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食事にどれだけの「時間」を払えますか?

最近、料理をはじめた。はじめたてで上達を感じやすいからかもしれないが、これは楽しい。そして、手の込んだものは作っていないので、思っていたよりも簡単にできる。

動画で勉強してその通りに作ってみる。まず最初に動画を見ながら自分でレシピのメモをし、そのメモをみながら作ってみる。これまで、ごくまれに料理に挑戦したときにいまいちなものができたのは、手順をすっ飛ばしたり、面倒だから省略していたせいかな、と思う。

初心者のうちは油から調味料まで、目分量じゃなくてちゃんと測るのがいいようだ。量が少ないからといって、調味料も省略はできない。家にないような調味料があったりすると、これまでは省略してしまっていたことがあった(ナツメグとか)。

基本的には自分で食べるために作っているのだが、奥さんに振る舞うために二人分を作ることもある。いままでは、一人分を作るのと二人分を作るのでは労力はあまり変わらないから、多いほうが合理的と思っていたのだが、二人分を作るのもそれなりに労力はかかることがわかった。

炒飯チャーハンを作るのでも、二人分だと量が多いので、少し炒め加減も変わる。二人でこれなので、お店などになるとどうなるんだろう、と思った。

飲食店は個人で料理をするのと違い、「仕込み」が命である。これは飲食店で働く人にとっては常識だと思うのだが、「仕込み」についてもちょっと誤解があったな、と思った。

仕込みというのは、たとえば野菜を切っておくとかその程度のことだと思っていたのだが、イタリアンだとパスタを茹でてしまい、冷蔵しておき、注文が入ったらお湯で戻す、みたいなことをしているようだ(店にもよるだろうが)。

確かに、ゼロからやって間に合うような速度で客は来ない。当然かもしれないが、仕込みの段階でほぼ「作ってる」のではないか、と思った。

そういう意味では、「自分で作るより外食したほうが美味しいのでは」と思っていたのだが、自分で作ると「出来立て」という点で自分の方が勝る。レシピによっては自分で作ったほうがおいしいこともある。なので、ぜんぜん(自分の中では)勝負できそうだ、と思ったのである。

コース料理などを出すお店は、きっとこの「仕込み」を最小限にしているのだろう。料理が出てくるまでの時間が長いが、それはほんらい必要な時間なのだ。つまり、あれが適正の時間ということ。高級店のディナーであれば、客側もお酒を飲んだり歓談したりするわけで、時間がかかってもクレームにはならない。

逆にそれなりに高い店でも、ランチはけっこうリーズナブルな値段だったりする。ランチは仕込みまくってる、ということなのだろう。なぜならランチは客側に時間があまりない。昼休みはだいたい一時間しかない。しかも特定の時間帯に集中する。

なので事前に仕込みまくっておいて、客がきたらどんどん捌いていく、というオペレーションが最適解になる。当然最初に仕込みまくっているので客が入らなければロスになってしまう。だから気軽に入りやすい価格に設定する。

飲食店が「ランチをはじめる」ことについて、売り上げの機会が増えるのだからどんどんやったらいいじゃんと今までは適当に思っていたのだが、夜営業のお店とは根本的にオペレーションが違うのだろう。だからランチ用の仕組みを構築する必要がある、と。

これはつまり「食事に時間を払っている」ともいえる。ランチは時間がないので、時間が払えない。だから提供される料理は「仕込んだ料理」である。しかし、高級店のディナーは時間が払えるので、作りたての完成度の高い食事ができる、と。

自分で作ると、時間と労力はかかるが、楽しいしおいしい。これは趣味としてはなかなかいいな、と思うのである。

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