立てるのは仁の心である

「抜本塞源論」について

  • 今の学問は功利に流れている

  • 学問の現状を正さなければならない

  • むかしの学問は徳の完成をめざした

  • 覇道が人心の後輩を招いた

  • 抜本塞源に現状を改めたい

  • 切迫した危機感に衝き動かされて

  • 一人ひとりの自覚に待つほかはない

第五章 志を立て、心を燃やせ

なにごとにも「志」を立てて取り組め

  • 「良知」の発現と行動重視

  • 「志」があってはじめて行動が生まれる

  • 心のありようを正すのは志である

  • 志を立てるのは樹を育てるようなもの

  • 諸葛孔明も「志」を重視した

  • 修養にも「志」を立てて取り組め

  • ひとつのことに心を集中させる

  • 自分を見失わないためにも

  • 痛みに耐えて志を持ち続けよ

心を燃やし、やる気を出せ

  • 目標を実現するために

  • こんこんと湧き出る水のように

  • 孔子もやる気を出してチャレンジした

  • 心を生き生きとした状態にしておけ

  • 心の躍動こそ陽明学の生命線

  • 相手の自覚を促すだけでよい

  • みずから会得することが肝心

  • 闘志は内に秘めてチャレンジしよう

第六章 王陽明語録〜混迷の時代を拓く〜

修養篇

  1. 「致良知」、すなわち「良知」(素質)の発現につとめる

  2. 「良知」を発現するには大変な努力が必要

  3. 志をしっかりと立てなければ、どこに流されていくか分からない

  4. 志は自分を支えてくれる助けになる

  5. 「知行合一」、本当に知るということは、行動を伴うもの

  6. 「事上磨錬」、仕事を通じて自分を磨く

  7. 修羅場の中で役に立つのは、実践の中で身につけた知恵

  8. 本を読むのがいやになったときは、さらに本を読むことが薬(逆療法)

  9. 学ぶ時は自分に厳しく、人には寛容に

  10. どんな相手からも学ぶべき点があり、正しいかどうかの判断は自分の心

実践篇

  1. どんな事態になっても心を動かさない、失敗しても動揺を抑える

  2. 天は大任を授けるときに必ず苦難を与えるが、その試練に打ち勝つ

  3. 陽明学の4つのモットー、「立志」志をたてること、「勤学」学問に勤めること、「改過」過ちを改めること、「責善」善を責める(忠告)

  4. 人から避難されようが侮辱されようが、そのひとつひとつは自分の栄養となって、自分の徳を高める手助けになる

  5. 顔つきや態度は、緊張感を秘めながら、あくまで自然体でのびやかに

  6. 過ちに気づいたら改めればよく、いつまでも過去の過ちを引きずらない

  7. 学問は食事に似ていて、食べたら消化しなければならない

  8. 仲間と語り合う時は、謙虚な態度で耳を傾け、寛容の精神で応ずべき

  9. 人生のおける最大の病気は傲慢であること

  10. 厳しい現実を行くていくためには、戦略戦術や権謀術数も一応身につける必要はあるが、使い方を誤ると、自分の身をあやめる凶器に

著者

守屋 洋
昭和7年5月、宮城生まれ。東京都立大学中国文学科修士課程終了。現在、中国文学者として、著述、講演などで活躍中。著書に、「貞観政要」「諸葛孔明の兵法」など多数。



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