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仕事が「うまい人」から学ぶこと

ソフトバンクで、社長室室長として孫正義の下で働いていた方が書いた本を読んだ。

ちょっと前のビジネス書で流行っていたのがマッキンゼーなどのコンサル会社出身の人が書いた本だが、最近この「元ソフトバンクの人」が書いた本もそこそこ見かけるな、と感じる。

逆に言うと、「元ソフトバンクの人、本出しがち」ということになる。よくあるのが、「孫正義をうならせたプレゼンテーションスキル」みたいなやつである。孫正義クラスが相手になると、プレゼンスキルを磨いてどうこうできる、というレベルではないような気がするのだが。そもそもその人が優秀だったのでは? というのが前提にあるのはもちろんである。

この本は、「プロジェクト・マネジメント」について書かれた本で、まあよくあるタイプの本である。しかし、少し読んでみるとわかるのだが、この本はかなり「実践的」な本で、どんな人が読んでも参考になるように思う。実際にソフトバンクでブロードバンド戦略などをやっていた人のようなので、経験からしても十分、ということになるのだろう。

プロジェクトを統括することを「プロジェクト・マネジメント」といい、それを担当する人は「プロジェクト・マネージャー」と呼ばれる。よくPMピーエムとか言われたりする。

そう聞くと、「ああ、自分はそんな立場じゃないから関係ないな」と思う人もいるかもしれないが、仕事では、正式にPMといった肩書きでなくとも、実質的にPM的な動きを求められる場面というのはかなり多いのではないだろうか。

プロジェクトというのは、普段やっている定型業務とは違い、期限と目標が定められた事業活動のことだ。通常業務と大きく異なる点は、試みとして初めてであることと、社内の「横断的な動き」が必要になる、という点だろう。

通常、企業の組織は基本的に「縦割り」で、自分の部署の中だけで完結する仕事もあるが、何か新しいことをする場合、横断的な動きが必須になるだろう。製造関係の部署、営業関係の部署、総務、経理、法務などと連携しながら物事を前に進めていく必要がある。

とにかく同じことをしてさえいれば儲かった時代とは違うので、仕事はプロジェクトが主体になっていくのではないか、と思う。自分の身の回りを見ても、こういった「社内横断的な仕事」の機会はどんどん増えているような気がする。

僕もこういう仕事はよくやっているし、今メインで手がけている仕事も、プロジェクト系の仕事である。PMという肩書きではないものの、実質的にPMに近いことをやっている。

PMをやるうえで一番困るのは、「具体的な権限がない」ということである。いくらプロジェクトが横断的でも、自分に人事権があるわけではないので、プロジェクトに参加している人が言うことを聞いてくれない、ということは当然にある。

それまでの業務で、何かしらの貸し借りがあったりすれば話は早いのだが、そういうことがない場合もあるだろう。そうなると、そういう人を「動かす」のはそれだけでかなりの難事業になる。

予定通りに進まないならまだしも、平常業務が忙しいなどの理由で、定例会や打ち合わせにすら来ない、ということすら考えられるだろう。

そういう人をどうやって動かすのか、また、そういう状態でどうやって成果を出していけばいいのか、について詳細に記されているので、興味のある方は参照されたい。

プロマネのミッションは、簡単に言うと、「スケジュール通りに仕事を進行させるのが仕事」になるのだが、そんなシンプルなことが死ぬほど難しい。ビジネス書を読んだだけで実践できるのであれば世話はないが、しかし、読んだことで収穫はあった。

仕事が「うまくなる」には、実践をしていくのが基本になるが、ときどきこういった外部からの知見を取り入れると効率がよくなる。また時間をおいて読み返したい本ではあった。

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